第30話 「胆嚢・脂質魔人」
アナタは『セリフを奪った』ことがありますか?
ガチャ、ギイィィ
たもつとメンバーは、『胆嚢』の扉を開ける
『胆嚢』……
五臓六腑の一つで、食物の消化に必要な『胆汁』を蓄積・濃縮する器官
胆管(胆道)によって肝臓と十二指腸に繋がっている
『胆嚢の間』は、そこまで広くない空間だが、壁や地面から、ドロドロの『胆汁』が絶えず流れている
「凄く歩きづらい……」
「これは、かなり動きを制限されるかもしれないな」
ズシン、ズシン、ズシン……
「ぶるおおおおおーーっ!」
「現れたな、『毒気』に当てられた、『脂質巨人』……」
名前: 脂質魔人
レベル: 271
HP: 140000
MP: 27000
力: 76000
賢さ: 33000
体力: 48000
素早さ: 30000
「『脂質魔人』って名前に変わっている……
目も赤いし、紫色のオーラが立ち昇っている、パワーが前とは桁外れだ」
「大丈夫だ、たとえステータスが上がっても、『弱点』は一緒、やつは炎に弱いはずだ」
「前のときは、レッドの炎の魔法で、圧倒したもんね」
「ああ、『脂質魔人』には悪いが、今回も弱点を突かせてもらう。
炎の魔法、『ジョロキアストライク』!」
ゴアアアァァーーッ
脂質魔人は巨大な炎に包まれる
「やった!」
パアアーーンッ
炎が弾けた
「なんだっ!?」
「ぶるあああああーーっ」
『脂質魔人』の前には、紫色の壁が立ちはだかる
「あれは、『トキシックウォール』か!? 私の炎が弾かれた!?」
「すでに対策済みってわけか!」
キュイィィン……
ドンッドンッドンッ!
「『オイルキャノン』だ、みんな避けろ!」
全員、軌道を読み、避けようとするが
ツルンッ
「うわっ、滑る、これって……」
「脂質魔人の『油脂フィールド』だ、いつの間に……」
脂質魔人の体から、ドロドロの油が流れ込み、メンバーとたもつの足元まで浸水していた
「『胆汁』もドロドロだったから、見分けがつかなかったんだ、これも計算づくなのか?」
「ぶるおおおおおーーっ!」
ズシン、ズシン、ズシン……
脂質魔人が、『骨付き肉ハンマー』を振りかざしながら、こちらに近づいてくる
「マズいよ、完全に脂質魔人の『必勝のルーティン』だ……」
レッドが、トキシックウォールを見ながら考え込む
「『トキシックウォール』を破壊できるほどの威力と、脂質魔人の弱点をつく攻撃……」
「レッド、もう脂質魔人が目の前に……」
「ぶるらああああーーっ!」
脂質魔人の『骨付き肉ハンマー』の攻撃!
「ハイブリッドウェポン、『大盾』!」
ドカァンッ
間一髪、イエローの『大盾』で、脂質魔人の攻撃を防ぐ
そのまま『大盾』が倒れると、『おはしソード』を構えたレッドが……
「答えはこれだ、『ハバネロショット』+『おはしソード』、ハイブリッドマジック、『ハバネロソード』!」
ズバァッ!
「ぶろろっ!?」
レッドの放った『ハバネロソード』が、脂質魔人のトキシックウォールを切り裂く
「凄い、おはしブレードに、炎の魔法を『魔力付与』させたのか」
ズゾゾゾゾゾ……
一度破壊されたトキシックウォールだったが、すぐに再生してしまう
「なるほど、『再生能力』を持っているのか……ならば、それが追い付かないほどのダメージを与えるまで!」
レッドは、『ジョロキアストライク』の魔法を唱える
「イエロー、魔法の攻撃だ」
「あいよ、酸味魔法、『柑橘系酸ダー』!」
「『ジョロキアストライク』+『柑橘系酸ダー』、ハイブリッドマジック、『うめぼしメテオ』!」
レッドは、『柑橘系酸ダー』に『ジョロキアストライク』を合わせ、上空から炎に包まれた巨大な『梅干し』を落とす
ズガガガガガーーッ
「ぶるあああああーーっ」
脂質魔人のトキシックウォールは、粉々に吹き飛ぶ
「今だ、ピンク!」
「うん、『ショコラデコレーション』+『ハバネロショット』、『激辛地獄』!」
ドドドドドドーーッ
炎属性の大渦が、脂質魔人を飲み込んでいく
「とどめだ、『大太刀』+『ジョロキアストライク』、名付けて『ジョロキアブレード』!」
ズバァァーーッ!
炎を纏った深紅の大太刀が、脂質魔人を真っ二つに切り裂いた!
「ぶらるるる……」
「どうだ! ミディアムでもウェルダンでも、好きな方を選べ! ナーハハハ!」
「たもつくん、それは私のセリフ……」
真っ二つになった脂質魔人は、そのまま霧散して消えた……
あとには、『動脈のカギ』が落ちている
「よし、6本目ゲット、残り4本だ」
「残り四部屋、そろそろ毒味クイーンが出てきてもおかしくはない」
「レッド……そうだね、でも俺は、毒味クイーンって、そんなに悪い奴じゃないような気がしているんだ」
「たもつくん……」
「毒味クイーンが薬味ちゃんに話しかけていたとき、凄く優しそうで、そして悲しそうだった。
俺は毒味クイーンにも、何か事情があるんじゃないかと思うんだ」
「たもつくん、キミの言っていることは私もわかる。
だが、彼女は悪玉キングの幹部であり、薬味ちゃんと醍醐味くんをさらった張本人、対峙したら、倒さなくてはならない」
「うん、わかってる……」
一方そのころ――
〇アクダマキャッスル・玉座
毒味クイーンが、厄味ビショップと大ゴミルークを連れて、悪玉キングの玉座へ
「こちらが、『厄味ビショップ』と『大ゴミルーク』でございます、悪玉キングさま」
「……」
悪玉キングは、黙して語らず
厄味ビショップを、しばらく見おろす……
「いいだろう、二人を我らが幹部に」
「ありがとうございます、悪玉キングさま」
悪玉キングの手から、二つの『カギ』が、二人の目の前に
「二人に『カギ』を持たせ、五臓六腑の間の守護に当たらせろ」
「ですが、悪玉キングさま、それは……」
「我の決定に、異を唱えるか」
「い、いえ、滅相もございません」
そのまま、毒味クイーンと二人は、玉座の間を出る
ギイィィ、バタン
巨大な扉が閉まるやいなや、毒味クイーンは振り返り、厄味ビショップに話しかける
「すまない厄味……だが、今のお前の実力ならば、デリシャスファイブなどものの数にもならん。
『トキシックウォール』も張ってあるし、力も『毒気』で限界まで引き出してある」
厄味ビショップの肩に手を置き、まるで親が子を諭すように話す毒味クイーン
「安心しろ、何があってもお前は私が必ず救ってみせる。
デリシャスファイブと善玉キングを倒して、また二人で平和に暮らそう」
◇今回の健康カルテ
体重: 64キロ
BMI: 21・9
血圧: 128/82
中性脂肪: 205→198
LDL: 162
HDL: 30
尿酸値: 7・3
γ-GTP: 178
血糖値: 120
ストレスレベル: 普通




