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漆黒の龍使い《ドラグナー》  作者: 御神真火留
第二章:魔法学院にて
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第二十七話:第2試合

 今日の試合からは個人の部であり、俺は火ブロックの第2試合だった。しかもその相手がイースだった。


「今日は絶対に負けない。この前みたいなヘマはしない」

「いや俺がまた勝つさ」

「じゃあ勝ったほうが負けた方に何でもできるっていうのはどう?」

「いいけどさ前の時のやつ俺まだ何も言ってないよな」

「ん?言ったよ。ヴェルって呼んでよって」

「え!あれも入るのか?」


 そんなこと聞いてねー。


「当たり前」

「クッソー。だったら今度はこき使ってやる」

「フフいい度胸。だったら私が勝ったら奴隷になる」

「いいだ・・・はぁ!?奴隷?それは「次の選手の方準備をお願いします」・・・絶対奴隷にはならない!」

「楽しませてくれたら考える」


 イースが勝つこと前提!?これは絶対に負けられない。


『次はなんと先日のタッグの部でタッグを組んでいた同士の戦いです!どんな戦いになるのでしょうか。では入場してもらいましょう!ヴェルス選手とイーリス選手入場してください』


『ルールは先日のタッグの部と同じです。分かっていますね?』


「分かっています」

「うん大丈夫」


『では個人の部第2試合スタートです!』


「先手必勝。我が血よ、包み込め。相手の守りを妨げ、この地に広域攻撃型魔法の発現も妨げよ。血界術第二章一血、限定血界」

「じゃあ攻撃じゃなかったら大丈夫だな」

「残念。私が攻撃だと思えば使えない」

「チート過ぎだろ」


 人のこと言えないけど。


「じゃあ接近戦で。刀よ、今ここに顕現せよ、龍刀黒耀花(こくようか)


 右手に現れたのは龍のように巻き付く黒の焔を纏った黒い刀身の刀。この刀はティオと契約をした時に出てきたもの。しかし今まで使う機会がなかったのでずっと封印状態だった。他にもアスルドと契約をした時に新しい刀が出てきたがそっちもまだ解除はしていない。


「ヴェルが新しい刀を使うなら私も。我が血よ、硬化せよ。金剛をも切り裂く刃となり、魔法を切り裂く刀となれ。血界術第四章十五血、血刀斬魔」

全能力向上(オール・ブースト)

「我が血よ、駆け巡れ。光の如く駆け抜け、金剛の如く固くなり、象の如く強くなれ。血界術第三章十血、血巡強化(けつじゅんきょうか)


 二人とも同時に強化が終わり、俺は真っ直ぐ刀を立てながらイースに向かっていった。しかしそれをイースは軽々と躱した。


「黒焔よ相手を焼き切れ」


 切ることではなく焼き切ることを目的としたその攻撃は一秒も立たずに十字をえがいたが、イースには掠っただけで避けられた。


 観客には黒い線と赤い線がぶつかり合っているようにしか見えない速度の中で二人は同じことを考えていた。どうすれば先に攻撃が当たるのかと。先に答えが出たのはイースだった。


「相手の視界を奪え、濃霧(ミスト)


 一気に俺の視界は白くなった。この魔法の便利なところは霧の影響を受けない人を選択できること。なのでイース一切影響を受けていない。


突風(ジェット・ウィンド)


 俺の周りに強い風が発生しそれが次第に広がり霧を払うかと思われたが、霧は一切晴れていなかった。


「この霧は晴れない。これは脳誤認(ブレイン・ジャマー)の効果。本当の霧は少しだけ」


「なッ!?」


 脳誤認(ブレイン・ジャマー)。それはイースが使えるようになった上級魔法。属性は無属性。効果としては脳に間違った情報を与えるもの。干渉できるのは視覚と聴覚。しかも脳誤認(ブレイン・ジャマー)はかけた本人にしか基本的には(・・・・・)解くことは出来ず、時間も10時間と長い。厄介なのを教えてしまった。


 俺は目と耳の情報を遮断(・・)した。今は気配だけで頑張っているがイースは気配を隠すのがうまく、避けるのにギリギリの範囲でないと気付くことが出来ない。先ほどかけた本人にしか基本的には解けないといったが、その基本でなければ解く方法がある。その方法は自分の意識に集中し正しい情報と誤った情報をきっちりと分けること。俺はさっきからそれをしているが一向に終わりそうにない。視界の情報と聴覚の情報を遮断しているのでまとめて間違った情報にすれば楽だと思っていたのだがイースが次から次へと情報を送ってくる。あと十分はこの気配だけでなんとかしなければならない。


 この間にもイースはずっと攻撃をしてきており、はっきり言ってイースは人ではないのかと思ってしまった。スキルに並列処理でもあるのかもしれないが、あまりにも処理が早過ぎるのだ。俺の半分よりは確実に下の処理能力だが一般平均の一万倍はあるはずだ。


 そんなことを考えていた時に来た攻撃を避けた直後俺の上の方に何かがたくさん現れたのを感じた。聴覚を遮断しているため詠唱は聞こえなかったがおそらく融毒だろう。


 融毒をどうにか抜けた時周りに四人ものイースの気配を感じた。あと一分!あと一分どうにかしなければ!


 どれが一番イースの動きに似ているかを確認したところいま正面から向かってきているのが本物のイースだと思いとりあえず高く飛んで後ろに下がった時にちょうど脳誤認(ブレイン・ジャマー)が解け、周りを確認したところ・・・そこにいたのはイースと血で出来た3体のイース人形だった。


「これ・・は血をたく・・さん使う。だから・・早く終わら・・せる」

「イースがそこまで本気なら。刀よ、今ここに顕現せよ。龍刀白夜(びゃくや)


 左手に現れたのは白い刀。黒耀花とは正反対の白い焔を纏っている。これはもちろんアスルドと契約した時のやつだ。


「黒焔と白焔よ。その姿は龍のようになり相手を焼き尽くさん!」


 黒の焔と白の焔が刀から離れ龍の形をとり、イースに向かっていった。イースはそれをイース人形で受け止めイース人形は二体消滅した。おそらくそれで血が戻ったのだろう、先ほどよりは少し楽になった顔をしていた。


 そしてイースは体制をすぐに整え自身と人形で二本ずつ、つまり四本の刀でこっちに突っ込んできた。俺はそれをなんとか二本の刀で弾いた。


「マジかよ!ちょいズルくね?」

「ズルくない。だったらヴェルももう一人出せばいい」


 あれ?もしかしてティオ達がいること気付いてるの?・・・まぁそれはないだろう。けれどティオ達を出す訳にはいかない。さっきはイースのことをズルいといったがイースはそれを操っている。俺がティオ達を出した場合操らなくていいので俺のほうがめっちゃズルくなる。だから・・・


「いや出さなくていい。その代わりに少し人じゃ出来ないことをする」


 そう言って俺はスキル超並列処理と高演算能力をフル稼働させる。脳をいつもより動かしたせいか眠くなってくる。超並列処理はどこまで並列処理させるかを選べるようになっていて、通常は一千万に設定しているが俺の上限は無しで今回は一兆にしてみた。高演算能力は脳の使用率を選べるようになっている。例えば俺が脳の使用率を10%にしたとする。そしたら俺の演算能力は一般人が100%脳を使った一予倍になる。それを今回は50%に上げた。これで一垓本くらいの剣はなんの支障もなく自由に操作できる。


「さぁ!出て来い!」


 俺の周りにこれで2階建ての家が難なく建てられるんじゃないかというほどの剣が現れた。その数千垓。他のことに当てるリソースは少なくなるが動かしながらでも躱すことは出来る量だ。


「それすごい。面白い。楽しそう」

「・・・怖がんないのね。まぁそうだろうとは思ったけど」


 だって戦闘狂だもん。


「それじゃあ。行け!」


 とてつもない数の剣がイース目掛けてすごいスピードで飛んで行く。そしてイースが立っている場所を中心としてドームが出来、中心に一気に剣が刺さった。ちなみにこの剣の素材はこの世界でも一番硬いと言われている金剛(ダイアモンド)である。もったいないと思うがどうせこれは後で消すのでそんなの関係ない。


 10秒位たってから剣の山の一部が揺れ始めた。そしてそこから出てきたのは膜があと少しになったイース。またこのパターンか。これ面倒くさいんだよなぁ。だってみんな超踏ん張るもん。一気に終わらせますか


「ブラッ「無理だよ。血界、忘れたの?」そうだったー!」


 さてどうするかな。超重力場(ブラックホール)が使えないしなぁ。するとイースがそこらに散らばっている剣を投げてきた。しかも正確な位置に。


「それを使ってくる!?」

「当たり前。武器は何でも使う」

「えー!じゃあ消えろ!」


 ふぅ危なかった。自分の武器でやられるトコだった。


「刀一本勝負しよう」

「よし!受けて立つ」


 俺は黒耀花をイースは血で創った刀を持って互いを目掛けて飛ぶ。


 最初はイースもしっかり避けられていたが段々と危ないところが多くなった。そしてとうとう疲れすぎたのかよけきれずに俺の刀が当たり試合が終わった。


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