第二十八話:寝て寝て寝て寝る
目が覚めた時目の前に見慣れない天井があった。当たりを見回すとそこは保健室みたいな場所だった。そして隣にはイースが立っていた。
「オキタノデスネ。ゴシュジンサマ」
イースはあまり感情を顔に出さないが今はとても嫌そうな顔をしながら訳のわからないことを棒読みで言っていた。
「お、おいどうしたんだ?頭でも打ったのか?それでここはどこだ。俺は六院戦に出ていたはずだろ」
「ダイジョウブデスヨ。モンダイナイデス」
「そのしゃべり方やめないか?」
「分かった。何時も通りでいく」
嫌そうな顔がいつもの無表情に戻った。
「それでどうして俺は寝ているんだ?」
「試合の後に倒れたから。大丈夫一時間ぐらいしか寝てない。二回戦は午後から始まるから時間はある」
たしか俺の記憶だと倒れたのはイースで俺は立っていたはずだけどな。
「おい、イースは大丈夫なのか?」
「私は血が戻れば大丈夫。人より血が戻るの早い」
あ、そうか俺は脳をいつもより使って眠くなったから寝ただけか。もう十分寝たし、結界のおかげで怪我もないしもう大丈夫だろう。
「じゃあ次の試合は午後の一番目だな」
「ん、時間すごく余っている。あと3時間位ある」
「それならそこら辺の屋台とかを見に行くか?」
六院戦が行われている期間は王立魔法アリーナの近くにいっぱい屋台が出る。まるでお祭りのように。
「ん、行こう」
屋台の種類はたくさんあり、串焼きから冷やしパインまであった。俺達が買ったのは鹿と馬を足して2で割ったような魔物、鹿馬の串焼き。決して鹿馬の文字を逆にしていけない。地面を走る鳥、地鳥の塩焼き。トウモロコシのようなモロスを焼いた焼きモロス。そしてこちらの世界でも名前は同じである冷やしパイン。それをイースは6個ずつ、俺は2個ずつ買った。イースは食べ過ぎだろ。俺が聞くと、私は今血に餓えている、とか言っていた。要するにお腹がすいたのだろう。まだお昼にはなっていないが。
「うーんあと2時間位あるな。何しよう」
「じゃあ控室でゴロゴロ」
「まぁそれでいいかな。寝るところもちゃんとあるし」
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「あれ?ここは神界?」
「そうである。余が呼んだのである」
「おう久しぶりだな。神様」
「神様とは・・・リョーマ殿も神様なのである」
お、そういえば元の世界にいた時の姿に戻っているな。着ている服も転生する時まで着ていたやつになっている。
「そんじゃあ、アレスルング。なんで俺を呼んだんだ?」
「それはリョーマ殿にお知らせがあるからである。そのお知らせとはリョーマ殿の友人が0の世界の世界にやって来ているのである」
「ん?誰が来ているんだ?」
「それはお楽しみなのである」
「じゃあこっちの世界での名前は?」
「それもお楽しみなのである」
お楽しみばっかりだな!もうちょっと情報くれてもいいんじゃないか?
「大丈夫なのである。近々出会うことになのである」
「そんなら学院に来るのか?」
「そうなのである。その時は修羅場になるのである」
「修羅場?なんでだ?」
「おや、気付いていないのであるか?」
「何にだ?」
「それもお楽しみになるのである」
今回お楽しみ多いな!情報は近々出会うことになるってことだけじゃないか。
「もうそろそろ起きるべき時間であるな」
「もうそんな時間か?」
「夢のなかで会うと外より時間が遅くなるのであるだからもう外では2時間位立っているのである」
「そんなにかよ!」
「まぁ六院戦頑張るのであるよ」
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さてと、次の試合の相手は・・・魔法従魔学院モトリーサの4年生ベル。使役する魔物の数は5体。それはBランクである亜竜。亜竜は龍使いでなくとも実力があれば従わせることが可能だ。しかも本人は火属性、土属性、雷属性の中級魔法師ということでティオかアスルドの出番だ。前ティオから顕現させなくても話す方法を聞いたのでそれを使う。
《ティオ、アスルド次の試合はどっちかを出そうとしているけどどっちが出たい?》
《妾はどっちでもいいぞ》
《我もです》
うーんどっちもそうなのか。どうしよう。
《やっぱり二人同時に出したら不味いかな》
《大丈夫なはずじゃ。龍使いで何体か同時に契約している人は多いはずじゃから》
《そうか。なら二人共次出番だから準備していてね》
《分かった》
《了解です》
『では、試合スタート!』
「ふふ、最初から本気でいきますよよ。さぁ!出て来てください」
小さい体と青髪で優しそうな目をした彼の掛け声とともに周りから赤、青、緑、黄色、白の魔法陣が現れ、そこから亜竜が出てきた。属性はそのまま火、水、風、雷、光。亜竜の特徴は飛べないことだが風属性は別で風魔術を使って飛ぶことができる。
「では、ティオ、アスルド出て来い」
俺の左右に黒と白の魔法陣が現れ、そこからそれぞれの色の炎が吹き出しその中からティオとアスルドが出て来た。
《おい、こんなに派手だったのか?登場シーン》
《龍の姿で顕現するとこうなってしまうのじゃ》
マジかよ。普通なときには出せないな。
「黒い龍に白い竜。もしかしてあなたは龍使いですか?」
「うん、まぁそんな感じかな。それは置いておいてティオ手始めに黒焔!」
口から黒い焔が出てきてベルが一瞬で覆われた。
『ま、膜の消失を確認しました。勝者はヴェルス選手』
は?もう終わったのか?
《おい、ティオ今のどれくらいだした》
《100分の1じゃ》
《それでどのくらい威力がある?》
《特級魔法師が千人で全魔力を使って魔法障壁を作らないと防げないくらいじゃ》
マジかよ。そんなの中級魔法師一人じゃどうにもならないな。二回戦なのあっさり終わったな。
退場口に向かうとそこには軽く笑ったイースがいた。少しずつ表情が出てきたな。
「ヴェルお疲れ」
「嫌味か。全く動いてなかったろ」
「大丈夫次は楽しめるはず。準決勝だから」
「なんでだ?次は3人で試合だろ?」
「火ブロックの残りの人はみんな三回戦に上がれたら棄権するつもりだって学院長が言っていた」
「何だそれどんだけ勇気がないんだ」
「それはあんな焔を見たら普通の人は嫌になる。そして火ブロックに残っているのは強いけど普通の人しかいない」
呆気無く準決勝に進んでしまった。ということは明日の午前は暇になってしまう。
「なぁ明日どうする?」
「控室でゆっくりする」
「まぁそれでいいか。何もすることないけど」
「それくらいは我慢。自業自得」
「仕方ないだろ。あんなに強力だったとは思わなかったんだから」
次の日朝起きてから会場に向かい、不戦勝だと言われてから控室で寝ていた。いつまで寝ていたかというと昼の1時。あと1時間で準決勝が始まる。
「完全にニート生活だな」
「にーとって何?」
「ニートっていうのは15歳以上34歳未満で職業、学業に就いていなくて就くための努力もしていない人のことさ」
「じゃあヴェルはニートじゃない。だって今10歳」
「例えだよ、例え」
「ふーん」
イースは納得してないような顔で頷いた。そんなことより次の試合の相手だ。
次の試合の相手は魔法工科学院メーウェルの4年生ハルロ。学院内では研究バカと有名だそうだ。本人は魔法が使えないが魔力は人並みにあり、使う魔道具に自身で作った魔力消費を抑える術式が書かれていて魔力切れはそうそう起こらないと言われている。しかも書くことのできる魔法式はなんと自作で威力は特級以上だという。それに魔道具を使った魔法発動には詠唱が必要なく、はっきり言って無詠唱と同じだ。少し辛くなるかもな。
『さてやってまいりました。魔法学院対抗戦準決勝です!一人は魔力消費を抑える術式を作りそれを入れ込んだ自作の魔法式を開発した魔法工科学院メーウェルのハルロ選手です。そしてもう一人、三回戦では対戦相手が全員棄権した魔法学院ディセルクのヴェルス選手です。それにヴェルス選手は魔法を使い、刀を使い、魔物を使う何でもありの選手です。実はこの試合も自作の魔道具を持っていてそれを使うのでしょうか』
そんな訳ありません!あ、でも魔道具は作ってみたいな。
『では準決勝スタートです!』
「では先制を。乱せ魔法妨害」
「インターセプト?どんな意味だっけ。まぁいいや行け火球」
俺の周りに無数の火の玉が・・・出なかった。
「え?なんで?」
「ククク、教えてあげる。この魔法は特級以外の魔法の発動が出来なる。だからそういうこと」
メガネを掛けて少しキリッとした目の緑髪の男が得意そうに話す。そんなの特級魔法が使えない人はどうなるんだよ。というかこの六院戦出ている人で純粋に特級魔法使えるのは俺ぐらいなんだけど。
「黒陽」
ハルロの頭上に光さえも飲み込むくらいの黒い太陽が生まれた。特級黒属性現代魔法黒陽。その黒陽はどんなものでも融かす。融かす範囲は太陽の10倍。これが魔法として使えるのはその熱の対象者を選べるから。選べなければどんな結界を張ろうと発現させた本人でさえ無事ではすまないだろう。
「さぁ融けろ」
「ククク、ここまでとは。僕の結界を破るのはすごいよ。しかもこんなに早くね」
この魔法は眠くなる。普通の魔法より魔力を使うから。けれどイースト戦った時よりはだいぶマシだ。
『はいはーい。いつもの如く早く終わりましたー。はぁ。これする意味あるのかな?勝者はヴェルス選手です』
そんな気怠そうにしないでください。てかやんないといけないでしょ。大会なんだから。
「ヴェル毎回毎回早い。今日はもうすることがない」
「寝るしかないな」
暇な時は寝るのが一番!そして俺はそのまま明日の朝まで寝るのであった。




