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第32話 「肝臓・大ゴミルーク」

 アナタは『今さら後悔した』ことがありますか?


「次の『五臓六腑の間』に行く前に、善玉キングさまに訊ねる必要があるようだな……」


 その時――

「たもつくんと、デリシャスファイブよ、聞こえるか?」

「善玉キングさま!」

 善玉キングから、念話が入る


「今までのお前たちの戦い、すべて見ておった。

 まずは薬味ちゃん、無事帰還できて何よりじゃ」

「はい、ありがとうございます、善玉キングさま」


「善玉キングさま、お尋ねしたいことがあります」

「うむ、聞こえておった、『たもつくんの覚醒』と、『死の因子』のことじゃな?」

「はい」


 たもつとメンバー全員、善玉キングの話に耳を傾ける


「まず最初に、ワシがこの身体(せかい)に誕生してから今まで、悪玉キングの力が日に日に強くなっていくのを感じておった」

「それは、俺の食生活や、健康への無関心が原因……今更だけど、ホント申し訳ない」


「ワシは強大になっていく悪玉キングの脅威に対抗するべく、『最強のヒーロー』を作ることにした」

「『最強のヒーロー』?」

「今のデリシャスファイブ全員の力をも凌駕するほどの、最高のヒーローじゃ。

 しかし、『最強のヒーロー』を作るには、様々な条件が必要で、作っても失敗ばかりじゃった」


「デリシャスファイブ全員分って……そりゃ無理があるよ」

「そこでワシは考えた……夢の力を使って、この身体(せかい)そのものの『たもつくん』を召喚すればよい、と」

「なぜそこで、俺が?」

「たもつくんは、『最強のヒーロー』を作る条件を、ほとんど満たしておったからじゃ」


 レッドも会話に参加する

「……ゼロから作るよりも、可能性の高い者を育てる方が早い、と?」

「そうじゃ、だが、その『覚醒』には、『感情の高ぶり』が必要なのじゃ」

「『感情の高ぶり』……?」


「『喜び』、『怒り』、『悲しみ』……

 どれでもいいのじゃが、激しく感情が高ぶらないと、『覚醒』はできない。 それが最終条件なのじゃ」


 メンバーたちは、納得した顔で、お互いを見る

「それで、我々の遺伝子に『死の因子』を……」

「そうじゃ、もっとも簡単なのは、仲間の死による『悲しみの感情の高ぶり』……

 そのために、ワシはお前たちの遺伝子に、『死の因子』を刻んだのじゃ」


「……」

 メンバーもたもつも、あまりの事実に、沈黙……

 善玉キングが、話を続ける


「この『死の因子』が遺伝子に刻まれている以上、たもつくんが覚醒するまで、『死の運命』から逃れることはできぬ。

 どうやって死ぬかはわからないが、覚醒するまで、必ず誰かが、いや、ひょっとしたら全員が、死ぬ可能性がある」

「そんな……」


 薬味ちゃんが、みんなの輪から少し外れて、思いを馳せる

「だから毒味ねえさんは、その『死の運命』を変えるために、悪玉キングのもとへ……」

「薬味ちゃん……」


 善玉キングの話は続く

「……お前たちに『死の運命』を与えたのは、申し訳ないと思っておる。

 しかし、このままでは、悪玉キングがこの身体(せかい)を支配してしまうのは時間の問題じゃ。

 放っておけば、間違いなく『糖尿病』や、他の病気にかかり、いずれ全てが『停止』してしまうじゃろう」

「それって、俺の『死』……?」


 善玉キングの声が、さっきまでとは明らかに違う

「ワシから、お前たちに頼む。

 まずは悪玉キング討伐と醍醐味くん救出を最優先に。 後のことはそれから考えよう」


「わかりました」

 みんなが決める前に、レッドが答える


「どちらにしても、私たちは進むしかない。

 このまま引き返しても、何も変わりはしないのだから」

「レッド……」

 たもつとメンバーの顔に、覚悟がみなぎる


「それに、たもつくんが覚醒する前に、私たちで毒味クイーンも悪玉キングも倒してしまえば、問題はない、そうだろう?」

「……うん、そうだね!」

「決まりだ、みんな行くぞ!」


 メンバーとたもつは、『五臓六腑の間』へ


 〇『五臓六腑の間』――


「残り三つ、どこから行こうか?」

「できれば毒味クイーンと戦う前に、醍醐味くんを救出しておきたいのだが……」


 薬味ちゃんが前に出て、扉を指差す

「『肝臓の間』にしましょう」

「薬味ちゃん!?」

「姉さんは『肺臓の間』にいるような、そんな気がします」

「よし、わかった」


 メンバーとたもつは、『肝臓の間』へ


 ガチャ、ギイィィ


『肝臓』……

 人体で最も大きい臓器で、体重の50分の1を占めていると言われている臓器

 その主な働きは3つ

  ①体に必要なたんぱく質の合成・栄養の貯蔵

  ②有害物質の解毒・分解

  ③消化に必要な胆汁の合成・分泌

 損傷があっても症状が現れにくく、『沈黙の臓器』と呼ばれている


「広い……」

 肝臓の間は、今までとは違い、とても広い空間に、機械や工場のような建物が立ち並んでいる

 煙突からは、常に煙が立ち上り、空は分厚い雲で覆われている

「まるで日本の『工業地帯』みたいだ……」


 周りを見渡すが、誰もいない……

 たもつが歩いて先に進むと、

「たもつさん、そこにいます!」

「えっ?」


 ドバァーーッ

 地面から飛び出してきたのは、『大ゴミルーク』だった


「醍醐味くん!」

 黒いスーツに身を包み、目が赤く、紫のオーラが立ち昇っている

「ふしゅーー、敵、掃除する。 おいどんが、掃除する……」

 大ゴミルークは、戦闘態勢に


「醍醐味くん、俺たちだよ、わからないの?」

「敵、掃除、敵、掃除……」

 キュウゥゥン……


 大ゴミルークの両手に、周りの『ゴミ』が集まり、ひと塊に

「『ダストシュート』!」

 ドンッ!


 集まった『ゴミ』の塊が、キャノン砲のように打ち出される

 ドガァンッ!

「うわぁっ」

「くそっ、醍醐味くんも、『毒気』に当てられてパワーアップしている」


 ジリジリと間を詰められるメンバー

「ここはワタシに任せて下さい」

 そう言って前に出てきたのは、薬味ちゃんだった


「薬味ちゃん!? でも君は戦闘向きでは……」

「大丈夫です、ワタシも姉さんに力を限界まで引き出してもらいました、戦えます」


 薬味ちゃんは大ゴミルークの前に立ち、構える

「薬味ちゃん、いったい何を……?」


「テイスティング!」(変身の掛け声)


 ヒイィィン……パアァーーン!

 薬味ちゃんが、掛け声とともに眩しく光ったかと思うと、真っ白なスーツを着た、女性の戦隊ヒロインに

「ええーーっ? 薬味ちゃんが変身!?」


「純白・光・聖なる力……『薬味ホワイト』見参!」

 ジャキーーンッ

 かっこよくポーズを決める薬味ホワイト


「かっけー!」

 たもつもメンバーも、驚くばかり


「醍醐味くん、あまりにいうことを聞かないと、おしおきですよ?」

「う、うぅ……」

 明らかに動揺している大ゴミルーク


「純白の精霊召喚、来て、『ホーリィライト』!」

 キュウゥゥン……

 ボポポポンッ

 薬味ホワイトの周りに、五つの光る玉のような精霊が召喚された


「召喚魔法、スゲェー!」


 その時、大ゴミルークの両手に、周りの『ゴミ』が集まり、ひと塊に

「う、うおおーーっ! 『ダストシュート』ーーッ!」

 ドンッ!


「危ない、薬味ちゃん!」

「大丈夫です、ワタシを守って、『ホーリィシールド』!」

『ホーリィライト』たちは、薬味ちゃんの前に整列、五角形の光の盾を作る

 ガインッ!


『ダストシュート』を弾いた

「うががーー!?」


 薬味ちゃんが右手を上にあげ、人差し指を上に差す

 空中に『光る槍』が浮かんでいる

「『ホーリィランス』!」


 ヒュンッヒュンッ!

 ドスッドスッドスッ

『光る槍』が、大ゴミルークに刺さる

「ぐわあぁぁーーっ!」


「だ、醍醐味くん!?」

「大丈夫です、あの『光る槍』は、邪悪なものにしか刺さりません。

 動きは封じました、後はお願いします」


「わかった、みんな行くぞ」

 全員一つになり、レッドにエネルギーを送る

「醍醐味くん、正気に戻ってくれ! 合体技『デリシャス・スーパーノヴァ』!」

 ズバアァァーーーーッ!

 ドガガガガガーーーーッ!

 レッドから発射された巨大なエネルギー波で、大ゴミルークは吹っ飛んだ


「きゅぅぅ……」

「よかった、気絶しているだけだ」

 醍醐味くんは、目を回して気絶している

 その横には『静脈のカギ』が


「よし、8本目だ、先に進もう!」



 ◇今回の健康カルテ

  体重: 64キロ

  BMI: 21・9

  血圧: 128/82

  中性脂肪: 198

  LDL: 162

  HDL: 30

  尿酸値: 7・1

  γ-GTP: 178→175

  血糖値: 120

  ストレスレベル: 普通


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