二千四百六十四夜、じいじの高校生生活 1161 三年生 116 二学期から 98
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──じいじは、その懐中電灯で作業の手元を照らしながら、ストーブの燃焼する部分の掃除を済ませた。
そして、倒していたストーブの燃焼筒本体を、ガション……と起こして、外れないように留め金でしっかりと留める……。これで、ストーブの一番汚れる部分のお掃除が済んだ……。
後は、ストーブ本体の燃焼部分が一体となっているタンクに灯油を満タンにするだけだ……。
……タンクの給油口の傍に付いている、丸くて単純なつくりのメーターの、赤い指示針が、満タンのところまで徐々に移動するのを確かめて、それで給油は終わりになる……。
後は、割としっかりと造られているように見える、給油口を塞ぐ蓋を締めるだけだ……。
その蓋は、漏油防止のゴムパッキンが付いていて、蓋本体を給油口へと押し込んで、その後にねじるという方法で、固く締め付けられるように作られていた……。
後は、ストーブ周りの汚れを落とせば、じいじたちの部屋の中へとストーブを運び込むことができる……。
じいじは、ふと思って、これも木の枠に塩ビ波板が張り付けてあるだけの簡単な構造の入り口のドアを開けて外に出た。
外に出るまでは、手に懐中電灯を握っていたのだけれど、その明かりを消して空を眺める。
ちょうど目の前の高い空にきれいにWの形に並んでいるカシオペア座が見える……。
今はまだ秋の星座なのだろうけれど、もう少しだけ季節が進むと、冬の星座が普通に見られるようになるのだろう……。
体が寒さに反応して、ブルリと震えた……。
──ああ……寒い寒い……。
強い風が吹きすぎた瞬間に、ほほに冷たいものが当たったような気がする……。じいじは、驚いて周囲を注意深く見てみる……。
すると、どこからか吹き流されてきているのか、粉雪のようなものが強い風に乗って舞っているのが分かった……。
周囲には雪雲はない……。
先ほどから、しんしんと冷える夜の空は、ますます星が鋭く光っているだけだった……。
──ああ……早くストーブを点けなくてはなあ……。今あるストーブは、対流式だから部屋が温まるまでには時間が掛かってしまうからなあ……。
こんな夜は、おばあちゃんと二人して部屋の中で凍死しそうだよ……。
じいじは、出入り口のところに置きっぱなしになっていたストーブを持ち上げて、ガラス戸をくぐって部屋の中へストーブを持ち込んだ……。
そして、狭い部屋の真ん中に据えて、さっそくマッチでストーブに点火した。
点けられたばかりの火は、芯の周囲を音を立てながら、くるくると回っている……。
しかしそれも、芯の周囲の温度が上がってくるとともに、青く安定した炎になってきた……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




