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悪女の選択――愛される資格などないはずだった  作者: 音香(Otoca )


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暴走の代償

ラルフはリリアの上半身を抱き起こし、そのまま背後から支えた。


逃げられないように、腕をしっかりと押さえる。


オスカーは動きを封じる形で足を押さえた。



サーヴィルがリリアの横に膝をついた。


「始めます」


静かに告げ、魔力を流し込んだ。


その瞬間――



「……っ!痛い……痛いっ……」


鋭い痛みで、リリアの身体が大きく揺れる。


涙が溢れ、逃れようともがく。


だが―― 動けない。


ラルフとオスカーの腕が、それを許さない。


「……いたっ…い……はなして……」


掠れた声。


サーヴィルはその様子を見ながら、慎重に魔力を調整していく。



やがて―― 痛みが変わる。


内側をなぞられるような、奇妙な感覚。


「……んっ、や…だ……んっ……」


戸惑いの声。


しかし、身体は正直だった。


「あっ……ぁぅ……だ…めっ」


びくりと跳ね、そのまま力が抜ける。


呼吸が乱れ、声が抑えられない。


「もう少しですよ。頑張ってください」


サーヴィルの落ち着いた声が落ちる。


リリアは何度も波にのまれ、次第に力を失っていく。



完全に力が抜けた。



サーヴィルは手を離した。


「処置は終わりました。ですが、大変なのはここからです」


ラルフとオスカーが視線を向ける。


「彼女は欲求を抑えられなくなります。そして、お二人から力を吸収し続けるでしょう」


「……力?」


「人間には魔力がありません。その代わりに、生命力に近いものを消費します。同時に身体の水分も奪われます。吸われ続ければ、廃人になります」


一瞬の沈黙。


「ですから―― 彼女が力尽きるまで、与えてあげてください」


それだけ言い残し、サーヴィルは部屋を出ていった。



――静寂が広がった。



リリアがゆっくりと身体を起こす。


「リリア」


ラルフが呼んだ。


その声に反応するように―― リリアが顔を上げた。


ぼんやりとした瞳のまま、まっすぐラルフへと寄る。


そのまま唇を重ねた。


静かな部屋に、小さく音が響く。


ラルフの手が一瞬だけ止まる。


だが、すぐに受け止めた。


リリアはそのまま、自分で衣服を外していく。


次に視線がオスカーへ向く。


「……おね…がいっ」


掠れた声で、縋るように。


オスカーは動きを止めた。


明らかに迷いが走る。


「……いいんですかね」


視線でラルフに問う。


「楽にしてやれ」


短い返答。


オスカーは小さく息を吐いた。


触れた瞬間――



「……っ、これ……」


言葉が途切れる。


明らかに違う感覚。


呼吸が一気に乱れる。


「……持っていかれます……」


低く押し殺した声。


いつもの余裕は完全に消えていた。


耐えようとしても、保てない。


そのまま一気に崩れた。


「……は、……っ」


息すら整わない。


オスカーはそのまま力を抜いた。



リリアは止まらない。


次にラルフへと向かう。


逃げ場のない距離で、跨るようにして縋りつく。


ラルフの腕がわずかに強くなる。


「……っ」


短く息が漏れる。


ほんの僅かに、表情が歪んだ。


普段なら絶対に見せない変化。


「……これは……」


息混じりの声で、耐えている。


「やばいな……」


押し殺した声。


余裕は保っている。


だが、削られているのが分かる。


静かな部屋に、荒い呼吸だけが重なっていく。


時間の感覚が曖昧になる。


終わりが見えない。


どれだけ繰り返しても―― 終わらない。


ラルフはそのまま離さない。


逃げ場を与えず、続ける。


リリアの呼吸は乱れきっていた。


「……や……っ」


首を振る。


それでも、逃げられない。


オスカーの方へと向くと、自分から縋るように近づいた。


「……っ」


涙がこぼれる。


「もう……やっ……」


そう言いながらも、口に含んだ。


オスカーは見下ろしていた。


「ほんと矛盾してるな……」


逃がさないまま、様子を見る。



リリアの身体がびくりと揺れる。


「嫌って言いながら締め付けてるのは誰だ」


ラルフの逃げ場のない言葉。


「……ちが……っ」


否定にならない。


涙が次々にこぼれる。


ラルフは後ろからしっかりと押えたまま、離さない。


「欲しいんだろ」


リリアの涙がこぼれた。


「……っ、や……だ……っ」



それでも――


「……もっと……」


小さく、確かにこぼれる。


「最初からそう言え」


ラルフの低い声。


「ほら、止める気ないだろ」


責めるようでいて、完全に見抜いている声。


オスカーも小さく息を漏らす。


リリアの呼吸が崩れる。


「……や……もう……っ」


限界の声。


それでも――止まらない。


何度も波にのまれ、身体が跳ねる。


そのたびに、力が抜けていく。



涙が止まらない。


「……っ、や……っ」


それでも繰り返される。


終わらない。


逃げられない。


――どれほど経ったのか。




深夜。


ようやくリリアの身体から力が抜け、完全に動かなくなった。


ラルフはそのまま見下ろす。


「……終わったか」


低く呟いた。


ラルフは額に張り付いた髪を、そっと整えた。


リリアの瞼がわずかに開く。


涙の跡が残っていた。


「……ごめんなさい……」


かすかな声。


ラルフの手が止まる。


「謝るな」


そのまま優しく撫でる。


リリアは安心したように意識を手放し、完全に眠った。



オスカーが湯を持って戻ってきた。


無言でタオルを絞り、ラルフに渡す。


ラルフはリリアの身体を整えた。


静かな時間だった。

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