第二十六話:タッグの部
二週間が過ぎ、俺達は魔法学院対抗戦の会場である王立魔法アリーナに来ていた。この二週間でイースが一つだけ上級魔法を覚えて俺が実技の授業をしたことがあった。
「人が・・・多すぎる」
「ああ、どの方向を向いても人が見える」
もちろん上もだ。箒で飛んでいる人がいる。箒の場合の飛行魔法は中級だが使う人は少ない。なぜなら飛行魔法用の箒は特別であり、すごく高い。しかも一人でしか移動できない。つまり欠点が多すぎるのだ。
「けどみんな遅いなぁ。早くこないと先生に怒られるのに・・・てか先生も来てない!?」
「遅い。みんな方向音痴」
「人が多すぎて迷子になってるのかもな」
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その頃他の人は
「二人共まだ来ませんね。早めに来ておくように言ったはずですが。エルビス先生二人の魔道具の位置を探してみてください」
「そうですね。他の人が集まってから30分以上過ぎてますし・・・」
迷子になっていたのはヴェルとイースだった。
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「早く行きますよ。みんな待ってます。言い訳は後で聞きますから」
「えーみんなが迷子なんじゃないんですか?」
「違います!あなた達が迷子なんです!」
「なわけ「あるんです!ほら早く行きますよ!」・・・はい」
エルビス先生、少し目が怖いです。
「さぁみんなに謝罪の言葉を」
「俺達は悪くありません!」
「いやあなた達、遅れたんですよ!?イーリスさんもうなずかないでください!」
「先生が言ったのは西口だったじゃないですか。俺達は西口にいたんですよ?」
「はぁ。北はどっちですか?」
「そんなの分からないわけ無いじゃないですか」
俺は門を向いて左側の方を指差した。
「では西は北を向いてどっちの方向ですか?」
「右です」
「・・・違いますよ。左です」
「ヴェルは西と東もわからないなんて・・・バカ?」
「ふぇッ!?あの時イースもそっちであってるって言ってたよな?」
「・・・そんな昔のこと覚えてない」
「そんなに昔じゃないだろ!?イースのほうがバカだろ!」
「バカっていうほうがバカ。だからヴェルがバカ」
「なんだと~」
「売られた喧嘩は買うのが主義」
「ちょ、ちょっと二人共やめてく「「うるさい」」・・・ださい」
先生が止めても収まらないくらいヒートアップしたが、最後は
「言い過ぎた。ごめん、イース」
「先に行ったのは私。だからわたしが悪い。ごめん、ヴェル」
何故か二人だけで収まるのだった。
「やっぱり二人は仲いいですね」
「「良くない」」
「息もぴったりですね。そろそろ控室に行きましょう。タッグごとに部屋がありますので指定された場所にいてください。では頑張ってください」
「あれ?学院長は来ないんですか?」
「はい。教員専用の場所がありますので」
今回の魔法学院対抗戦に出場する選手の数は多種多様な戦闘方法を得意とする魔法学院ディセルクからは4人と新入生枠が3人、身体能力向上系の魔法を使い近接戦闘が得意な魔法学院ハルベルからは6人で新入生枠はなし、武器に魔法を付与して近接戦闘を得意とするゲルト私立魔法学院からは6人と新入生枠が2人、ファンタジー系では定番の遠距離からの攻撃が得意なレースト私立魔法学院からは4人と新入生枠が4人、魔道具を使った戦闘が得意な魔法工科学院メーウェルからは6人と新入生枠が3人、魔物を使役してその魔物とともに戦うのを得意とする魔法従魔学院モトリーサからは6人と新入生枠が4人の計48人23タッグとなっている。
初日と2日目はタッグ戦を行い3、4、5日目は個人戦を行う。はじめにタッグ戦は2ブロックに分かれてトーナメントを行い、それぞれの1位のタッグ同士で決勝戦を行う。個人戦は火、水、土、風の4ブロックに分かれてトーナメントを行い、火と土の勝者と水と風の勝者でそれぞれ戦い、それから残った二人で決勝戦を行う。
「俺達は・・・一戦目からだな。緊張してないか?」
「してるわけない。どんな強い人がいるのかとても楽しみ」
「ソウデスネ」
『さて、いよいよ今年の魔法学院対抗戦、通称六院戦が始まります!今回の注目選手は今までずっといなかった黒の階級色持ちの魔法学院ディセルク、ヴェルス・アグニ・フォン・フォルクル選手です!聞いたところによると魔力量測定用の魔道具を割る程の魔力持ち主だそうです。彼の試合は第1ブロックの第一戦目ですのでこのあとすぐに行われます!その相手というのは・・・』
会場の方から司会の人の声が聞こえきた。
「お、そろそろ始まるみたいだから行こうか」
「うん、絶対負けない」
『両者の準備が整ったそうです!では入場してください!北側から入場してくるのは黒のローブを着ている魔法学院ディセルクの新入生、ヴェルス選手とイーリス選手、そして反対方向から入場してくるのは黒とは反対に白のローブを着たレースト私立魔法学院の新入生、ウォルスト選手とソルース選手です』
片眼鏡を左に付けて透明な水晶のようなものが先にある長さが腰の高さ位ある杖を持っている背の高い金髪の男子がウォルストで、銀髪で気のようなもので出来た腕の半分くらいの長さの杖を持っている女子がソルースだろう。
『第一戦目の前に魔法学院対抗戦のルールの説明をさせていただきます。勝敗は先に相手を気絶させた方の勝ち、簡易決闘とは違い武器を突きつけただけでは終わらないので注意してください。フィールド内はずっと結界が張られており中から攻撃が飛んで来ることはないので観客の皆様はご安心ください。また、中でどのような攻撃をくらったとしても痛覚は一定に保たれ、膜がなくなったとしても気絶しかしないので好きなように攻撃をしてください。それと実況・進行は私、魔法師協会のシルビア・ケールスが解説は各学院長がいたします』
『両タッグ準備はよろしいですね?・・・では魔法学院対抗戦タッグの部第1ブロック第一戦目スタートです!』
「我が血よ、包み込め。敵の守りを妨げよ。血界術第一章一血、血界」
試合開始の合図とともにイースがあの結界を張り、相手は防御を奪われた。
「それじゃあ一気に終わらせますか。火球千個」
青い火の玉が俺達の周りに現れ音速を超えるスピードでウォルストとソルースに向かって飛んでいった。が追い打ちでイースが・・・
「我が血よ、硬化せよ。金剛をも貫く刃となり、周りにいくつも出現し、相手を貫かん。血界術第二章八血、血刀百連」
それはあまりにも酷いんじゃないですかねぇ。当たり前というべきか相手は気絶していた。
『え!?もう?えーと勝者ヴェルス選手・イーリス選手タッグ!』
結構あっけなかったな。新入生だからこんなものか。
「強くない。楽しくなかった」
イースさんや、六院戦に出場するくらいなんだから一応強いんだよ。・・・多分。
『では次の試合に参ります。続いては・・・』
俺達は今日の試合は全てこんな勝ち方をした。残すのは決勝戦だけだった。イースに言わせると・・・
「強い人がいない。楽しくない。早く寝たい」
寝ちゃダメです。
明日の決勝戦の相手はなんと俺達と同じくすべての試合を数秒で終わらせた魔法学院ハルベルの肩幅が広く、大剣を使う力強い攻撃が特徴のいかにも剣士な黒髪男子ウォーロックとレイピアを使い細い体を活かしてしなやかな攻撃と赤髪が特徴の女子リーティスのペアだ。二人共5年生、つまり最高学年である。
『さぁ決勝戦がやってきました!両タッグともにすべての試合を数秒で終わらせた強者同士です。両ダッグ準備はもう出来ています。早速始めましょう!魔法学院対抗戦タッグの部決勝戦スタート!!』
「我が血よ、包み込め。敵の守りを妨げよ。血界術第一章一血、血界」
「火球」
土煙が晴れると全く疲れた様子のないウォーロックとリーティスが立っていた。
「なるほどそちらのお嬢さんが相手の防御を奪い坊主が一気に攻撃をするとういう方法だったのか。しかし見ての通り我らにはそんな攻撃は通じない。なぜならこちらには剣があるのだから」
「ふふッ。一撃を防げたからといって調子にのるなよ?いけ!」
俺は五千を超える剣を創りだし、一気に放った。
「そんなのはきかん。ルーセッド流大剣術鏡合わせ」
しかしそれは全てこっちに帰ってきた。
「ちッ!土壁」
「じゃあこっちは我が血よ、踊れよ踊れ。雪のように降り、それが融ける如く相手を融けさせよ。血界術第一章二十三血、融毒」
融毒が発現し二人共避けきることが出来ず来ていた服の一部が融けた。
「服などどうでもいい。膜がなくならなければいいのだから」
そう言ってウォーロックが突っ込んできた。それを俺は魔法障壁でそれをギリギリ躱しながら後ろに飛んだ。完全一対一のようになっていてイースはリーティスと戦っていた。
「これを避けるのか・・・ならば!我の魔力を使い、我が能力を向上させよ百倍全能力向上」
「四重魔法障壁」
障壁が一枚、二枚、三枚と割れ四枚目も割れそうなところでギリギリ止まった。俺はそこに爆発量で言ったら最大の攻撃を放つ。
「水素爆弾」
元々の威力も凄まじい水素爆弾を圧縮してウォーロックの近くでのみ爆発させる。しかしそれでもウォーロックは立っていた。おそらくあと一発でも火球を当てれば終わるだろうが、それでも撥ね返されるだろう。
それから数十分間は俺が魔法や剣を使って攻撃していくのを撥ね返しては攻撃しの繰り返しだった。
「くく、なかなかやるな。ならばこれはどうだルーセッド流大剣術秘奥義剣の日照雨」
おそらく万を超えるであろう剣が俺の頭上から降ってきた。
「チッ。あれを使うしかないか。超重力場」
俺はそれを二つ創りだした。一つは頭上から振る剣とウォーロックの近くに、もう一つはイースと戦っていたリーティスの近くに。これで二人の膜がなくなり今回の魔法学院対抗戦タッグの部は終了した。




