表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/27

21話



 久しぶりに()()()訳だが、どうやら俺のスキルは健在だったらしい。

 良かったのはやり直しの地点が更新されていた事。

 悪かったのはこの地点に戻ってしまった事だ。


「今すぐこの地から去りなさい。ここはエルフにとって神聖な島。人間が穢して良い場所じゃないわ」


 最初の時とは違い、俺の反応が不自然になってしまったせいでアリシアさんがこちらを敵視してしまった。

 前回の時点で信用されている様子があった訳じゃないが、ここまでではなかった。

 だがどう弁明するべきか。

 下手な事をいえばこのまま襲われそうだ。


 悩んだ末に出たのは、船が漂流して偶然この島に行き着いた、という設定だった。


「……有り得ないわ。ここは幾つもの結界で守られているもの。偶然ここに辿り着くなんてことは無いわ」


 そういえばそんな話もあった気がする。

 だがここで引けば嘘がバレる。

 強引にでも押し込むしかない!


「……そうね。あの魔物だって本来ここにいるはずが無いもの。結界に何か起きているのかもしれないわね。――いいわ。今だけは信じてあげる」


 ふぅ。

 適当な話を勝手に補間して納得してくれた。

 ()()()()適当な話を考えておかないとな。


 多少の納得はしてくれたようだが、まだ警戒されているらしい。

 早く島から出ろと言われた。

 そうしたいのだが、何せ帰る手段がない。

 アリシアさんには話を合わせる為に船が大破したと言っておく。


「私はゲートでここへ来たから船なんかないわよ。近場の私の仲間の近くへ行けはするけど、人間が入ればどうなるかは分からないわ」


 仮に偶然この島に来ていたら終わっていたな。

 船はどうにかすると言っておく。

 疑っている目をされたが、どうせそもそもが嘘だ。

 問題ないだろう。


 さて。

 その後の流れは前回とほとんど同じだった。

 ついて行くのにかなり渋られたが大穴の例の封印まで行き、そこで北見さんと合流。

 アリシアさんの姿にはしゃぐ北見さんに船が大破して漂流したという設定だと伝える。

 どうせ2人は会話出来ないのだが、いつスキルが手に入るかも分からないからな。


 だが今回は前回と違った点があった。


 封印の綻びがあったのは変わらないが、その原因が人為的であった事から俺たちが封印を解こうとしていると思われてしまった。


 弁明はするが、疑いは晴れなかった。

 信用して欲しいのならば、封印を直すまでの間島の海岸で大人しくしていろと言われてしまう。

 あの場所にいると俺を殺したあの黒い何かがやってくる可能性がある。

 そう説明したいが、証明出来ない。

 疑いが深まるだけだ。


 ――結局、アリシアさんはあの場に留まり、俺たちは砂浜の近くで1晩を明かすこととなった。

 北見さんも、こちらが疑われていることをを説明すると「仕方ないですね」と苦笑いしていた。


 その日の夜、俺は最大限の警戒をして夜を迎えた。

 あの黒い何かが襲ってくる来たのは夜だ。

 その正体は何も分からないが、ひとつ分かっていることがある。

 それは【スキル:鑑定】を弾いた事。


 【スキル:鑑定】は拒否出来る。

 それはここに来て、アリシアさんに使った事で知った事だ。

 つまりあれは、俺の鑑定を弾いたのだ。


 問題はそれが出来る条件だ。

 過去に探索者に使った時は、気付かれたことは無かった。

 何故か。

 それは誰も【スキル:鑑定】を持っていなかったからだ。

 俺は自分自身を鑑定した事がある。

 アリシアさんにもされた事がある。

 【スキル:鑑定】を受けると、独特な感覚があるのだ。

 覗かれる感覚というか、視線のようなもの。

 知らなければ気づけない程度だが、使った感覚があれば分かる。


 ……覚えがあった。

 あの夜、俺はそれを感じ取っていた。


 つまりあいつは【スキル:鑑定】を持っている。

 それがどう意味を持つのかはまだ分からない。

 そういう魔物なのか、あるいは……。


 ――――――


 何事もなく夜を明けた。

 見張りは一人でやると北見さんには強行したが、何も起こらなかったのだ。


「これからどうしましょうか」


 起きた北見さんと軽い食事を摂った後、北見さんが聞いてきた。

 うーん。

 襲撃こそなかったが、この島には何かいる。

 でも帰る為にも情報がいる。

 こんな所にいたって帰れないしな。


 仕方ない。

 アリシアさんにもう一度会いに行こう。


 というわけで俺たちはまたあの大穴に来た。


「――何があったんでしょうか……」


 そこは、以前と大きく様変わりしていた。

 地面が荒れ果て、陥没し、明らかな戦闘痕があった。

 そしてそこに、変わり果てた姿のアリシアさんの姿があった。


 ――アリシアさんは死んでいた。


「そんなっ、彼女がどうしてこんなことに!」


 悲観する北見さん。

 俺も悲しみたい所だが、それよりも気になる事がある。

 最悪、これは()()()()()()()()だ。


 俺の頭の中にドレッド・ドライヘッドが思い浮かぶ。

 これ程の戦闘の跡だ。

 有り得るが、少し違和感がある。

 アリシアさんの死体が残っている理由だ。

 ドレッド・ドライヘッドも怪我をして引いた可能性もあるが、それにしては血痕が少なすぎる。


 ではあの黒い何かとアリシアさんと戦ったのだろうか。

 俺はアリシアさんの死体に近づく。

 アリシアさんの身体は、かなり酷い状態だが死因はハッキリしていた。


 胸に空いた穴だ。

 俺と同じだ。


「これからどうしましょう?」


 とりあえず……、彼女を埋めてあげようか。

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ