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悪女の選択――愛される資格などないはずだった  作者: 音香(Otoca )


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求めた愛情

ラルフは最後の書類に目を通し、静かにサインを書き、ペンを置いた。


気づけば、かなりの時間が経っていた。


書類をまとめ、サイドテーブルへと置いた時だった。



「……ラルフ……」


かすかな声。


ラルフはすぐに振り返る。


眠っているはずのリリアが、わずかに目を開けていた。


ラルフはリリアの側に寄り添った。


「気分はどうだ」


優しい声だった。


リリアはぼんやりとしたまま、ラルフを見上げる。


「……ラルフがいてくれれば……それだけでいい……」


小さく呟き、そのまま腕を伸ばして抱きついた。


ラルフもしっかりと抱き返した。


「傍にいられなくて、ごめんな」


リリアは首を横に振る。


言葉はない。


ただ、強く抱きついた。


こうして互いの温度を確かめるのは久しぶりだった。


ラルフはゆっくりと頭を撫でる。


その腕の中で、リリアは眠そうな目をして、少しだけ安心した表情をしていた。


(まだ、無理はさせられないな)


治癒魔法は受けている。


だが、疲れも負担も消えたわけではない。


それでも―― ラルフはそっと、リリアの額に口づけた。



二人の視線がふわりと重なる。


ラルフは柔らかく微笑み、そのまま軽く唇を重ねた。



それだけで終えるつもりだった。



リリアが、ほんの少しだけ顔を寄せた。


離れたくない、とでも言うように。


ラルフの瞳が、わずかに揺れる。


再び、唇を重ねた。


舌を絡め、逃がさないようにしっかりと塞ぐ。


「……ん……」


小さく、息が漏れる。


その反応に、ラルフの腕に力がこもった。


ただ触れるだけの口づけでは終わらせない。


角度を変え、深く――探るように。


リリアの身体が、びくりと揺れる。


その変化を見逃さなかった。


一度、わずかに唇を離した。


視線を落とすとリリアの瞳は、もう熱を帯びていた。


「できそうか」


確かめる声だった。


拒まれるなら、ここで止めるつもりだった。


しかし、リリアは小さく頷いた。


その仕草だけで、十分だった。


今度は、ためらいなく深く口づけた。


離さないまま、じわじわと距離を詰める。


「……んっ……ゃ……」


リリアはラルフの腕を掴んで止めようとする。


けれど、力はほとんど入っていない。


ラルフはその手をそのままにして、リリアを見た。


「止めていいのか」


低く、静かな声。


「……あっ……ん……」


身体はもう言葉より正直だった。


リリアはびくっと力が入り、一気に抜けていく。


息は荒くぐったりしていた。


ラルフはその様子を見ていた。


「そんな顔して、よく言う」


そのまま、逃がさないように引き寄せる。


今度は――優しさだけじゃない。


ゆっくり、わざと、焦らすように入る。


「……んっ……!」


リリアの身体がはっきりと反応する。


その反応を、全部拾うように。


ラルフの呼吸が少しだけ深くなる。


「全部、俺に任せろ」


拒めない言い方。


逃げようとするほど、ゆっくり確実に絡め取るように繋がる。


リリアは何度も波にのまれていく。


「……っ……はぁ……はぁ……」


二人の乱れた息が重なった。


ラルフは息を整えながら、リリアを上から眺めていた。


「可愛いな」


さっきまでとは違う、少しだけ優しい声だった。


ラルフはリリアの乱れた髪を指で整えた。


そのままリリアを抱え直し、軽く持ち上げた。


体勢を入れ替える。


自分が下になり、リリアを見上げる形になる。


「ほら」


促す声。


「自分でやってみろ」


逃げ道のない言い方。


リリアは一瞬戸惑う。


「……む、むり……」


小さく首を振る。


けれど――離してもらえない。


ラルフはただ見ている。


急かさない。


でも、助けもしない。


「できるだろ」


少しだけ意地悪に声をかける。


視線が逸らせない。


リリアは息を整えながら、恐る恐る動く。


ぎこちない……


けれど――止まらない。


「……っ……あ……」


自分でも分かるほど、反応が返る。


一瞬、動きが止まる。


驚いたように、ラルフを見る。


ラルフはわずかに口元を緩めた。


「どうした」


分かっていて、聞く。


「……ちが……っ、……」


言葉が続かない。


その様子を見て、ラルフは視線を外さない。


「ほら、続けろ」


静かに促す。


リリアは戸惑いながらも、もう一度動く。


さっきより、少しだけ深く。


「……ぁっ…ん…」


今度ははっきりと声が漏れる。


自分で見つけてしまった。


その瞬間、リリアの動きが変わる。


止められない。


「……っ、だっめ……」


言いながらも、止まらない。


むしろ、少し速くなる。


ラルフの目がわずかに変わる。


「分かりやすいな」



「そこ、気持ちいいんだろ」


逃がさない言葉。


「……ちが……っ」


否定する声。


でも、動きは正直だった。


「嘘つくな」


短く返す。


そのまま、軽く支えるだけに留める。


あくまで主導はリリア。


「ほら、自分で」


突き放すようでいて、完全に見ている。


リリアの呼吸が乱れていく。


「……や……っ、ラル…フ……」


名前を呼ぶ声が震える。


もう自分で止められない。


ラルフはそれを見て、ゆっくり息を吐いた。


「いいな」


低く、満足した声。


その一言で、さらに追い込まれる。


リリアの身体が大きく揺れる。


「……っ、だめっ……っ…イっ…」


言葉とは裏腹に、最後まで止まらなかった。


ラルフはすぐに腕を回し支え、胸に引き寄せる。


「ほら、ちゃんとできただろ」


褒めるようでいて、どこか意地悪な声。


リリアは力が抜けたまま、ラルフの胸に倒れ込んでいた。


その状態のまま――


ラルフの手が、腰を持ち上げる。


逃げ場がなくなった。


「……っ」


下から、ぐっと距離を詰められた。


「――っ……!」


リリアの身体が大きく跳ねる。


ほんの数回、確かめるように繰り返されただけで波にのまれて、力が一気に抜けた。


「……っ、まって……っ」


言葉にならない声。


自分でも分かってしまうくらい、早い。


ラルフはそのまま、動きを止めない。


「早くないか」


逃げ場を与えないまま、もう一度同じ場所をなぞる。


「ここだろ」


その一言で、また身体が反応する。


「……そこ……やだ……っ」


否定しているのに、逃げようとはしない。


「いいの間違いだろ」


短く返す。


ラルフはそのまま、同じ場所を外さない。


「……っ、むり……っ」


リリアの身体がまた大きく揺れる。


呼吸も整わないまま、指先がわずかに震えている。


ラルフはそれを受け止めながら―― 動きは止まらない。


「弱いな」


どこか楽しんでいるような響き。


「……っ、ぁっ…ん……ラル…フ……」


弱く名前を呼ぶ声。


ラルフは答えない。


自分の方へも引き寄せるように、呼吸が深くなる。


「……っ」


ラルフも短く息が漏れる。


最後まで持っていくために、わずかに強める。


リリアを抱き寄せたまま、逃がさない。


ラルフが大きく息を吐いた。


一瞬だけ、腕に力がこもる。


そのまま、リリアをしっかりと抱き締める。


動きが止まる。


荒い呼吸が、重なる。


「……は……っ」


低く、息を吐きながら。


しばらく、そのまま動かない。


やがて少しずつ落ち着いていく。



ラルフはリリアの背をゆっくりと撫でた。


その瞬間――


リリアの身体が、小さくびくっと揺れる。


ラルフの手が止まる。


「……リリア」


低く呼ぶ。


返事がない。


もう一度、少しだけ強く呼ぶ。


「リリア」


それでも―― 反応がない。


ラルフの表情が変わった。


すぐに体を起こし、リリアの顔を覗き込む。


意識が落ちて、力が抜けきっていた。


「……っ」


ラルフは体勢を整え、リリアをそのままベッドの上に横たえた。


「無理させすぎたか」


そう呟いて、額にかかる髪を指で払った。

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