第111話:人間は光と振動が揃うと"生きている"という認識ができる
藤宮の近くまで歩くと八剱は璻と藤宮に声をかけた。
「さてさて。話は終わりにしましょうか?墓石見たので次はこちらの方にも手貸してもらえるんですよね?」
藤宮は八剱に言葉を返した
「八剱さんがさっき見ていた場所ですか?そっち側は確か湧水が詰まっていると仰っていた場所ですよね」
八剱は藤宮の話に頷きながら言葉を返した。
「はい。石の間から湧水の片方に石と木々が詰まっているので、これらをちょっくら見て欲しくって」
藤宮と璻は顔を合わせると璻は軽く頷き藤宮は八剱に返事を返した。
「わかりました…見ましょうか」
先に歩き出す藤宮に対して璻は藤宮を追いかけた。
土砂崩れの場所から右側に進むと大きい石が真っ二つに割れているのが見えた。真っ二つに割れている石の間を通り、もっと奥まで進む。
すると二股に分かれている川の跡地にたどり着いた。
川というには不自然な様子で平らに舗装されていた。川と言うより水がちょろちょろと出て量が減っているのが確認出来る。片方の水の量は少なく水が止まりかかっているがもう片方の湧水の先を見てみると八剱が報告したように倒れた木々や石が大量にあり水の通り道が分散されている。
そのせいで水の量が減っているのが確認できる。
八剱は歩くのを辞め立ち止まると人差し指で上の方向を指しながら璻と藤宮に説明を始めた。
「こっちは以前水道水で使っていた湧水なんですが、見ての通り止まりかけてまして」
璻は流れている湧水をじっと見つめ藤宮と八剱に声をかけた。
「水の量が極端に少ないですね?バスの中で喜三郎さんはこの周辺は最近雨も降っていないとかって話してましたけど」
藤宮は湧水の周辺の場所をゆっくり歩き観察を始める。すると…何かを見つけた様子で上に視線を向け水の伝っている場所が確認できた。水が流れている石に注目すると苔が生えていた。藤宮は手で苔を削ぐすると灰色の石が見えた。
藤宮は手で石を擦り、じっと見つめると何かを発見し声を出した。
「原因これかもしれないですね…… 」
八剱は急いで藤宮に駆け寄り、藤宮が指摘した場所を見ると思わず声を上げた。
「こっ、これってあっ……アスファルトっ……」
璻も藤宮と八剱の近くまで歩き状況を確認する。確かに藤宮が苔を削いだ場所には灰色の石が広がっておりアスファルトだろうと断定出来る。
璻は頭を傾げると藤宮に話しかけた。
「アスファルトがどうかしたんです?都会なら普通にありますよね?」
藤宮は璻の問いかけに応える
「アスファルトが敷かれている場合、土地の乾燥に繋がります。このアスファルト見るとわかりますが所々、亀裂が入っています」
そういうと藤宮は亀裂が入ったアスファルトを指差した。確かに亀裂が入っているがそこから少しだけ水が溢れていた。藤宮は少し悲しそうな表情をするとアスファルトに入った亀裂を指で辿っていた。まるで祈るようにアスファルトを見つめた藤宮は決意を固め後ろを振り返り璻の顔をじっと見つめた。
藤宮は少し言いにくそうな表情をすると璻に説明を始めた。
「このアスファルトが古い物だった場合、劣化して水が通る道を塞ぐ事もありますし、有害物質が混ざっているアスファルトだと土壌汚染に繋がります」
璻は藤宮から"土壌汚染"という言葉を聞き、頭の中で大学の講義を思い出していた。
……そういえば、大学の頃、土壌汚染をテーマにした講義を受けたことあったっけ……
メガネをかけた中年男性の教授が教壇に立つと声を張りながら講義をする場面が頭に浮かんだ。璻は顔に手をつくとだるそうにしながらその教授の話を聞いていた。
「論文のテーマは、土壌汚染。土壌汚染の原因は様々あるが、基本的に有害の化学物質、それと…有害物質が混ざった古いアスファルトが主な原因になる事が多い。あとは水の通り道を塞ぐことも原因につながる。水は本来の水が流れたい"流れ"というものがあるが、昔の政府は龍脈を信じず、無理矢理アスファルトを引いてしまっていた。そのため、水は本来流れたい方向に流れずその場で溜まってしまう事があったな。不自然な形で水が留まると水はどこかで溢れ水害や土砂崩れを起こすんだ。それが土壌汚染に繋がることもある。日本という土地は各地に龍脈が張り巡らされているが水は龍脈に沿って流れている。それを人間の分際で流れを変えようなんざ、傲慢かつおこがましい話だ」
その当時は何を言ってるのか全く理解出来なかった。教授がなぜ悪態をつきながら講義をするのか?その理由が今わかった気がした。あの教授はこの事を言っていたのかと今更思い出し璻は深く納得した。
藤宮はまた亀裂の入ったアスファルトを指で触ると八剱と璻を見ながら声をかけた。
「このアスファルトなぜここにあるんですかね?特に用水路が集まっている場所ではないですし、ダムはこの道をまっすぐ行くとありますけど」
璻は藤宮の話を聞き少し考える。
……確か以前の政府の道路予算が余ったら意味のない場所によく整備していたっけ……
璻はその事を思い出し藤宮に聞き返した。
「アスファルトって、以前の政府の道路予算が余ったら無意味な場所に敷いてた記憶があるんですが」
藤宮と八剱は璻の何気ない言葉に何かを察したのかハッとすると八剱は璻の顔を見ながら応える
「その可能性は多いにありますね。実際の所、旧政府は無駄な所に予算使ってましたし政府に逆らった地域は予算カットしてたりしましたもんね」
藤宮は頷きながら言葉を返した。
「そうだった場合、この無意味なアスファルトを壊し新しく水の流れの通り道を考えなきゃいけないですね。この辺の龍脈が張り巡らされている場所の現在の状況を特定しないとそれが出来ませんが……」
藤宮の問いかけに八剱は応えた
「それは3班の役目っすよ。䦰橋さん、鼓、九鬼さん、この3人は超聴覚の持ち主。音叉を鳴らしながら土地の龍脈の流れに水が沿っているか確認して回ってます」
璻は八剱の言葉があまりよくわかっていなかった。
そもそも龍体の形をしている日本は各地で龍脈と言われる気の流れがある。龍脈に沿って川があるのは2050年の現在、日本の論文や海外の論文でも証明されつつある。拝金主義や物理的な主義の信者は以前の知識が一般的な基礎知識だと考え無駄に執着しているためこの龍脈説を一切否定している人たちも世の中にまだいる。
悲しい話だ。
そんな世の中で音叉で地下の龍脈の流れを読み取る能力なんざ璻は想像もできなかった。想像ができないものは、存在しないものと同義である。
……その事と音叉で龍脈の流れを読み取るなんて聞いたこともない。人間が出来る範疇を超えている話だ……
そう気になった璻は八剱に質問をした。
「というか……根本的な質問なんですけど、音叉を鳴らしながら龍脈の流れって追えるんですか?」
八剱は璻の質問に頷きながら応えた。
「普通に考えたら激ムズな話ですけど、超聴覚を持っている人間は誰もが基本的に使える能力なんですよね〜水分子の分子共鳴を聞きその龍脈が今現在どんな流れなのかを読み取る能力を主に使います。やり方は耳と脳波を自分で変化させ読み取る事で認識出来るようになるんですよ。生命が持つ振動を敏感に感じ不自然な所はより顕著に捉えられる。もちろん…この作業するとどっと疲れるんすけどね」
璻は八剱の話を聞き神経が捩れるくらい繊細な作業だと容易に想像できる。特に脳波を自分で変化させるなんざ認識するだけでも大変なのにそれを使って仕事なんて並大抵なことではない。
璻は思わずぼそっと呟いた。
「話を聞くだけで大変な作業ですね…」
八剱はニヤッと笑うと璻の言葉に応えた。
「そりゃ、大変すよ。人間は光と振動が揃うと"生きている"という事が認識できるんです。それは水分子の動きでもあるんですよ。その振動を読み取れるのは超聴覚を持っている人からしたらギフトでもあります。能力や才能を自覚したらこの世できっちり活かさないと」
璻は八剱の話を聞き、ふと考えた。
……あれ、この人確か超感覚と超視覚どっちも持ってたっけ??……
璻は八剱に唐突に質問をする
「八剱さんも本当は超視覚持ちですよね?ここ終わったら3班を手伝いに行かれるんですか?」
璻の質問を聞いた八剱は顔を右左に振ると璻に言葉を返した
「なぜそうなるんだって!いや…行かないですよ。超感覚使った後に超視覚を使うなんざ俺のキャパ越えです…それに俺の場合は超感覚のほうが強く作用する体質なので、引き続き1班で働かせて頂きます。それに……」
八剱は言葉に詰まると璻は言葉を聞き返した。
「それになんですか?」
八剱ははぁっとため息を出し藤宮と璻に説明をし始めた。
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・人間は光と振動が揃うと"生きている"という認識ができる
光(可視光線域)で物を認識し振動(固有振動数)を感じて初めて生きていると認識できる。
これから科学が発展すると論文になるが量子力学の分野になる。しかしそれを良い悪いを決めているのは自分のゲノムの配列と親や周りの反応、また惑星の配置によって振動が変わり考え方も変わる。この世の全ては変化するということを受け入れた時、人間の周りを取り巻く光と振動は変わり現実が変わる。2050年の世界ではその事実が当たり前になっていきます。
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