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第36話 「心臓・悪玉キング」

 アナタは『答えを出した』ことがありますか?


 〇五臓六腑の間――

 たもつとメンバーは、全員で『心臓の間』の扉の前に

 それぞれ手に入れた『動脈のカギ』五つと、『静脈のカギ』五つを、『心臓の間』の鍵穴に差し込む


 ガチャン 「よし」

 ガチャ 「ふぅ」

 ガチャン 「うぅぅ」

 ガチャン 「うん」

 ガチャ 「こ、これでいいの?」

 ガチャン 「ひえ~」

 ガチャ 「よいしょっと」

 ガチャ 「へへへ」

 ガチャン 「OK」

 ガチャ 「いいよ」


 ガチャ、ギイィィ……

 全員で、顔を見合わせる

「よし、行こう」

 全員、首を縦に振る


『心臓』……

 人の胸のほぼ真ん中にある、ハート形の臓器

 筋肉からなる律動する臓器で、血液循環系の中枢機関

 血液を体中に循環させる、ポンプのような役目を担っている


 ドクン、ドクン、ドクン……

 この世界の『心臓の間』は、左に左心室と左心房、右に右心室と右心房があり、

 その壁は、絶えず脈動している……


 その『心臓の間』の最奥にある、巨大な玉座、

 そこに座るは、巨大な体躯に鎧を纏い、その隙間から暗黒のオーラがあふれ出ている、漆黒の影、悪玉キング……


「悪玉キング……」

「フッ、来たか、善玉の犬ども……」

 悪玉キングは、一つ息を吐くと、その巨大な体躯を立たせる

 その地獄の底の様な深紅の目で、たもつとメンバーを睨みつける


「我が玉座まで、よくぞ辿り着いた、それは褒めてやろう。

 だがそれもここまで、ここが貴様らの墓場となる、生きているうちに見る最後の景色だ、とくと眺めておくがいい」

 悪玉キングは両手を広げ、まるでたもつとメンバーを歓迎するかのよう


 たもつが一歩前に出る

「悪玉キング、お前に聞きたいことがある」

「ほう、言ってみよ」


「お前の目的はなんだ? この身体せかいを悪くして、いったい何がしたいんだ?」

 悪玉キングは、少し微笑む

「我の目的、それは、愚かで浅はかなニンゲンの、この身体せかいを支配すること」


「この身体せかいの支配……そんなことのために?」

「そんなこと……?

 フッ、では我からも質問だ、たもつよ」


 悪玉キングは、その視線をたもつへ

「貴様たちニンゲンは、他の命を奪っておきながら、勝手に『賞味期限』などというものを作り、それが過ぎたら食べもせずに捨てているな」

「それは……」


「体が悪くなるのがわかっているのに、欲望のまま食し、取り返しがつかなくなってから後悔する」

「……」


「貴様たちニンゲンは、バカなのか?」

「なんだと?」


「野生の動物たちでさえ、必要以上の狩りはしない」

 確かに、野生の動物が狩りをするのは、飢えているときだけ……

 満腹の時は、それ以上の狩りはしない。


「我から言わせれば、貴様らニンゲンは、動物以下だ。

 貴様ら、愚かで浅はかなニンゲンに代わって、我がこの身体せかいを支配してやる、ありがたいと思うがいい」

 自信満々にそう語る悪玉キング


 しばらく、沈黙が続く……


「確かに、お前の言う通りかもしれない」

「たもつくん……」


「昔の俺は、食に関心がなく、手軽に食べられるものばかり食べていた。

 健康に悪いと知りつつ、脂っこいものを食べたり、タバコも吸っていた。

 自分を棚に上げて、友人と喧嘩することもあった……」

 周りのメンバーたちが、心配そうにたもつを見つめている


「でも人間は、気づき、反省することができる。

 見直し、改善することができる」

「……」


「俺はずっと逃げてきた。

 めんどくさい食事、健康診断の数値、嫌いなもの、苦手なもの、

 体から、健康から、仲間から、ずっと逃げてきた」

 悪玉キングは、ずっと黙って聞いている


「でももう逃げない、ちゃんと向き合って、受け入れて、考えて、少しずつ良くしていく……

 これが、今までの冒険で手に入れた、俺の答えだ!」

「たもつくん……」

 レッドは、たもつの言葉に感動して、思わずたもつと握手する


 悪玉キングは、マントを翻し、右腕を前に差し出し威嚇する

「フッ、くだらん、そんなきれいごと、言うだけならいくらでも言える。

 態度と力で示してみよ、それができぬのなら、おとなしく散れ」


「このまま、なにもせずお前に支配されるわけにはいかない……

 悪玉キング、お前を倒し、俺がこの身体せかい健康へいわにしてみせる!」


 悪玉キングは、両手を広げ、戦闘態勢に

「来るがいい、愚かで浅はかなニンゲン! そして善玉の犬どもよ!」


 たもつとメンバーも戦闘態勢に、全員横一列に並ぶ

「みんな、行くぞ!」

「おう!」


「テイスティング!」


 ヒイィィン……

 ガカァッ!

 全員変身、変身ポーズを決める


「ピリリと辛い、赤い旋律、辛味レッド!」

 ジャキーン!


「苦さの中に、癒しの効果、苦味ブルー!」

 ジャキーン!


「酸っぱいものは、体にいい、酸味イエロー!」

 ジャキーン!


「旨味と出汁は、日本の文化、旨味グリーン!」

 ジャキーン!


「甘いものは別腹、そうでしょ? 甘味ピンク!」

 ジャキーン!


「純白、光、聖なる力、薬味ホワイト!」

 ジャキーン!


「大地の力で、みんなを守る、醍醐味ブラウン!」

 ジャキーン!


金色こんじきの光は勇気のあかし、極味ゴールド!」

 ジャキーン!


「みんな揃って、味覚戦隊 デリシャスファイブ!」

 ジャキーーーーンッ!


 ゴアアアァァーーーーッ

 悪玉キングの漆黒のオーラと、たもつとメンバーの金色のオーラが、中央でぶつかる!


「その儚い『希望』を、我が『絶望』にかえてやろう……

 お前たちの屍を供物とし、我がこの身体せかいの支配者であるということの証明としよう」


「悪玉キング……

 俺たちは負けない、お前を倒し、この身体せかい健康へいわは、俺たちが守る!」


「はあああぁぁーーーーっ!」

「うおおおぉぉーーーーっ!」



 ◇今回の健康カルテ

  体重: 63キロ

  BMI: 21・5

  血圧: 125/80

  中性脂肪: 195

  LDL: 160

  HDL: 29

  尿酸値: 7・0

  γ-GTP: 172

  血糖値: 117

  ストレスレベル: 普通


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