第2話 「鶏のから揚げ定食」
二日目・三日目
アナタは、『野菜を残したこと』がありますか?
◆ジリリリリーー!
「はっ」
いつもの目覚ましの音で目覚めるたもつ。
「夢……だったのかな?」
昨日の夢を思い返す。
異世界転生だと思ったら、そこは自分の体の中で、
しかも『味覚障害』と『糖尿病』を起こしかけている。
自分の体を救うため、『味覚戦隊 デリシャスファイブ』とともに戦ってくれと、善玉キングに言われた。
「いやいやいや、まさかね……」
たもつは半信半疑、いつものように仕事に行く準備をして、出かけた。
一日中仕事をこなし、もうすぐ帰宅の時間、同僚の「タカオ」と「ワルオ」が話しかけてきた。
「たもつ、帰りいつもの定食屋いこうぜ」
「おう、わかった」
この時点で、たもつはすっかり夢の事を忘れ、
同僚と一緒に定食屋で『鶏のから揚げ定食』を食べた
そしていつものように、一緒についていた『キャベツの千切りとミニトマト』は残す。
それが「タカオ」にバレる。
「たもつくん、ちゃんと野菜も食べないと、健康になれないですよ」
「いいんだよ野菜なんて、肉食べた方が力でるんだから」
その日の夜、いつものようにラノベを見て、布団に入る。
Zzzz……
○善玉キング城内
「はっ」
目覚めると、また昨日の善玉キングのお城の中に……
周りには、善玉キングと『デリシャスファイブ』のメンバーが。
「夢じゃなかったんだ……いや、一応夢の中なのか、ややこしいな」
「待っていたよたもつくん、さあ、食べた物を『消化』しに行こう!」
『デリシャスファイブ』のリーダー、『辛味レッド』が、たもつに手を差し伸べる。
「おっとその前に、この二人を紹介しておこう」
善玉キングの横に、昨日はいなかった人物が二人……
一人は相撲取りのような体系の男性、もう一人は小さく可憐な白い少女。
「この二人は、装備・アイテム販売担当の『醍醐味くん』と、回復担当の『薬味ちゃん』だ」
「……よろしく」
「よろしくお願いします」
(本当のRPGみたいに、『装備・アイテム屋』と、『宿屋』の代わりってことか……)
ぎこちなくも、挨拶を交わすたもつ。
「これが自分の体の中じゃなかったら、最高だったのになぁ」
デリシャスファイブのメンバーとたもつは、『胃袋』の中へ
「今日食べた晩御飯が、ここにいるはずだ」
胃袋の奥には、昨日の『ポォークキング』のような、食材を擬人化したようなモンスターが多数。
名前: フェニチキンクス(衣付き)×4体
レベル: 22
HP: 110
MP: 60
力: 80
賢さ: 40
体力: 55
素早さ: 75
名前: コメットマン×4体
レベル: 18
HP: 100
MP: 90
力: 40
賢さ: 100
体力: 40
素早さ: 30
「よし、行くぞ!」
辛味レッドの号令で、みんな戦闘に入る。
「一味ブレード!」
ガキーンッ
「なにっ!?」
辛味レッドの攻撃が跳ね返された。
「オイラに任せて、『柑橘系酸ダー』!」
バリバリバリーーッ
酸味イエローの電撃攻撃!
シュゥゥ……
「ギョエェェーーッ!」
「全然平気みたいだ!」
「くっ、本来『鶏肉系』は、低カロリー、高たんぱくのとても消化しやすい食材だが、
『衣』と『油』をコーティングした『から揚げ』は、その辺の食材と比べ物にならないほど強化されているんだ!」
(あの『ポォークキング』すら一撃で倒した辛味レッドが、苦戦するなんて……)
メンバー全員で攻撃するが、なかなかHPを削れない。
「たもつくん、なぜキミは野菜を食べない?」
「えっ?」
辛味レッドが、突然たもつに尋ねる。
「食事を野菜から食べれば、血糖値の急上昇を抑えられ、敵の動きを鈍くすることができる」
「野菜に、そんな効力が……」
「野菜はビタミンやミネラルなどを豊富に含み、食物繊維は善玉キングさまを強化する効果がある。
キミがいつも野菜を食べないおかげで、我々はいつもピンチだ」
「そんな、そうだったんだ……」
そのまま敵とメンバーは、戦いながら小腸、大腸と移動したが、最期まで『フェニチキンクス』を倒しきることができなかった。
「また消化しきれなかった……」
「消化しきれなかったら、どうなるの?」
「消化しきれなかった余分な糖が、脂肪組織で『中性脂肪』として蓄積されてしまう。
これにより、また糖尿病になるリスクが高まってしまうんだ」
「……ゴメン、俺のせいだ」
◆自宅の布団の中
――気が付くと、もう朝で、たもつは自分の部屋で目覚める。
「このままじゃ、ダメだ」
仕事をした帰り、また同僚に食事に誘われる。
「たもつ、今日もあの定食屋行こうぜ」
「ああ」
たもつはまた『鶏のから揚げ定食』を頼む。
「いただきまーす」
たもつはもの凄い勢いで、一緒についている『キャベツの千切り』と『ミニトマト』を食べる。
同僚の二人は、あっけにとられる
「ど、どうしたんだ、たもつ?」
「『キャベツの千切り』と『ミニトマト』、おかわり!」
○その日の夜――
布団に入り寝ると、また善玉キングの城の中に
「待っていたぞ、たもつくん」
「ああ、今日はバッチリだ!」
メンバー全員と『胃袋』へ。
「ギョオオオーン」
昨日と同じく、『フェニチキンクス』と『コメットマン』が。
でもその前に、キャベツとトマトの擬人化したモンスターが。
名前: キャベツ小僧×4体
レベル: 10
HP: 11
MP: 5
力: 4
賢さ: 5
体力: 7
素早さ: 8
名前: ミニトマトン×10体
レベル: 8
HP: 3
MP: 2
力: 2
賢さ: 3
体力: 2
素早さ: 3
「弱っ」
「これならすぐに倒せる。
しかも急激に血糖値が上昇しないから、『フェニチキンクス』と『コメットマン』の動きも遅い」
苦味ブルーも会話に参加
「キャベツの『ミネラル』と『ビタミン』、それにトマトの『リコピン』のおかげで、我々も強化しています!」
「よーし、じゃあさっそく、『消化』してやるぜっ!」
メンバーとたもつは、必殺技を駆使し、大腸の入り口付近で、敵を全員『消化』した。
「やったー!」
「よし、完勝だ」
「やったな、たもつくん」
「うん」
たもつは、消化されていく食材たちを眺めながら、野菜の大切さを知るのだった。
◇今回の献立
「定食屋の鶏のから揚げ定食」(総カロリー: 約903)
フェニチキンクス(110)×4
コメットマン(100)×4
キャベツ小僧(11)×3
ミニトマトン(3)×10
◇今回の健康カルテ
体重: 67キロ
BMI: 22・9
血圧: 145/95
中性脂肪: 210→205
LDL: 178→175
HDL: 35
尿酸値: 7・8
γ-GTP: 185
血糖値: 135
ストレスレベル: 標準




