二千四百七十一夜、ばあばの社会人生活 95 ばあば就職する 95 印刷会社 68
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
「──……では、印画紙が現像液の中に、全体が沈んでいるようにしながら、現像濃度管理のテスト印字の部分が現像されて浮き上がってくるのを、見逃さないようにしていましょう……。
……見ているとわかるように、①から順番に浮き上がってきます……。
……⑤が見えるようになって、⑥が見えるか見えないかくらいにぼんやりとしてきたら、現像が終了です。
【注】実際の現像濃度管理用のテスト印字は、■の中に白抜きの数字が入っています。
そして、1から10に向かって順番に、露光が少なくなるように作られています。
誤解のないようにしてくださいね……。
印画紙を現像バットからさっと引き上げて、停止液の中へ現像と同じように浸けてください……。」
ばあばは、印画紙を現像専用の竹ピンセットでつまんで、そのまますぐに印画紙を停止液の中に浸け込んだ……。
そしてばあばは、それほど間を置かずに印画紙を停止液の中から引き出して、しずくをさっと切ってから、今度は定着液の中に印画紙を浸け込んだ。
ただ、ばあばが暗室の中へと入ってきたときには気が付かなかったのだけれど、定着液が入っているバットには、五㎝角ほどの印画紙がたくさん浸け込まれてあった。
中の切れ端のような印画紙は、皆が皆裏返しにされていた。それで、ばあばたちは気が付くのに遅れてしまったのだろうと思う……。
「……Iさん、これ、Bさんが浸けておいた印画紙ですよねえ……。
これは、もう、水洗いに入れてしまってもいいのでしょうか……。」
Iさんも、今気が付いたのか、ぶつぶつと独り言を言っているようだ……。
──ああ……まったく……水洗いのことだけは言ってはいたけれど、定着液の中の印画紙のことも、私たち任せにしてからに……。
……端から当てにしているなんて……。……ちょっと、イラつくわねえ……。
「……そうねえ……もうさっきから五分以上は時間がたっているので、十分定着できていると思うわよ……。
そこに浸かっている端切れは全部、水洗いに突っ込んでおいてね……。
それから後になってから、あーさんの分の印画紙を定着液の中に入れたほうがよさそうだわねえ……。
……まったく……こういうのが一番やりにくいのよね……。
端切れの印画紙の定着ならまだいいのだけれど、大きな印画紙を入れる場合には、定着漏れができてしまうこともあるらしいからね……。
定着漏れがあることに気が付かずに水洗いを済ませて、乾燥をしている間に……とか、それからしばらくしてからとか……茶色く変色してきてしまったりしてね……。
版下の人から苦情を言われることがあるのよね……。
もう一度定着をし直して、それで変色が消えてくれればいいのだけれどね……。
……ダメな時には、最初からやり直しになりかねないでしょう……。
……そんな時に私たちには、悲しみや怒りを持っていくところがないからね……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




