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異世界転移したら、地球を所有してました。その裏で、地球では大騒動が始まっていた。  作者: りどみ


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地球Side【速報】【速報】


 異世界調査団による、午前中の現地調査の映像が終了した。次に映し出されたのは政府の記者会見場だった。

 壇上には内閣府特命担当大臣、里中が待機している。

 場内は、国内外の報道機関が所狭しとひしめいていた。


『それでは、ただいまより、異世界調査団の現地調査について、政府からご報告いたします』


 会場が静まる。


『えーー、調査団五名ですが、先ほど一度、日本へ戻っておりました』


 記者たちの間に小さなどよめきが起こった。


『現地調査の直接の報告と、撮影した映像および収集したサンプルを提出した後、五名は再び異世界へ行っております』


 今度は、はっきりと会場がざわついた。


『今現在は明日の活動に備え、現地で休息をとっております』


 記者たちは慌ただしくメモを取る。


『また今回の現地調査において、調査団が危険にさらされるような事態は確認されておりません』


 会場の空気が少し落ち着く。


『現地の方々からも非常に友好的な対応を受けているとの報告を受けています』


 そして――。


『皆さまもご覧になられましたように、異世界には非常に興味深い技術が確認されています。もちろん、現地側の同意を得ることが大前提となりますが、日本の研究機関との協力についても、今後検討しております』


 フラッシュが焚かれる。


『また調査団による午後の活動を記録した映像についても、随時公開する予定です。こちらについても、ぜひご覧いただきたいと思います』


 大臣が資料をめくった。


『えーー、次に日本と異世界との往来についてご説明します』


 記者たちの顔が上がる。


『結論から申し上げますと、日本政府が独自に異世界へ移動する手段はございません』


 ざわ、と会場が揺れた。

 記者の一人が声を上げる。


『では、どのようにして調査団は異世界へ行ったのですか?』

『その点については――』


 大臣が一度、言葉を選ぶように間を置いた。


『全て、田中愛子氏のご協力によるものです』


 会場がざわめいた。


『現時点において、日本と異世界との間を往来することが可能なのは、田中愛子氏の協力がある場合に限られます』


 記者たちの間に、再びざわめきが広がる。


『つまり、田中氏がいなければ、異世界へ行けないということですか?』

『現時点では、その認識で間違いありません』


 そこで大臣が軽く咳払いをして続けた。


『えーー詳しく申し上げますと……』


 ほんの僅かな間。


『異世界を行き来出来るのは田中愛子氏が有する、スキルによるものであります』


 会場が完全に静まり返った。


『……スキル?』


 呟く声。次の瞬間。


『異世界を行き来するスキルとは、具体的にどのようなスキルなんですか!?』

『田中氏以外にもスキルを持っている人がいる可能性はあるのでしょうか!?』

『政府はいつからその事を把握していたんですか!?』


 一気に質問が飛び交う。会場が騒然となった。

 大臣が手を上げる。


『順番にお願いします』


 それでも勢いは止まらない。


『スキルの詳細について、政府は把握しているんですか!?』

『田中氏本人から説明を受けたのでしょうか!?』

『政府はそれについて何か研究は行っているんですか!?』


 大臣はしばらく考えてから、口を開いた。


『まず、スキルという言葉についてですが、これは田中氏本人とのやり取りの中で正式に確認された呼称です』


 その一言で、また会場がざわつく。


『政府が独自に命名したものではありません』


『では、実際にスキルというものが存在するのですか!?』


『その点について、政府として現時点で申し上げられるのは、田中氏がスキルを有していること、そして、その能力によって日本と異世界との往来が可能になっているということのみです』


 記者が食い下がる。


『田中氏のスキルの詳細を教えて下さい』

『申し訳ありませんが、お答えできません』


『なぜですか!?』

『田中氏本人の安全、そして今後の異世界との関係に関わる情報であるためです』


 その答えに、会場が静まる。


『では政府としては、田中氏のスキルの詳細を把握しているんですか?』


 大臣は一瞬だけ間を置いた。


『……把握しております』


 またフラッシュが一斉に焚かれた。


『ただし、その全てを公表することが適切だとは考えておりません』


『つまり、今の日本にとって、異世界への窓口は田中愛子氏だけだということですか!?』


『現時点では、そうなります』


 異世界。魔道具。そして――スキル。

 ほんの少しまで、お伽噺でしかなかった言葉が、政府の会見で飛び交う。

 大臣が手元の資料を閉じた。


『えーー最後になりますが……明日の正午、日本政府は、外交団を異世界へ派遣いたします』


 会場の空気が変わった。


『田中愛子氏が滞在する国を統治する国王陛下と、公式会談を行う予定です』


 空気が爆発した。


『日本政府が異世界の国と、事実上の外交交渉という認識でよろしいですか!?』

『国交樹立について話し合うのでしょうか!?』

『具体的にどのような内容を協議する予定ですか!?』


 記者たちが一斉に立ち上がる。

 フラッシュが連続して焚かれた。

 だが大臣は、それらを制するように手を上げた。


『詳細については、明日の会談終了後、改めてご説明いたします』


 それだけを告げると、政府の会見は終了した。

 スマートフォンが、一斉に鳴り始めた。画面上部に速報が表示される。


【速報】政府「田中愛子氏のスキルにより異世界との往来が可能」

【速報】明日、日本政府外交団と異世界の国王陛下が初の公式会談



 

 



【オッサンの口からスキルは草】

【スキルの詳細知りたいんだが】

【俺も何か持ってる気がしてきた】

【まだ発動してないだけかもしれん】

【しかし田中愛子のスキル強すぎだろ】

【結局、異世界への扉を開ける能力ってこと?】

【笑えないくらい重要人物じゃん】

【明日には国王と会うの草】

【あれだろ心配性の国王だろ?】

【言語問題もあるのに、展開早すぎ】

【そこも田中愛子頼みなの草】

【異世界担当大臣:田中愛子】

【田中愛子酷使されすぎwww】






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