二千四百七十三夜、ばあばの社会人生活 96 ばあば就職する 96 印刷会社 69
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
「──……まったく……こういうのが一番やり難いのよね……。
端切れの印画紙の定着ならまだいいのだけれど、大きな印画紙を入れる場合には、泡などが影響して定着漏れができてしまうこともあるらしいからね……。
定着漏れがあることに気が付かずに水洗いを済ませて、乾燥をしている間に……とか、それからしばらくしてから……とか、茶色く変色してきてしまったりしてね……。
版下の人から苦情を言われることがあるのよね……。
もう一度定着をし直して、それで変色が消えてくれればいいのだけれどね……。
茶色の変色の場合にはまだ脱色の可能性があるのだけれど、濃い灰色や黒く変色してしまうともうほとんど脱色が利かないみたいだからね……。
……そんなことで、脱色ができない場合には、その分が最初からやり直しになりかねないでしょう……。
……そんな時に私たちには、悲しみや怒りを持っていくところがないからね……。」
Iさんは、多少イラつきながらなのかもしれないのだけれど……。
ばあばが定着液の中から水洗いバットの中へ移したものを含めて、売り出し商品の写真が焼き付けられている端切れなどが大量に入っている水洗い用のバットの中を、荒ましい手つきでかき回しはじめた……。
そして、ふと思い出したように話し始めた……。
「……ああ……それから、気を付けなくてはいけないことがあったわね……。
定着液は、毎日交換をしないので、たまにでもいいので、比重を量ることが必要なのよねえ……。そして、定着液が疲労して限界が来ているような場合には、流しの棚の下に置いてある、薬品用のポリタンクに溜めておかなくてはいけないらしいのよ……。
製版で使っている定着液も含めて、業者が引き取りに来るらしいのよ……。
私は詳しくは知らないのだけれど、なんだか定着液の中からは、銀が取れるということらしいのよね……。
だから、再生業者だか何だかの人が、大きなタンクを積んだトラックで来て、それらを引き取っていくということらしいのよね。
だから、そのためにも、疲労して限界が来ているような定着液を、見分けなくてはいけないということらしいわよ……。
その際の、ポリタンクに移しておくための目安を測るためとして、流しの下に比重計と大きな計量カップが置いてあるから……。それを憶えておいてほしいかな……。
今回、Bさんがたくさん定着液を使ったようなので……。この際、定着液の疲労度を測っておいたほうがいいのかもしれないわねえ……。
あーさんの印画紙を定着し終わった後にでも、二人で調べてみましょうか……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




