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異世界転移したら、地球を所有してました。その裏で、地球では大騒動が始まっていた。  作者: りどみ


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64/71

地球Side自衛隊⇄◯◯◯

 美味しそうに飲む田中愛子を見て、それぞれも手元の容器を手に取る。缶によく似た形をしている。だが

 

『すみません。これは、どう開けるんでしょうか?』


 佐々木が容器を上下左右から眺めながら尋ねる。他の四人も同様だ。プルタブのようなものが見当たらない。


『あっ、失礼しました。二、三回軽く振ってください』


 言われた通り容器を軽く振る。すると、淡い光が一瞬だけ走り容器の上部が、跡形もなく消えた。


『……!?』


 五人が目を見開く。


『ま、魔法ですか?』

『あ、いえ。魔法もあるんですけど、これは魔道具の方ですね。うちの町の一大産業なんですよ』


 最近、量産化に成功したのだと嬉しそうな田中愛子に勧められ、それぞれ口をつける。


『……美味しい!』


 よく冷えた桃のように甘く、しかしすっきりした味が口の中に広がる。

 生物学を専門とする森田が、もう一口飲んでから尋ねる。


『これは、何の果物ですか?』

『ふふ。これ果物じゃないんですよ』

『え?』


 田中愛子が少し得意げに笑う。


『湧き水なんですよ、これ。もともとこういう味の』

『ええっ、湧き水?これが?』

『はい』

『そ、その水源、見せてもらうことって……?』

『あぁ大丈夫ですよ。この後町を案内するので、ついでに寄りましょう』

『ありがとうございます。ぜひお願いします』


 森田は即答した。


『では、そろそろ町を見て回ろうと思うんですけど』


 田中愛子が立ち上がる。


『念の為皆さんにも護衛をつけておこうと思いまして。一人につき二人の護衛をですね』

『えーーと、それはこちらとしては非常にありがたい話ですけど、よろしいんですか?』

『はい、大丈夫です。何か予想外なことがあったらいけませんしね』


 調査団の五人も立ち上がり、後に続いて屋敷の外へ出る。

 そして――足が止まった。


 屋敷の周囲には、いつの間に集まったのか、武装した男たちがずらりと並んでいた。

 二十人、三十人……。そのさらに奥にも。


 佐々木が思わず田中愛子を見る。


『えっと、この方たちは、全員護衛、ですか?』

『あ、はい』


 田中愛子は周囲を見回した。


『そうなんです。最近また少し増えて』

『は、はぁ』

『今は全員で、七十人が付いてくれてて』

『な、七十人!?』


 思わず声が上ずる佐々木。

 田中愛子は少し困ったように笑った。


『あ、もちろん交代制ですよ?なんか国王陛下が色々心配して、追加手配してくださったんです』

『…………』


 調査団の視線が、もう一度周囲へ向く。

 屈強な眼光鋭い男たちがうじゃうじゃいる。


『あのーー、国王陛下が心配というのは……?』

『あっ!?』


 田中愛子の表情が、一瞬で固まった。


『いや、えっと全然大したことじゃないんですけど、はい。ちょっとその色々ありまして』


 そう言って、田中愛子は顔をそらした。


『…………』

『…………』








【ちょっともう情報量が多過ぎて】

【新情報を雑に詰め込みすぎだろ】

【魔法!魔道具!美味湧き水!国王!護衛70!】

【渋滞どころか色々事故ってる】

【こいつ絶対なんかやらかしてるだろ】

【絶対何か隠してますわ】

【MACCHO多すぎィ!】

【自衛隊山田「俺……いる?」】









 微妙な沈黙が流れる中。


『で、では、そろそろ行きましょうか』


 田中愛子が、少しだけ早口で話題を切り替えた。

 それを機に、調査団にはそれぞれ二人ずつ護衛が付き、残りの者たちは周囲へ散っていった。

 それを確認すると、田中愛子が歩き出す。五人も、その後に続いた。 






 屋敷前の小道を抜けると、目の前に町の通りが広がった。

 石畳の道を挟んで店や工房が並び、少し先では新しい建物が次々と建てられている。完成した建物と建設途中の建物が混在し、町全体が今まさに広がっているようだった。


 道を行き交う人も多く、あちこちから活気のある声が聞こえてくる。そんな中を歩いていると、すれ違う人々から次々と声をかけられた。


『――――――、タナカ!――――――――』

『こんにちは』


『――――――――、タナカ――――――――』

『わぁ、ありがとうございます』


 五人には何を話しているのか、まったく分からない。聞き取れるのは『タナカ』だけ。


 通りを進むにつれ、建設現場が増えてきた。

 宙に浮いた巨大な石材が、建物の上まで運ばれていく。

 淡く光りひとりでに動く土砂。

 職人の操作する何かにより、石畳が自動で次々と敷かれていく。


『…………』


 調査団は、目の前の光景から目を離せなかった。






【いい町じゃん】

【活気あるなーー人多い】

【領主様めっちゃ慕われてる】

【しかしタナカ以外分からん】

【言語問題、地味に深刻で草】

【田中愛子めっちゃ馴染んでんな】




【ちょっと待て!!今、獣耳いたぞ!!】

【尻尾!!今の人尻尾あったよな??】

【戻って!!カメラ戻してくれ!!】

【今の見た!?見たよな!?】

【一瞬すぎるだろwww】

【右の店の前!!】

【獣人いたあああああ!!】

【調査団、後ろ!!後ろ見て!!】

【普通に気づいてなくて草】

【こういう時のために一人オタク入れとけよ!!】

【調査団に異世界オタク枠が必要だった】

【悲報!!政府人選ミス】




【異世界の街づくり、スケールがおかしい】

【石材浮いてて草】

【土木が未来すぎるんですが】

【魔法は重機!!】

【建設業界大歓喜だな】


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