二千四百六十一夜、ばあばの社会人生活 90 ばあば就職する 90 印刷会社 63
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、ばあばがまだ若かった頃のお話をしようかねえ。
ばあばが就職をした頃のことだけれど……。
「──……よかったわねえ……。
ドラムケースはそこの机の上に置いておいていいわよ……。
この部屋にいる誰も気が付かないままに、知らないうちに誰かが暗室を使っている……というようなことがたまにあるのよねえ……。
私たちでも……気が付かないでいて、本当に驚かされることがあるのよ……。
今回は、あーさんが気が付いたからよかったのだけれどねえ……。
でもねえ……今度は逆に、私たちが現像をしているところへ、誰かが不用意にドアを開けてしまう……というようなことが起きてしまうかもしれないからねえ……。
でも、こればかりはねえ……。私たちが少し言ったくらいでは、無くなりそうもないのよねえ……。
……本当に困ったものだわよねえ……。
でもね、こういうことをしてしまうのは、いつもだいたい決まった人なのよね……。
……たぶん今回も……いま暗室の中で写真の引き伸ばし作業をしているのは、営業のBさんだと思うわよ……。
お仕事の中でも、新聞の折り込みチラシなどは、受注競争が激しいらしくてねえ……。
自分で受注した仕事が採算ぎりぎりなんかだと、どうしてもどこかで経費の削減が必要になってきたりするらしいのよ……。
それだからなのか、チラシに載せる売り出し商品の写真などを自分で撮影して、自分でそのフィルムを現像して、印画紙への焼き付け現像までしなくちゃいけなくなるみたいなのよね……。
いくら経費の削減だとはいえ、そんなことまでするのはなんか違う気がするんだけれどねえ……。
でも本人はやる気があって、他の誰よりも頑張っているつもりなのだから困ったものよね……。
だからね、それについて周囲が要らないことを言う必要はないのだろうと、私は思うのだけれど……。
でもね……私は思うんだけれど、そこまで手間をかけても報われることがそんなに多くはないのかもしれないのよね……。
だったら……他の新規のお客様を探し出して、そこから新しいお仕事を受注をしたほうが効率がいいような気がするのだけれどなあ……。
でも、そんな都合がいいことなんかは、なかなかないのかもしれないわねえ……。
……Bさん本人は、悪い人じゃないのだろうとは思うのだけれどねえ……。
Bさんはあまりしゃべらない人でね……。黙々と仕事をしているという姿勢は、感心させられるのだけれどねえ……。ただ、マイペースなのがねえ……璧に瑕……なのかなあ……。」
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




