ニャ~・・・541
巨大レンガを浮かして移動するのは面白いな。
「ニャ~≪はい少し右・・・・・・少し後退、どうかな、ストップ≫」
よし、レンガの反対に移動して確認だ。
ちゃんと地面の木が抜けてくれている、レンガの下には邪魔になる木は無しだな。
よしよし、巨大レンガを置く場所の確認に時間が掛かるけど、前よりは作業時間が減るのがありがたいな。隙間を埋める幅が少なく済むんだな。
「ニャ~≪下にのんびり落ちて行く≫」
やはり声を出しての作業の方が安全だ、考えた事も声に出した方が間違いがなくて良いんだよね。
「レイちゃん、ご苦労様です」
「ありがとうニャン」
僕の作業のお手伝いをしてくれている農民のセタンリーさんの声が向こう側から聞こえた。
僕も大声でお礼を言った、巨大レンガの移動をする時に周りに誰もないか、誰かいたら注意をしてくれる様に頼んだんだよね。
「私から見て右に移動して誰も来ない様にします、レンガを下げる時は声を掛けて貰った方が安全です」
「分かったニャン、声を掛けるニャン」
折角お手伝いして貰っているんだから、ちゃんと声を掛けて安全にだな。
討伐したライガー1体をセタンリーさんにあげたのが良かったな、昼間にも作業が出来るよ。
オールドリュート付近の討伐が終わった遠征軍は、僕の造った壁の内側で休息をしている。
例の如く、ルーカ王子様の用意した食事とお酒を楽しんでいる筈だなんだけど、遠征軍は最後の決戦に備えて2つの部隊に分けた。
国王様と王妃様がオールドリュート近くに布陣を、反対側はシモーネ王子様のホワイトクロウの街だ。
西のオールドリュートから南東のホワイトクロウの丁度中間に在った、海沿いのホワイトロックを両遠征軍が討伐しながら目指す。挟み撃ちの作戦だ。
なので、シモーネ王子様達はホワイトホックで休息している、約半数の人達がお城で寛げているんだよね。
オールドリュートの国王様達と休息の違いが凄いよ、焚火で地面に寝る人達と、お城の寝室で寝れる人達、食べる料理もだいぶ違うよね。
「レイちゃん、他の人が手伝ってくれるそうだ。説明をしたので連結部分の方で安全を確保してくれる」
「ありがとうニャン、気を付けてニャンよ」
微かに聞こえる。
『何でニャンなんだ?』
『驚くなよ、子猫のレイちゃんの手伝いをしているんだ』
『ああ、レイちゃんか、双子の女の子と一緒に居る子猫の事だろ』
『何で知っているんだ?』
『街にお肉が多いのがその子達とレイちゃんのお陰なんだ、それと色々な工房に仕事を頼んでいるのもその子達で、子猫のレイちゃんが人間の言葉を話す事は多くの人が知っているんだ』
『有名人なのかレイちゃんは、俺は初めて聞いた』
人間の言葉を話し、お肉を大量に買い取って貰い、色々な工房には沢山の注文を依頼したレイちゃんは、猫壁職人として頑張っている。
さあ、大声を出して安全確保だ。
「レンガを上げるニャン、気を付けてニャン」
「誰も居ないぞ~」
「居ないぞ~」
違う方向から2人の声が聞こえた、ちゃんと二手に分かれてくれたんだな。
「上げるニャン、ニャ~≪フラィ・フリーゲン【飛ぶ】、少しづつ上昇、水平で右に≫」
「これは凄いぞ!! 本当に上に上がった!」
「そうだろ~、このレンガは元は小さいんだぞ」
「そうなのか!?」
「そうなんだ」
「もう少しでレンガにぶつかる、少しずつだ」
もう少しなのか、地面に障害物はなしだ。
「ニャ~≪どんどんゆっくり右だ、止まった感じだな≫」
「降ろしても大丈夫だぞ」
「周りに誰も居ないぞ」
「レンガの下もいい感じだ、レイちゃん、降ろしてもいいぞ」
沢山の声が大丈夫だと言っている、少しレンガから離れていそうに見えるので、レンガを降ろそう。
「はいニャン、地面に置くニャン、ニャ~≪ゆっくり地面に≫」
ふう、昼間の作業は気を遣うな、大外だからいいけど、城壁の代わりにレンガを置く作業をしたら大変だな。
レンガの大きさが違うのを用意して良かったな、外に出るレンガの道の高さを10mにしたんだよね。
高さ20mよりも坂の傾角度が小さい、半分の角度に出来るから出入りがしやすくなる。壁の高さ10mでも大変な高さになるけど、魔物が侵入してこない様にするにはこれしかないよね。
「レイちゃん、隣に移動だ」
「はいニャン」
レンガの向こうから指示が来た。
セタンリーさんが現場監督の役割をして他の人達も協力してくれので、僕だけよりも安全に作業ができた。
「ガゥウー」
ホワイトロックの跡地と巨大レンガの壁が見える、やっと到着だ。
「ニャ~≪魔物が凄く凄く多いぞ、囮役は大変だよ。ニャンパラリン、回避ニャン≫」
オールドリュートとホワイトクロウの近くから、その2つの街の中間のホワイトロックに魔物を集める作
戦だ。
ホワイトクロウから北回りオールドリュート付近でUターンして海沿いの街道でホワイトロックに
向かった、僕にはとんでもない数の魔物が後ろから襲って来ているんだよね。
「ニャ~≪ニャンパラリン、回避ニャン、回避ニャン≫」
ジグザグに走る事で僕を追いかける魔物の脱落者を出さない様に頑張っているんだけど、同じ位の速さで走らないと駄目なので、攻撃を仕掛けてくるぐらいの間隔を取った緊張したやり取りをしてきたが、それ
も、もうすぐ終わる。
「ガゥウー」「ガゥー」「ガゥウー」
危なかった、紙一重で攻撃をしたライガーが横を飛んで行った。直進で走ったら凄い攻撃の数を受けていたかも。
最初よりも攻撃を上手く避けれるジグザグ走行になってきたよ、方向転換は緩やかにだな。
そろそろ・・・・・・・この辺でいいかもね。
「ニャ~≪僕はここだよ、シュペート【遅く】、ヴァイヒ【柔らかく】、回避、シュペート、ヴァイヒ、回避、シュペート、ヴァイヒ≫」
回避とか言っているよりも魔法を使う方を優先しよう。
「ガゥー」「ガゥウー」
「ガゥウー」
「ニャ~≪シュペート、ヴァイヒ、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・≫」
大きい声で呪文を唱えて魔物が遠ざからない様にしないとね。
「ガゥウー」
あ! 少し位なら魔物がここから居なくなった方がいいのかな? その方が皆が討伐をし易いかも。
「ニャ~≪シュペート、ヴァイヒ、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・≫」
あれよく考えると・・・・・・ミヤちゃん達を含んだ皆さんがここに到着するのはいつ頃だ? まだまだだいぶ先だよ。
早ければ3日? 遅いと5日ぐらい? 国王様の発案の作戦は時間が掛かり過ぎるよ、遠征軍の進行が遅かったのも国王様の進行に合わせてだった。
アイルさんが総指揮官になってからは速くなったんだよね、その時、国王様と王妃様は僕に乗って移動してたから遅れる事なく付いて行けただよね。
「ガゥー」
「ガゥウー」
「ニャ~≪シュペート、ヴァイヒ、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・≫」
この忙しいのを続けるのは無理だな・・・・・・飛べばいんだよ、上空から魔法を当ててやる。
なるほど、これは魔法の効果を上げる練習だな。
「ニャ~≪シュネル・フラィ・フリーゲン【速く飛ぶ】、シュペート、ヴァイヒ、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・≫」
大きな円を描くように飛んで、魔物に魔法を当てよう。こんなに埋め尽くされた感じの状態なら魔法が当たると思うけど狙って当てる事を心掛けよう、ミヤちゃん達みたいに無意識でも当たるようになると嬉しいな。
遅くなった魔物が脱落して外側で遅くなっていない魔物の邪魔になっているな。
いい感じで脱落者が出てくれてるよ、この調子でどんどん魔法を使おう。
「ガゥウー」
「ニャ~≪クライン【小さく】、シュペート【遅く】、ヴァイヒ【柔らかく】、クライン、シュペート、
ヴァイヒ、クライン、シュペート、ヴァイヒ≫」
「ガゥー」「ガゥウー」「ガゥー」
小さくする魔法も取り入れよう、効果を上げれば色々な事に役立つからね。
「ガゥー」
お! 小さくなったライガーが大群の中から消えた、怪我とか致命傷になってくれたら数が減るな。
怪我ぐらいしなさい、タイガー君とタイゴン君は。
「ニャ~≪僕はここだよ、届かないけど来てね。クライン、シュペート、ヴァイヒ、クライン、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・≫」
小さくなったライガーは遅いけど他の魔物の進行を避けてるよ、遅くて小さくても動体視力がいいから避けれるのか、とても残念だよ。
壁や街を破壊するのに、魔物同士では被害がないようにするんだな。
「ガゥウー」
ミヤちゃん達とホワイトクロウで別れたのが早朝、そして今が夕方、皆はこれから野営の準備をして寝るのか、僕はどうしたらいいんだ。
穴だらけじゃないかこの作戦は、走ってここに向かってくれてなかったら、早くて3日後だよ。
どうしたらいいんだ、安全に休む方法は有るけど、寝ている時には囮が出来ないぞ。
「ニャ~≪クライン、シュペート、ヴァイヒ、クライン、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・≫」
円を描くように飛んで魔法を魔物に当てる、尚且つ、どうしたらいいのか考えよう。
とても忙しいよ、飛ぶのと魔法を唱えるのをメインにして考えよう・・・・・・ああ考えは浮かばないかな。
右に旋回して、どうするかな、緩やかに旋回を心掛けて、どうするかな。
無理、魔法を唱えて当てるのは簡単だけど、飛ぶ事と考える事を一緒にするのがとても大変だ。
もっと大きい円を描いて一周を完璧な円になる感じで旋回だ、この位かな。
このまま魔法を当てながら考えよう、どうしたら囮をしながら眠れるかだ。
「ニャ~≪眠いニャンよ、クライン【小さく】、シュペート【遅く】、ヴァイヒ【柔らかく】、クライン、シュペート、ヴァイヒ、クライン、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・」
「ガゥー」「ガゥウー」「ガゥー」
「ガゥー」
ライガー君達も疲れているんだな、唸り声が小さいよ。
それに元気のある動きが出来なくなっているよね。
今は何時ぐらいなのかな、夕方を過ぎてからだいぶ経っていると思うんだけど、月の位置で時間が分かる
とかはないのか、太陽の反対が月で同じ軌道を回ってくれていれば・・・・・・真夜中の12時かな。
軌道が違うんだろうな、真上にあっても夜の9時とかだったら嫌だな。
「ガゥウー」
魔法を唱えるのと円を描いて飛ぶのは大変じゃないんだけど、猫は寝るのが仕事なのに残業中だよ。
いいアイデアが浮かばないのがいけないんだな。
飛ぶ魔法の効果は半日以上だけど、寝てしまったら鳴き声を出せないから囮が出来ない。
「ニャ~≪クライン、シュペート、ヴァイヒ、クライン、シュペート、ヴァイヒ・・・・・・、ライガー君達は眠くないのか」
僕は起きているのがやっとだよ、魔法の効果が上げるると思う気持ちで何とかなっているんだろう、序に飛ぶ魔法も効果を上げてみようかな。
「ニャ~≪シュネル・フラィ・フリーゲン【速く飛ぶ】、クライン、シュペート、ヴァイヒ≫」
何とか意識を保てそう気がして来たぞ。
遥か彼方に焚火が付いている放射状の灯りが何個も確認出来たぞ。
ホワイトロックからはどれぐらい離れている場所なのかなここは。
あの焚火が見える何処かにミヤちゃん達が居るんだな、朝になったら魔物の大群と戦って貰おう。
もう少し離れてた場所に移動して、ミヤちゃん達が起きるまで魔法の効果を上げよう。
「ニャ~≪僕はここだよ、みんな疲れているところ悪いけど、もっと僕を追いかけてね。シュネル・フラィ・フリーゲン【速く飛ぶ】、シュペート【遅く】、ヴァイヒ【柔らかく】≫」
ああ! 徹夜をしてしまったな、もうそろそろ朝日が射して込んできそうだ。
「ガゥウー」「ガゥー」
「ガゥー」
旋回して魔物の様子を確認だ。
小さい魔物君は・・・・・・居るのか分からないけど、元の大きさにほぼ戻っていそうだからこれでいいな。見た感じ魔物の大群だ。
「レイちゃん~、何しているの? 私を乗せてよ」
遠くの方から声がする、ピョンピョン跳ねているのはメグちゃんなのか? 白い洋服は目立つな。
「レイちゃん~、私は乗りたい」
「メグちゃんニャン~、ミヤちゃんニャンは~?」
メグちゃが叫んでも魔物が襲いに行かないのはいつもの事だけど、僕の鳴き声はそんなに標的にしたい声なのかな、不思議だなぁ。
「ニャ~≪シュネル・フラィ・フリーゲン、シュペート、ヴァイヒ≫」
「寝てるよ、起こさないと起きないよね。レイちゃんは何しているの?」
そうだった、僕がここに来たのは何日もホワイトロックで待っていられないからだった。
「ミヤちゃんを起こしてニャン、魔物を倒してニャン」
「よく聞こえなかった、もう一回言って~」
大声で話すのは苦手なんだよね、声を出すのが大変なんだよ・・・・・・体形が子猫だからね。
「ミヤちゃんを起こすニャン、魔物を倒すニャンよ」
ピョンピョン跳ねていた白い人が大きく手を振っている、聞こえたんだな。
「分かった、お姉ちゃんを起こすね・・・・・・・後で乗せてね」
全ての魔物を倒して後に布団の上に乗せてあげよう、勿論布団の中で僕は寝ているけどね。
ああ、疲れた・・・・・・一か所に集める作戦を考えた国王様は夢の中かな、なんでミヤちゃん達に任せる作戦にしてくれなかったんだ。そんなに自分で戦いたいのか、お疲れの魔物の大群をミヤちゃん達に倒しても貰ったら、絶対に布団で寝る。
「レイ、おはよう、疲れてるのね、もう少しの我慢よ」
「レイちゃん、お菓子はあげないよ、甘くて美味しいんだよ」
「ニャ~≪早くお菓子を食べて魔物と戦って欲しいな。もう限界だよ≫」




