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悪女の選択――愛される資格などないはずだった  作者: 音香(Otoca )


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止まらない熱

ラルフはいつもと同じ時間に目を覚ました。


腕の中には、リリアが眠っている。


規則正しい寝息に力が抜けきった身体。


ラルフは少しの間、その様子を見ていた。


そして、起こさないように静かに腕を抜く。



ベッドを離れ、バスローブを羽織ると扉へ向かう。


「簡単な朝食の用意を頼む。それと――オスカーを呼んでくれ」


低く指示を出す。


メイドはすぐに頭を下げた。


ラルフはそのまま浴室へ向かう。



シャワーを終え、バスローブ姿のままソファーへ腰を下ろす。


しばらくして、ノック音がした。


「失礼します」


入ってきたのはオスカーだった。


「おはようございます」


「ああ」


ラルフはテーブルに置いていた書類を手に取り、そのまま渡す。


「昨日の分だ」


オスカーはそれを受け取る。


「今日は休む」


短く告げる。


オスカーの眉がわずかに動いた。


「アンナ嬢にも伝えておいてくれ」


「かしこまりました」


理解は早い。


それだけで十分だった。



だが――オスカーは一歩引く前に、少しだけ口を開く。


「あまり無理させすぎないようにしてくださいね。休みの意味、なくなりますから」


ラルフは一瞬だけ視線を向けた。


「分かってる」


オスカーはそれ以上言わない。


小さく笑って、一礼した。


「では、失礼します」


そのまま部屋を出ていく。


扉が閉まり、静けさが戻った。


ラルフはベッドへ戻る。


そして再び布団へ入り込んだ。


そのままリリアを抱き寄せる。


逃がさないように、腕の中に収める。


しばらくして――



リリアがゆっくりと目を開けた。


ぼんやりとした視線。


すぐにラルフの存在に気づく。


顔を上げた。



「おはよう」


ラルフが先に言う。


「……おはようございます」


まだ掠れた声。


ラルフはそのまま頭を撫でた。


「起きないと……」


リリアは小さく身体を起こそうとする。


ラルフの腕が、それを止めた。


「今日は、何もしなくていい」


「……えっ」


「二人で休みだ」


迷いのない声。


そのまま、もう一度引き寄せる。


リリアの身体が自然と戻る。


逃げられない距離。


ラルフの手が、ゆっくりと腰へ触れる。


確かめるようになぞる。


リリアの身体が小さく反応した。


「……っ」


息が乱れる。


ラルフはそのまま手を止めない。


「まだ残ってるな」


リリアの顔が一気に赤くなる。


「……やめて…ください……」


小さく抗う。


ラルフはわずかに間を置いた。


「やめる必要あるか?」


リリアの視線が揺れる。


「……朝です……」


かろうじて出た言葉。



「だから?」


逃げ場のない一言。


リリアは言葉を失う。


ラルフの手がわずかに動く。


それだけで身体が反応する。


「……ねぇ……だめっ……」


さっきより弱い声。


ラルフは止めない。


「だめじゃないだろ。昨日、自分から来たのはどっちだ」


意地悪な言葉。



リリアの顔がさらに熱を持つ。


「……それは……」


言い返せない。


ラルフはそのまま、軽く引き寄せる。


「今日は休みだ。好きにさせろ」


抗えないと分かっている。


「……まって……」


リリアは目が潤んで、呼吸も乱れている。


――まだ、いけるな。


わざと少しだけ動きを止める。


あと少しで届きそうなところで。


リリアの身体がびくりと揺れる。


「……っ、ラル…フ……」


縋るような声。


ラルフは答えないで、ただ眺めた。


「どうした」


短く促す。


「言ってみろ」


逃がさない声。


リリアの瞳が揺れる。


「……っ」


言えない。


ラルフは少しだけ距離を詰める。


逃げ場をなくすように。


「欲しいんだろ」


静かに落とす。


リリアの肩が震える。


「……ちが……っ」


かすれた否定。


けれど、説得力はない。


ラルフはわずかに息を吐いた。


「その顔で?」


追い詰めるように。


リリアの目に涙が溜まる。


限界が近い。


それでも――届かせない。


「ほら。ちゃんと言え」


最後の一押し。


リリアの指が、ラルフの服を掴む。


震えている。


「……っ、……ほし……」


途切れる声。


ラルフは、まだ動かない。


「聞こえない」


静かに逃がさない。


リリアの涙が、こぼれた。


「……ほしい……っ」


やっと出た言葉。


その瞬間―― ラルフの腰が動く。


今まで抑えていた分、逃がさない。


一気に距離が詰まる。


リリアの身体が大きく揺れる。


「……っ、ぁ……!」


声が崩れる。


ラルフはそのまま離さない。


「最初からそう言え」


低く、満足した声。


リリアはもう言葉にならない。


そのまま、完全に崩れていく。



何度も繰り返して、時間の感覚が曖昧になった。


ようやく―― ラルフが深く息を吐いた。


動きが止まる。


腕の中に、完全に収まる感覚。


「……はぁ……」


低く息を吐いた。


満ちたような、静かな呼吸。


リリアはもう、ほとんど動けない。


そのまま、力なく預けていた。


ラルフはしばらくそのまま動かなかった。


やがて、ゆっくりと体を起こす。


リビングに用意させていたものを持ってきた。

「少しでいい、水飲めるか」


リリアはぼんやりとしたまま、少しだけ口にする。


ラルフはそのまま、乱れた髪を整えた。


「何か食べるか」


リリアは力なく首を横に降った。


眠気に逆らえず、すぐに目を閉じた。


ラルフはその様子を確認してから、息を吐く。



頭も、体も、妙にすっきりしていた。


余計なものが全部落ちたように。




翌日。


リリアは目を開けた瞬間、動けなかった。


身体が重く、思考もうまく回らない。


まぶたがやけに重い。


起きようとしても力が入らない。


「……っ」


小さく息を漏らす。


少し動いただけで、感覚が過剰に返ってくる。


昨夜の余韻が、消えていない。


ラルフは早朝に部屋を出たらしく隣は冷たかった。


「……無理……」


そのまま、また力が抜ける。


抗えないまま、目を閉じた。


すぐに、意識が落ちる。


深く何も考えられないまま。



ただ――休むしかなかった。

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