第7話 「冷凍食品・チャーハンとコンソメスープ」
十日目
アナタは、『誰かのために覚悟を決めたこと』がありますか?
○『胃袋』内――
「ギャオオォォ……」
ドサッ
「やった、今日食べた『冷凍チャーハン』と『コンソメスープ』、全部消化したぜ!」
「ああ、やったな、たもつくん」
辛味レッドと、がっちり握手するたもつ。
その時、善玉キングから念話が入る
「デリシャスファイブとたもつくん、ワシの声が聞こえるか?」
「善玉キングさま、聞こえています」
「ワシの『善玉千里眼』で体内を探索していたが、どうやら『三大栄養素』が動き出したようじゃ」
「『三大栄養素』が!」
たもつの頭の上には、大きな『はてなマーク』がポンっと浮かんだ。
それを見ていた苦味ブルーが、説明を始める
「『三大栄養素』とは、『炭水化物竜』、『たんぱく鳥』、『脂質巨人』の三体の中ボスモンスターです。
それぞれの栄養素をたくさんとることで、目覚め、動き出すと言われています」
「中ボスモンスター、強そう……」
たもつは少しビビる
「強いです、今までの食材モンスターとは一線を画す強さでしょう。
たもつくんは『炭水化物』を食べることが多かったので、『炭水化物竜』が目覚めたようです」
「『炭水化物』か……
ご飯やパンや麺類に多いんでしょ? 俺大好きだもん。
『ラーメンとライス』なんて、『炭水化物』×『炭水化物』だもんね……」
たもつは考える……
おいしいものって、どうして体に悪い影響を与えるものが多いのだろうか、と。
善玉キングが、話を続ける
「『善玉千里眼』によれば、『炭水化物竜』は小腸にいる。
よいかたもつくん、『三大栄養素』をすべて倒せば、『悪玉キング』の居場所を突き止めることができるのじゃ」
「『悪玉キング』の居場所を!?」
『悪玉キング』……
善玉キングより聞かされていた、この体を悪い方向へ導こうとしている、悪の親玉……つまりこの世界の『ラスボス』。
この『悪玉キング』を倒すことが、この体を救うための第一歩となる、らしい。
「『悪玉キング』か……もうネーミングだけで、悪そうだし、強そう」
「悪玉キングの力が増大すると、腸内のバランスは崩れ、腸内環境が悪化、それにより生活習慣病のリスクが高まるんだ」
「悪い事ばっかりじゃん!?」
「今までも、自分の居場所を巧妙に隠していて、私たちも攻めることができなかったんだ」
デリシャスファイブのメンバーたちも、少し悔しそうにしている。
「その手掛かりの一部を、今回手に入れることができるかもしれないんだね?」
「そうだ」
みんなで円陣を組み、気合を入れる
「よし、気合を入れて行こう!」
「おう!」
○小腸――
メンバーとたもつは、小腸に到着、するとすぐ……
ズシン、ズシン……
「もの凄い揺れ……現実世界だったら『震度6』はあるよ!?」
「バオオオオオオーーッ!」
小腸の奥には、巨大な体躯を持つ黄色のドラゴン、『炭水化物竜』が。
「あれが炭水化物竜、今までの食材モンスターが、みんなザコキャラに見えるよ……」
もっちりとした質感の身体、麺のようなものでできた翼、周りには白い粉のようなものが舞っている。
「あの白い粉は、小麦粉?」
名前: 炭水化物竜
レベル: 120
HP: 12000
MP: 5500
力: 3600
賢さ: 2800
体力: 4400
素早さ: 2000
その巨大な丸い目が、メンバーとたもつに照準を合わせる。
「くるぞ!」
ズシン、ズシン、ブウン!
後ろに振り向いたかと思うと、あとから巨大な尻尾が飛んでくる
「危ないっ!」
「うわぁ!」
バキバキバキーーッ
メンバーとたもつは、ギリギリ避ける
「あの巨体で、なんて速さだ」
「今度はこっちの番だ!」
辛味レッドが先陣を切る
「一味ブレード!」
ザンッ!
「ダメだ、ほとんど効いていない!」
「体がもっちりしていて、斬っても手ごたえがない」
「ならアタシの魔法で!」
甘味ピンクが魔力を集中する。
「スイートハリケーン!」
ババババァーーッ!
ピンク色の嵐の奔流!
ザザザァーー
スイートハリケーンが晴れると、中から無傷の炭水化物竜が
「そんな!?」
「あの周りの『小麦粉』が、結界のような働きをしているんだ」
「物理攻撃もダメ、魔法攻撃もダメ、強い……」
メンバーとたもつは、なす術がない
ヒィィィン……
炭水化物竜が、息を吸い込んでいる
「マズい、『小麦粉のブレス』が来るぞ!」
バオオオオオオーーッ!
「うわぁーーっ!」
酸味イエローと旨味グリーンが、防御の壁を張ったが、簡単に吹き飛んだ
「くそっ、強すぎる、一旦撤退するぞ」
「り、了解!」
メンバーとたもつは、撤退を余儀なくされた。
安全な場所で、全員回復。
「まったく手も足も出なかった、ここまでとは」
「……」
全員、意思消沈……
「さすがは中ボス、あんなのどうやって倒すの?」
物理もダメ、魔法もダメ、たもつにはどうやって戦ったらいいかすらわからない
「合体技しかない、私たちの合体技『デリシャス・ノヴァ』を使うしか」
「『デリシャス・ノヴァ』……?」
「メンバー全員の技を、辛味レッドに集中・収束して放つ大技です、しかし、このままでは……」
旨味グリーンがたもつに説明する
「何か条件があるの?」
「今のたもつくんの体の状態ではエネルギーが足りません、それに、レッドの防御力も……」
「エネルギーを上げて、レッドの防御力を上げる方法は?」
「それは、『絶食』です」
「ぜ、『絶食』!?」
たもつは驚いて、持っていた装備を落とす
「しかも『24時間の絶食』です。それにより、余っていた体中のエネルギーがすべて収束され、我々の感覚も『最大』になります」
「『24時間の絶食』……」
たもつは、少し悩んだが、覚悟を決めた顔に。
◇今回の献立
「冷凍チャーハンとコンソメスープ」(総カロリー: 約631)
コメットマン(100)×3
たまごジェネラル(70)
チキンホーク(40)
ニンジン三姉妹(10)
タケノコもぐら(5)
ネギ坊主(5)
しょう油マーメイド(71)
ラードスライム(75)×2
コンソメゴーレム(30)
◇今回の健康カルテ
体重: 66キロ
BMI: 22・6
血圧: 150/100
中性脂肪: 205→207
LDL: 170
HDL: 35
尿酸値: 7・8
γ-GTP: 185
血糖値: 135
ストレスレベル: 標準




