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悪女の選択――愛される資格などないはずだった  作者: 音香(Otoca )


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静かな嫉妬

「体調は?」


ラルフは穏やかな声で聞いた。


暖炉の火が揺れている。


リリアは小さく頷いた。


「大丈夫です」



その言葉を聞いた瞬間だった。


ラルフの目が、わずかに変わった。



「……そうか」


低い落ち着いた声。


けれど、さっきまでと温度が違う。



リリアの心臓が、どくりと鳴る。


ラルフはリリアを見下ろした。


逃げ道を塞ぐように。


両手でリリアを囲う。



視線が、落ちる。


じっと、見ている。



「なら、もういいな」


その一言で、空気が変わった。



リリアの喉が鳴る。


ラルフの指が、そっと頬に触れた。


親指が、唇をなぞる。



「……あいつに触れられたのは」


低く、囁く。


指が首筋へ下りる。


「ここか?」


ぞくりと背筋が震える。


否定したいのに、声が出ない。



ラルフはふっと笑った。


怒ってはいない。


けれど、逃がさない目。



腕を掴まれ、ゆっくりとベッドへ押し込まれる。


逃げ道は、もうなかった。



「……俺より気持ちよかったか?」


低い声。


怒りはない。


ただ、静かに絡みつく。


リリアは涙を滲ませ、首を横に振る。


喉が塞がっているみたいに声が出ない。



ラルフはそれを見下ろしたまま、ゆっくりと息を吐いた。


「そうか」


その声は落ち着いているのに、温度だけが高い。



指先が、ゆっくりと下りる。


急がない。


焦らない。


わざとゆっくり触れる。


止まる。


また触れる。


リリアの呼吸が浅くなる。


「……っ」



「正直だな」


同じ場所を、じわりと刺激する。



逃げようと腰を引く。


だがすぐに引き寄せられる。


ラルフの腕は強い。


力任せではない。


“逃がす気がない”強さ。



「どこへ行く」


耳元で低く落とす。


吐息がかかる。


リリアの身体が震える。


動きが少し強まる。


「……ぁっ……ん……」


リリアの背が反る。


「……ラル…フ……」


名前が甘く崩れる。



その瞬間。


ラルフの手が止まる。


ぴたりと熱が消える。



リリアが目を見開く。


「……っ……」



「まだ耐えられるな」


余裕のある声。



指先は触れないまま。


ただ見つめる。


「どうした?」


見下ろして待っている。



リリアの呼吸だけが荒い。


欲しているのが、自分でも分かる。



服を掴む指が震える。


「……やめ…ないで……」


小さな声。



ラルフの目が深くなる。


「欲しいか」


静かに問う。


返事は、潤んだ視線。


ラルフはふっと笑う。



「いい子だな」


そして、今度はさっきよりもゆっくり。


じわじわと、崩していく。


急がない。


逃げ場をなくしていく。


「俺の前では、隠すな」

「全部、見せろ」



触れるたびに、リリアの身体は素直に震える。


リリアの呼吸が乱れに乱れる。


「……っぁ……ん……ぁ……」


声が漏れる。


焦らされた分、波が大きい。


身体に力が入る。


肩で息をした。


ぐったりする。



そしてラルフが入ってきた。


更に大きな並みが襲う。


「……まっ…て……んっ……」


何度も。


激しく。


そして急に止めそうで止めない。


触れて、離れて、また触れる。



限界を超えた瞬間。


身体が大きく跳ねた。



何度も、何度も。


声が掠れる。


ラルフはやっとそこで止まった。



肩で息をしながら抱き締める。


強く。


深く。


「俺を覚えろ」


耳元で囁く。


ゆっくりと背を撫で、今は静かに包む。



嫉妬はもう暴れていない。


満足している。


上書きは終わった。



ラルフはリリアの額に口づける。



当たり前のように抱き締める。



それが、彼の独占だった。

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