第4話 「食堂の焼き鮭定食」「サンマ定食」
六日目・七日目
アナタは、『食事のバランスを意識』したことがありますか?
◆たもつは仕事をしながら、昨日の「黒いヒーロー」の事を思い返していた
(アイツはいったい何者だったんだろう? 善玉キングも、作った覚えはないって言っていたし……)
味方なのか、敵なのか、それすらもわからない。
ただ、敵だとしたら、相当な強敵になるのは間違いない。
(どちらにしても、俺も、メンバーも、更なるレベルアップが必要だ)
キーンコーンカーンコーン
お昼休みのチャイムが鳴った。
でも仕事がちょこっとだけ残っている、いつもこの時間は、こんな感じだ。
たもつは、お昼休みに入る前に残った仕事を片づけてしまおうと、全力で作業を進める、すると――
「いや~腹減った、今日はラーメン食おうっと」
「ワルオ」が、残った仕事を放り投げて、休憩に入ろうとしている。
思わずたもつは、ワルオに注意する。
「こらワルオ! まだ仕事が残っているだろ、休憩前に終わらせろよ」
自分はいつも全力で仕事をしているのに、いつも手を抜いて仕事をしているワルオが気に入らないたもつ。
「あのなぁたもつ、『仕事』は『仕事』、『休憩』は『休憩』、『遊び』は『遊び』。 こういうのは『メリハリ』が大事なんだよ」
「よく言うよ、『休憩』と『遊び』は全力のくせに、仕事はいつも手抜きじゃないか」
『また始まった……』という感じで、顔に手を当てるタカオ。
この職場では日常茶飯事で、よく見慣れた光景でもあった。
そして夕方――
キーンコーンカーンコーン
終礼のチャイムが鳴った。
「今日は仕事が早く終わったから、久しぶりに会社の『社員食堂』で晩御飯にしようかな」
たもつの会社には『社員食堂』があるが、あまり遅くまで営業しておらず、晩御飯まで食べられるのはまれだった。
メニューを眺めながら、
「う~ん、カレーライスやハンバーグは、まだ俺たちのレベルだと強敵だ、消化しきれないかもしれない。
となると、もうちょっとカロリーの低めのやつが……」
その時たもつは、前に苦味ブルーに言われたことを思い出す
「食事は、いろんなものをバランスよく食べるのが大事なんですよ」
「フム、いろんなもの、か……」
たもつは、普段なら絶対に食べない、『魚料理』を頼むことにした。
「おばちゃん、『焼き鮭定食』一つ」
「あいよ、まいどあり」
たもつは『焼き鮭定食』を持ってテーブルに座る。
「『魚料理』は骨があって食べづらいから、いつもは敬遠していたけど、多分カロリーはそんなに高くないはず……」
たもつは『焼き鮭定食』を平らげると、そのまま帰路につき、いつものようにラノベを読んで、就寝した。
○目を開けると、
なんかメンバーたちが、少しキラキラしているような……?
「みんなどうしたの?」
たもつはメンバーのステータスを見てみた。
「凄い、みんな『かしこさ』が上がっている!」
辛味レッドが、自分の魔力を確かめるように話し出す
「『魚料理』に含まれる『DHA』や『EPA』のおかげで、私たちのステータスの『かしこさ』が上がったんだ。
きっと魔法の威力が上がっている、みんな『魔法』を主体にして攻撃だ」
「『魚料理』には、そんな効果があったんだ」
メンバーとたもつは、胃袋へ移動し、擬人化したモンスターと対峙する。
名前: サーモンウィザード×2体
レベル: 19
HP: 80
MP: 70
力: 25
賢さ: 80
体力: 25
素早さ: 30
名前: コメットマン×3体
レベル: 18
HP: 100
MP: 90
力: 40
賢さ: 100
体力: 40
素早さ: 30
名前: キャベツ小僧×4体
レベル: 10
HP: 11
MP: 5
力: 4
賢さ: 5
体力: 7
素早さ: 8
名前: みそスライム×1体
レベル: 10
HP: 40
MP: 6
力: 5
賢さ: 2
体力: 4
素早さ: 7
辛味レッドの魔法攻撃!
「ハバネロショット!」
バシュンッバシューンッ!
真っ赤な火の玉が、敵に向かって飛んでいく!
酸味イエローの電撃魔法!
「柑橘系酸ダー!」
バリバリバリーーッ
旨味グリーンの魔法攻撃!
「イノシンウェイブ!」
ザザザァーー
「回復はワタクシにお任せを。 『良薬口に苦し』!」
パアァァ……
HPが回復した!
「とどめはアタシよ、くらいなさい、『スイートハリケーン』!」
ババババァーーッ!
ピンク色の嵐の奔流に、敵は全員吹き飛ばされていった。
「やった、全部『消化』した!」
*****
◆現実の会社食堂――
その日も晩御飯は『社員食堂』で、『サンマ定食』を頼む。
たもつは『サンマ定食』を平らげると、そのまま帰路につき、いつものようにラノベを読んで、就寝した。
○目を開けると、
「やった、みんなまたキラキラしてる。 『かしこさ』が上がっている?」
「あ、ああ……『かしこさ』は上がったんだが、他のパラメータが下がってしまったみたいだ」
「えっ?」
たもつはメンバーのステータスを見てみた。
「本当だ、『かしこさ』は上がっているけど、力や体力なんかは、軒並み下がっている……」
「『魚料理』の『DHA』や『EPA』は、『かしこさ』を上げてくれる素晴らしい食材だけど、やはり力や体力は『肉料理』の方が強い」
「そうなんだ、これもバランスってやつか……」
名前: サンマメイジ×2体
レベル: 20
HP: 110
(※サンマは焼き鮭よりカロリー高めだが、DHA・EPAが高い)
MP: 65
力: 40
賢さ: 75
体力: 45
素早さ: 15
※あとは昨日と一緒。
メンバーとたもつは、『魔法』主体で戦うが、力と体力が低いせいで、意外と手こずる。
「同じものばかりじゃなく、毎日バランスよく食事をすることが一番なんだな」
◆次の日――
キーンコーンカーンコーン
「ワルオ、休憩に行くつもりか?」
「うっ……たもつ、だからいつも言ってるだろ……」
「『メリハリ』が大事、だろ?」
「えっ」
たもつは、上司である部長のところへ。
「休憩時間なので仕事は中断します」
「え、あ、ああ」
「提案です、この時間はいつも仕事が立て込んでいます。
仕事の発注時間を変えるか、休憩の開始時間の見直しをしてはどうでしょう?」
「な、なるほど……善処するよ」
たもつはワルオの肩をポンっと叩くと、一緒に食堂へ向かうのだった。
◇今回の献立
「食堂の焼き鮭定食」(総カロリー: 約544)
サーモンウィザード(80)×2
コメットマン(100)×3
キャベツ小僧(11)×4
みそスライム(40)
「食堂のサンマ定食」(総カロリー: 約604)
サンマメイジ(110)×2
コメットマン(100)×3
キャベツ小僧(11)×4
みそスライム(40)
◇今回の健康カルテ
体重: 66キロ
BMI: 22・6
血圧: 145/95
中性脂肪: 205
LDL: 175→170
HDL: 35
尿酸値: 7・8
γ-GTP: 185
血糖値: 135
ストレスレベル: やや高め




