二千四百六十夜、じいじの高校生生活 1159 三年生 114 二学期から 96
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「…………。」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、高校生の頃のことだけれど……。
──掃除をするのであれば、燃焼芯を露出させたうえで木や竹のへらでこすり落とすか、汚れのひどいところをナイフやハサミを使って切り取り除くしか方法がない……。
その際には、綿芯の高さをきれいにそろえるようにしないと、不完全燃焼の原因になりかねないので、気を付けなくてはいけなかった……。
じいじは、芯を点検して、マッチの燃えカスやら、燃え残っている滓などを、できるだけこそげ落としておくことが習慣になっている。
また、そのついでに、燃焼室周囲の金属周りに残っている埃やら燃焼滓なども削り落としておくことも大切なことだった……。
それが、ストーブやその燃焼芯を長持ちさせることにつながるし、使うときの燃焼臭を和げることにもつながるのだと、じいじは考えていた……。
じいじは、部屋の中からストーブを出入り口のガラス戸の外、塩ビ波板によって屋根や周囲の壁が葺かれている、自転車などが置かれてある物置?倉庫?で作業を始めた。
昼間の間は、いくら北側の日が当たらない場所だとは言え、手元の明るさに問題はない。
しかし、じいじが作業を始めたのは、周囲が真っ暗になってからだった。
ここは物置なので、中を明るく照らすような設備などがあるわけもない……。
じいじは、ガラス戸のすぐ外の、部屋の明かりが届くところでストーブをばらそうと思った……。
けれど、どうやら手元が暗すぎて、芯の汚れやら、芯の周囲の金属部分の焼き付いているような燃えカスなどが、よく見えないことがわかった……。
これでは……後に回したほうが良いかな……とも思ったのだけれど……。しかし、今度いつそんな機会ができるのかわからない……。
そんなことなのでは……やはり今回、少し無理をしてでも済ませておいたほうが良さそうだと、じいじは思い直した。
部屋に戻って、奥の机のそばに置いてある懐中電灯を持ち出してきた……。
……この頃の懐中電灯は、丸い筒状の金属製で、その太さと長さは単一の乾電池が二本入れられるくらいだった……。
点灯する豆電球が入っているところは、ねじ込み式の漏斗型だった。
一応は、防水とは謳ってあったのだけれど、完全防水とは程遠い性能だったと思う……。
それを握った時に親指くらいの位置に、指で押すような形のスライド式の点灯スイッチがついていた。
そのスイッチは、今どきのマイクロスイッチのような上等な代物ではなかった……。
それは、接点をスライドさせて接触させるだけ……という、初歩的で機械的なスイッチだった。
だから、接触が悪くて点灯しないときには、トントンと叩いたり、強く振ってみたり……あるいはスライドスイッチを何度も動かしたりと……そんなことをすることになった。
まあ、それで点灯すれば用が足りるので、それでもいいのだけれどね……。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
良い夢に恵まれますように、おやすみなさい。また次の夜に……。




