表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/14

第1話 「コンビニの豚丼弁当」

 一日目


 アナタは、『異世界転生してみたい』と思ったことはありますか?


 剣や魔法を使ったり、モンスターを倒して経験値を手に入れたり、

 もしくは、異世界のヒロインと恋に落ちてみたり……


 ここにも一人、そんな『異世界転生』に憧れる青年が。

「平 均{たいら たもつ}」、35歳、男性。

 日本のごく平均的な、中肉中背の、普通の青年。


 一人暮らしを始めて15年、自炊が苦手な彼は、毎日外食とコンビニ弁当ばかり。

 しかも野菜(特にピーマン)が嫌いで、肉料理とラーメンが好物。


 彼は今日も一日、仕事を終え、コンビニの『豚丼弁当』を食べながら、大好きな『異世界転生のラノベ』を読んでいる。

 パタンッ

「いや~、やっぱり『異世界転生』モノはいいよなぁ、夢とロマンがあるよ」

 たもつは本を閉じてそう言うと、天井を見上げ祈りだす。

「神様、お願いします、どうか俺を『異世界転生』させて下さい……」


 深夜になり、布団に入り、電気を消す。

 もう眠りに入りそうと思っていると、頭の奥で小さな声が響いてくる

「たもつくん、この世界が大ピンチじゃ、キミの助けが必要じゃ……召喚!」


 *****


「ムニャムニャ、ふあぁぁ……」

 目覚めると、そこはなぜか外? しかも見たことのない風景?

「えっ、これは……?」

 たもつは、自分の手を見る、明らかにいつもの自分の手じゃない。

 近くにあった川を覗く、そこには若々しい10代の少年の顔が!


 たもつはブルブル震える、そして――


「やったーーっ! 異世界転生だーーっ!」


 両手を上げてガッツポーズ!

「神様が、俺の願いを聞いてくれたんだ! ありがとう神様!」

 たもつは涙を流しながら、天に祈りを捧げる。


「待てよ、ということは……」

 そう言いながら、たもつは叫んでみる。

「ステータスオープン!」

 ピコンッ


 たもつの前には、ゲームのようなステータス画面が現れる。

「やった、ホントに出た! スゲー!」


 名前: たもつ

  レベル: 5

  HP: 65

  MP: 15

  力: 15

  賢さ: 10

  体力: 10

  素早さ: 10

  健康状態: 最悪


「ゲームの名前はひらがなで『たもつ』か、もっとカッコいいのにしたかったけど、まいっか」

 たもつの目線はステータスの下の方へ


「ん? 『健康状態:最悪』?」

 あまりゲームでは見ないパラメータ……

「ま、これもいっか」


 ガサガサッ――

 茂みが揺れる……

 奥から現れたのは、ブタの顔をした、小さめのモンスター!?


「ブヒッ、ブヒーー!」

「おおう、さっそくモンスターが現れた! ステータスは……?」

 ピコンッ


 モンスターの前にもステータス画面が現れる。


 名前: ポォーク

  レベル: 2

  HP: 30

  MP: 3

  力: 10

  賢さ: 2

  体力: 8

  素早さ:3


「おお! 出た! ん? 『ポォーク』? 『オーク』じゃなくて……?」

「ブブヒーーッ!」

 ブタ顔の「ポォーク」が襲ってきた!

「よ、ようし、やってやるぜ」

 シャキーン

 たもつも、装備していた剣を抜き、「ポォーク」を攻撃!


 ズバッ


「ブ、ブヒィ……」

 ドサッ

「やった、倒したぞ」


 パラパラっパラ~!

「レベルまで上がった、本当にゲームの異世界に来たんだ、俺!」

 ……歓喜していたのもつかの間、奥からさらに巨大なモンスターが。


 名前: ポォークキング

  レベル: 20

  HP: 100

  MP: 30

  力: 100

  賢さ: 25

  体力: 100

  素早さ: 15


 名前: コメットマン

  レベル: 18

  HP: 100

  MP: 90

  力: 40

  賢さ: 100

  体力: 40

  素早さ: 30


「うわわわ、俺よりも、ずっとレベルが上!?」

 ズシン、ズシン、ドガーン!

 ポォークキングの攻撃を、間一髪よけたたもつ。

 地面がえぐれている。


「こんなの食らったら、死んじゃう!」

 逃げたいが、足がガクガクして立ち上がれない。

「ち、ちくしょー」

 やられた! っと思ったその時――


「一味ブレード!」

 ズバァーーッ!

「ブビブヒィーーッ!」

 ズ・ズゥン……

 たもつが目を開くと、真っ赤なスーツを着たヒーローが立っていた。


「た、助かったよ。 キミは……?」

「私か? 私たちは……」

 そう言ってそのヒーローは、後ろにいた他の四人の仲間のもとへ。


 五人そろったヒーローたちが、名乗りを上げる

「『辛味レッド』!」

「『苦味ブルー』!」

「『酸味イエロー』!」

「『旨味グリーン』!」

「『甘味ピンク』!」

「五人そろって、『味覚戦隊 デリシャスファイブ』!」

 ドカーン!

 なぜか後ろのほうで爆発が起こる。


「『味覚戦隊』……? この世界には、戦隊もののヒーローがいるのか」

 たもつは、最初少しあっけにとられていたが、すぐ正気に戻った。

 そして、また辛味レッドがたもつに近づいてきて、手を差し伸べる

「キミが『平 均{たいら たもつ}』くんだね? 話は聞いている、一緒に『善玉キング』様のところへ行こう」

「善玉、キング……?」


 *****


 デリシャスファイブのメンバーたちに連れられて、『善玉キング』の居城へ来たたもつ。

 ギィィ……

 巨大な扉を開けると、そこにはまさに『ザ・王様』の格好をした『善玉キング』が、玉座に座ってたもつを待っていた。

「ようこそたもつくん、ワシがお主をこの世界に召喚した、『善玉キング』じゃ」

「アナタが、俺を、ここに……?」


「そうじゃ、今この世界は未曽有の危機を迎えておる、このままではこの世界が崩壊するのも時間の問題じゃろう」


(この展開、まさに『異世界転生』ものの王道! 俺、ワクワクしてきた!)


「この世界を救うため、たもつくん、お主の力が必要じゃ。

 ワシが作ったこの『味覚戦隊 デリシャスファイブ』とともに、この世界の平和のために戦ってくれ!」


「お任せください善玉キング、俺が必ず、この『剣と魔法の異世界』を救ってみせます!」


「ん?」

 なぜかその場にいる全員がキョトン顔……?

「『剣と魔法の異世界』? 何を言っているのじゃたもつくん。

 ここは、ワシが『夢の力』を使ってキミを召喚した、『キミの体の中』じゃ」


「え?」

 たもつもキョトン顔


「でも、さっき、『オークキング』ってモンスターが……」

「あれは『ポォークキング』、キミが食べた『コンビニの豚丼弁当』が擬人化したモンスターじゃ」


「『擬人化したモンスター』って……じゃあ『コメットマン』は、白米の『擬人化モンスター』だったのか」

 たもつは、頭が混乱しそうになる。


「キミの体は、長年の不摂生のせいでもうボロボロ。

 味覚障害を起こしかけ、糖尿病になる一歩手前じゃ。

 このままではさまざまな病気の弊害が起こり、二度と元の生活には戻れなくなる」

「え、ウソでしょ!?」


 善玉キングは立ち上がり、全員に檄を飛ばす

「さあたもつくん、自分自身の体を救うため、『味覚戦隊 デリシャスファイブ』とともに、戦うのだ!」

「え、えええーーっ!?」



 ◆現実世界・布団の中のたもつ……

「ムニャムニャ、んなアホな…… Zzzz……」



 ◇今回の献立

「コンビニの豚肉弁当」(総カロリー: 約850)

 ポォークキング(100)×4

 コメットマン(100)×4

 ポォーク(30)

 タレ(20)


 ◇今回の健康カルテ

 体重: 67キロ

 BMI: 22・9

 血圧: 145/95

 中性脂肪: 210

 LDL: 178

 HDL: 35

 尿酸値: 7・8

 γ-GTP: 185

 血糖値: 135

 HbA1c: 6・2

 ストレスレベル: 標準


※GW期間中は毎日投稿予定です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ