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異世界転移したら、地球を所有してました。その裏で、地球では大騒動が始まっていた。  作者: りどみ


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【カズヤン生配信】ドリアラ王国の商品を食べてみた!

『はい、というわけで今回はですね!ついについにですよ!わーー!!』


 カズヤンがテンション高く手を叩く。

 日本で屈指の人気を誇る配信者だけあって、待機していた視聴者も多い。画面の端に表示された同時視聴者数が、あっという間に桁を増やしていく。


『そう! 本日から発売のドリアラ王国商品でーす!』


 カズヤンが机の上の商品を両手で示す。コメント欄が一気に流れ始めた。




『うおおきたあ!』

『超楽しみ!』

『カズヤン頼むぞ!』

『店で見たけど値段見てそっと通り過ぎたw』

『異世界価格すぎた』

『棚にたどり着くまでに売り切れたんだが』

『うちは普通にまだあるぞ』

『地域差あるあるな』




 カズヤンがしみじみと商品を見つめ呟く。


『しかしここまで長かったですねぇ。初会談から三カ月ですよ、三カ月!』


 指を三本立ててみせるカズヤン。


『まぁね、いろいろ検査?が必要なのは分かりますよ?成分とか、安全性とか……でもですよ?その間も日本から行った人たちは美味しそうに食べてるじゃないですか。そんな映像見せられ続けてのお預けですからねぇ』


 コメント欄がさらに加速する。




『分かる』

『ほんとそれ』

『何回飯テロを食らったことか』

『見るたびに腹減ったわ』

『貧乏学生のワイ、殺◯が湧いた』

『みんな美味そうに食うんだもんなぁ』

『あれ見て呑んでた』

『確認が必要なのは分かるけどさぁ!政府ぅ!』




『まあこの度正式にね、現時点では人体への有害性はないということで。まあ、最終的には自・己・責・任!ということにはなりますけど。まあまあまあ、そこは一応頭に入れておいていただいて! 早速いきましょう!』




『自己責任w』

『まあそうなるよね』

『国の検査通ってるなら大丈夫っしょ』

『きちんと調べてから発売してるんだから大丈夫大丈夫』

『なんか急に怖くなってきたw』




『まずは……』


 カズヤンが缶を手に取る。ラベルを見せるようにカメラへ近づける。


『皆さんお馴染みのコレ! 映像の中でも度々登場してる湧き水印です!!』


 缶を掲げたまま、カズヤンがにやりと笑う。


『いきますよ?』


 一度、カメラに視線を向ける。


『カズヤンの――初魔法!』


 缶を軽く二、三回振ると淡い光が走り、蓋がふっと消えた。


『うおっ』


 思わず声を上げ、目を見開くカズヤン。




『すげぇぇ!』

『魔法きたあああ!』

『俺もやりてえええ!』

『魔法を使って缶を開ける時代w』

『カズヤンこれ魔法じゃなくて魔道具だぞ』

『いいんだよ似たようなもんだ』

『カズヤン放心してるww』




 やがて、感慨深げに口を開くカズヤン。


『いやぁ……これ、実際自分でやると感動しちゃった。だって魔法だよ?』


カズヤンはしばらく缶を眺めていたが、やがて気を取り直したように笑う。


『いや、すごいわ。じゃあ飲んでみますね』


缶を口元へ運び、一口。


『……あ』


 カズヤンの目が見開かれる。


『本当だ、桃だ。甘いけどすっきりとした桃』


 もう一口。


『ははぁ、なるほど……。これ、政府の発表見た人は知ってると思うんですけど、成分を解析したら完全に水なんですって。桃味なのに。それってよく考えたら凄い事だよね』


 缶を持ち上げる。


『ジュースみたいに糖分が入ってるわけじゃない。カロリーも水だからゼロ。なのに桃味っていうね』


 コメント欄が再び勢いよく流れる。




『魔法の水w』

『水飲むの苦手だから欲しい』

『これ飲んで無理なく痩せます!』

『高いけど健康のためなら……』

『値段がなぁ』

『医療品指定してくれ』




『水が苦手な人にはいいよね』


 カズヤンは飲みながら続ける。


『そう考えるとさ、田中さんが日ドリ特別顧問に就任してくれたのって本当ありがたいよね。今、日本から向こうに行ってるのって350人だっけ?それも結局は田中さんを通してなわけで』




『マジでそう』

『田中さん様々よ』

『日本と異世界を繋いだ女』

『しかも今後もっと増えるだろ?』

『田中さんいなかったら始まってもないもんな』

『異世界特需ありがとうございます』

『物理的に窓口になってるの好き』

『こういう形で日本が立ち直るとは思わなかった』

『マジで日本の歴史を変えた女』

『本人めっちゃ普通に暮らしてるけどな』

『異世界の大家さんみたいになってるのwww』




『ね、ほんと田中さんに感謝感謝ですよ。では次です!』


 映し出されたのは、手のひらほどの大きさの茶色い肉だった。


『これ、異世界のお肉なんですけど……』


机に肉を軽く打ち付ける。


『ね?カチカチでしょ?しかもこれ異世界仕様の真空パックがしてあって、素手で持っても手が汚れないんですよ』


 肉をカメラに近づける。


『見えますかね?微かに表面が光ってるの。ほんとに微かなんだけど』




『……見えんw』

『いや分からんw』

『手が汚れないのは普通にありがたい』

『むしろそれを商品化してほしい』




『これが電子レンジ一分で熱々のステーキになるそうなんで、早速やりましょう!』


カズヤンが皿に置いた肉を電子レンジに入れ、扉を閉める。そして、ボタンを押した。


『ちなみにこれはギモー肉っていう魔獣の肉です。王国ではけっこうメジャーな食材で、主に屋台とかで焼いて出されてるみたいですね。こっちでいうと豚肉みたいな。それが地球の電子レンジに対応した仕様で輸出されてるの凄いよね』


電子レンジが停止する。取り出した肉から、湯気が立ち上った。


『あ、めっちゃいい匂い!』


 カズヤンは机に戻り、肉をナイフで切り分ける。


『それじゃあ、いただきます!』


 口に入れた瞬間、表情が変わった。


『うっま!柔らか!』


 何度も噛みしめてから、嬉しそうに頷く。


『これ、塩が効いててめっちゃ美味しいです! 肉食ってるって感じ!』


 もう一口食べ、立ち上がる。


『ちょっと冷凍ご飯、温めてきます』




『おいwww』

『本気の飯テロやめてw』

『いいなー俺も食いてー!!』

『そういやドリアラ王国って今、日本の調味料ブームがすごいよね』

『テレビでランキングしてたな、焼肉のタレが断トツ人気だった』




 戻ってきたカズヤンが米を頬張りながら、コメントに頷く。


『そうそう。焼肉のタレとか醤油、味噌、ドレッシングとか。ま~凄いよね』


 桃味の水も飲むカズヤン。




『向こうに畑を作ろうっていう動きも始まってるし』

『大豆とか育てるんだっけ?』

『ニュースで見たわ』

『実際向こうの土で日本の作物が育つのか興味ある』

『こういう研究のために人が行ってるんだな』

『異世界で働いてる日本人350人って改めて考えると凄いよなw』




食べ終えたカズヤンが、コメント欄を眺めながら頷く。


『まあね。今行ってるのって、ほぼほぼ専門職の人たちだからね』


 そう言って、少し黙る。


『……俺も行きたーい!!』


 コメント欄が一気に沸いた。




『カズヤン異世界デビューは草』

『ちょっと見たいwww』

『配信者枠かもん!』

『現地から生配信や!!』



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