第23話 「青椒肉絲」「餃子」
二十八日目
アナタは『苦手を克服』したことがありますか?
「改めて紹介しよう、『厄味ビショップ』と『大ゴミルーク』だ」
「『厄味ビショップ』に、『大ゴミルーク』だって? ふざけるな! 二人を返せ!」
メンバーたちの激高を、さらりとかわす毒味クイーン
「これで、私たちの戦力は倍増、お前たちの戦力は半減したといったところか……
万が一、『アクダマキャッスル』に来られたとしても、今のお前たちなら軽く『ひねる』ことができそうだ」
「くっ、くそ……」
「残念だが、お前たちの相手はまた今度だ。
悪玉キングさまに、二人を紹介しなければならんからな」
「ま、まて!」
「せいぜい首を洗って待っているがいい、フハハハーー」
そういって、毒味クイーンと厄味ビショップ、大ゴミルークたちは消えていった
気落ちし、愕然とするメンバーたち
「なんということだ、いったいどうすれば……」
「デリシャスファイブとたもつくんよ、聞こえるか?」
「善玉キングさま」
「いったん、我が居城に戻るのじゃ」
「わかりました」
メンバーとたもつは、いったん善玉キングの城へ
その数分後――
誰もいなくなったその場所に、『ブラック』が現れる
周りの状況を確認して、何が起こったのかを悟る
「本当に、これでよかったのか、毒味……」
〇善玉キングの城――
「善玉キングさま、ただいま戻りました」
「ウム、状況はあまりよくないようじゃの」
「はい」
たもつが、一歩前に出て善玉キングに尋ねる
「これから、どうしたらいい?」
「……」
しばしの沈黙――
「どちらにしても、まずは『脂質巨人』を倒すのが先決じゃ。
『アクダマキャッスル』の居場所がわかれば、二人の救出にもいける」
「なるほど」
「たもつくん、『脂質』の多い食事を頼む、一刻も早く『脂質巨人』を出現させるのじゃ」
「わかった」
◆次の日の朝、たもつの部屋――
目覚め、布団からでるたもつ。
手には、『安産祈願』のお守りが
「『案ずるより、産むがやすし』か……必ず二人を助ける!」
たもつは、いつものように仕事へ向かう
その日の夜――
仕事から帰宅したたもつは、両手いっぱいに買い物袋を持っている
「いろいろ悩んだけど、今晩のメニューはこれだ!」
たもつは調理を開始し、残さず食べ、就寝する。
〇夢の中――
「たもつくん、今晩のメニューって……」
「ああ、油といえば中華料理、今晩食べたのは『青椒肉絲』と『餃子』だよ」
「『青椒肉絲』? あのピーマンたっぷりの料理を、たもつくんが?」
メンバーは全員、信じられないといった表情
「俺はきっと、ピーマンは食べず嫌いだったんだと思う。
母ちゃんの料理で、細かく刻んでつみれに入れてたって聞いたから、勇気を出して食べてみたけど、これがまた美味いのなんの!」
「凄いじゃないか、たもつくん」
「子供のころ、あの苦味がトラウマだったけど、大人になって食べると、その苦味がクセになるというか……
油だけなら焼肉かなと思ったんだけど、ピーマンやたけのこにも、みんなを強化する栄養があるだろうと思って」
「その通りです!」
苦味ブルーが、感動したらしく、少し涙声で説明する
「ピーマンは、ビタミンC、βカロテンが豊富で、免疫力が向上します。
たけのこは、食物繊維、カリウムを多く含み、高血圧も予防します、どちらもボクたちを強化してくれます!」
「よし、みんなで『消化』しよう!」
メンバーとたもつで、今晩のメニュー、『青椒肉絲』と『餃子』の食材モンスターを倒す
すると善玉キングから念話が入る
「たもつくん朗報じゃ、『脂質巨人』が現れた、十二指腸じゃ」
「わかった、みんな行こう」
「おう!」
〇十二指腸――
十二指腸にいたのは、全身真っ赤な鎧を着た巨人、『脂質巨人』……
手には巨大な『骨付き肉のハンマー』を持っている
ズシン、ズシン、ズシン……
「ぶるおおおおおーーっ!」
「あれが『脂質巨人』、デカい……」
「あの見た目、ほぼ『物理特化』とみていいだろう、防御を固めつつ、遠距離から攻撃だ」
「了解」
「ハイブリットウェポン、『ストロー』+『ナイフ』、『天弓』!」
苦味ブルーが、弓矢で攻撃
「『ビターアローショット』!」
バシューーンッ
スカッ
「なっ……?」
「表面のあの油で、物理攻撃はほとんど滑ってしまうのか……」
「しかも油が固まってできたあの体が、直接攻撃の衝撃を吸収してしまう」
キュウゥゥン……
「なんだ……?」
脂質巨人の胸の前に、周りの油が集まっていく……
「『オイルキャノン』だ! みんな避けろ!」
ドンッ
巨大な油の玉が、メンバー目がけて飛んでくる!
ドバァッ
「挙動が遅いから、避けることはできるけど、まさか遠距離攻撃まで持っていたとは」
ドロドロドロ……
脂質巨人の体から油が流れて、メンバーの足元まで油まみれに
ツルンッ
ドテッ
「いたっ……油のせいで、足元がスゴイ滑る」
「はっ、しまった、これは『油脂フィールド』か!?
油の被膜で、私たちの動きを制限しているんだ」
「ぶるおおおお!」
骨付き肉ハンマーを振り回しながら、脂質巨人が近づいてくる
「『オイルキャノン』で視線をずらし、『油脂フィールド』で動きを制限して、『骨付き肉ハンマー』でとどめを刺す……
これがやつの『必勝ルーティン』か」
全員動きを制限されている中、レッドが指示を出す
「イエロー、『大盾』を出してくれ」
「わ、わかった、『スプーン』+『おはしソード』……『大盾』!」
ドゴーン!
イエローが、メンバー全員を包むほどの巨大な『大盾』を組み立てる
「『大盾』を油脂フィールドの上に敷くんだ、その上に乗れば動ける」
「なるほど、これなら攻撃できる」
「ぶろっ!?」
脂質巨人は、当てが外れて戸惑う
「みんな下がっていてくれ、私が相手をする」
「レッド一人で? 危険だよ」
「私は……私は、『怒っている』んだ……自分の不甲斐なさに。
戦隊のリーダーでありながら、みすみす薬味ちゃんと醍醐味くんを、目の前でさらわれてしまった」
「レッド……」
「『脂質』の弱点は『炎』だ、私のこの『怒り』を炎に変えて、やつを倒し、必ず二人を助ける!」
レッドの周りの炎が、集束する
「ミディアムでもウェルダンでも、好きな方を選べ! 炎の魔法『ジョロキアストライク』!」
ゴアアアァァーーッ
脂質巨人は巨大な炎に包まれる
「ぶるああぁぁーーっ!」
「よし、みんな、とどめだ! たもつくんも頼む」
「うん」
「合体技、『デリシャス・スーパーノヴァ』!」
ズバアァァーーーーッ!
ドガガガガガーーーーッ!
レッドから発射された巨大なエネルギー波が、脂質巨人に直撃
「ぶるぅ、ぶるああぁぁ……」
炎に包まれながら、脂質巨人は、霧散して消えていく
その時、何もない空に、突然『声』が響く――
「『三大栄養素』の消化を確認、善玉キングの『善玉千里心眼』を開放します」
◇今回の献立
「青椒肉絲」(総カロリー: 約293)
ビーフタウロス(100)×2
スーピーマン(6)×3
タケノコもぐら(5)×3
調味料トリオ(30)×2
「餃子」(総カロリー: 約286)
皮おばけ(20)×6
ポォークキング(100)
キャベツ小僧(11)
ネギ坊主(5)
山田にんにくん(10)
ジンジャーキッド(10)
調味料トリオ(30)
◇今回の健康カルテ
体重: 64キロ
BMI: 21・9
血圧: 135/85
中性脂肪: 200→205
LDL: 163→164
HDL: 31
尿酸値: 7・4
γ-GTP: 178
血糖値: 123
ストレスレベル: 普通




