↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移したら、地球を所有してました。その裏で、地球では大騒動が始まっていた。  作者: りどみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/82

地球Side巡査部長

 金曜日の午後六時過ぎ。

 駅前交番で勤務中だった巡査部長・佐伯は、一本の110番通報を受けた。


『あ、あの……人が消えました!』


 受話器の向こうから、震えた女性の声が聞こえる。


「落ち着いてください。場所を教えてください」

『○○駅の東口です! 目の前で、人が光って……そのまま消えたんです!』


 佐伯は一瞬だけ手を止めた。


(光って消えた?)


 酔っ払いか、精神的に混乱している人の通報か。

 そう思いながらも、警察官としては決めつけるわけにはいかない。


「その方は男性ですか、女性ですか」

『女の人です! 若い人! 突然、足元が光ったと思ったら、眩しくなって……一瞬でいなくなってしまいました!』

「事件性がある可能性もあります。その場を離れずにお待ちください。すぐに向かいます」


 通話を切ると、佐伯は無線を取る。


「○○駅東口。女性が突然消失との110番。確認に向かいます、どうぞ」


 同僚と共にパトカーで現場へ急行した。

 







 現場には十人ほどの人だかりができていた。


「警察です。少し下がってください」


 規制線を張り、通報者から事情を聞く。


「本当に目の前で消えたんです」


 四十代ほどの女性は顔色を悪くしながら話した。


「私の少し前を歩いてたんです、その人。同じ方向で。突然……地面が白く光ったんです。それで、一瞬目を閉じて開けたらもういなかったんです」

「……誰かと接触したり、車に乗ったりは?」

「そんなのありません。何も」

「なるほど……」


 周囲の目撃者にも話を聞く。


「私も見ました」

「光ったのは確かです」

「爆発とかじゃなくて、音もしませんでした」

「自分も、消えた……としか言えないです」


 証言は細部こそ違うものの、大筋は一致していた。

 現場には血痕も争った跡もない。

 目撃者たちの連絡先を控え、解散してもらう。


「監視カメラを確認しよう」


 駅前には防犯カメラが何台も設置されている。

 映像を確認すれば、何かわかるかもしれない。

 









 数時間後。警察署の映像解析室。

 佐伯は防犯カメラの映像を食い入るように見つめていた。

 映像には、女性が歩いている姿が映っている。

 次の瞬間。足元から白い光が広がり――女性が消えた、一瞬で。

 編集の痕跡もない。カメラの故障でもない。


「……なんだ、これは」


 部屋の空気が重くなる。

 隣で映像を見ていた刑事も言葉を失っていた。


「……CGじゃないのか?」

「解析班にも確認させた。改ざんの痕跡はない」

「じゃあ、なんで……」


「誘拐でも拉致でも説明がつかないぞ」

「マスコミにはまだ出すな。混乱する」


 その日、事件は『行方不明事案』として処理された。


 しかし担当した警察官たちは誰一人として、あの映像を忘れることはできなかった。


 【人間が光に包まれ、瞬時に跡形もなく消える】

 常識では説明できない出来事。

 その真実を知る者は、この世界にはまだ誰もいなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。