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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第四章 最終決戦

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98.魔王の最期

「モモコ! みんなを呼んでこい!」


「わかった!」


「あっ、ただし、言葉遣いに注意な!」


 駆け出したモモコは立ち止まり、振り返って笑う。


「アンベールもね」


「だな……」


 苦笑するアンベールは頭を掻いた。


「おっと……、癖まで入れ替わったか」


 すると、エスカが近づいてきてからかった。


「体が元に戻って、ぎこちないぞ」


「ああ、本当だぜ。すっかりモモコの体に馴染んでいたからな。なんとなく、感覚がおかしい」


「どの辺がおかしい?」


「こことか。特に、こことか」


「ムフフ」


「こら! 笑うな!」


 アンベールは、シャンデリアを見上げ、その真下の床を見る。特に、床には変化がない。


「エスカ。奴はまだ真上にいるかどうか、千里眼とかで見えないか?」


「見える。ちょうど真ん中辺りに止まっていて、羽をゆっくり動かしている」


「畜生! どうやったら、落とせるんだ!?

 そうだ、ヨクト。チートの力は?」


『あと一回』


「一回かぁ……。今やっても、シャンデリアを壊すだけだよなぁ」


 その時、パタパタと足音がして、アルバン以外のみんなが駆けつけた。アルバンは結界を支えているので動けないでいる。


 モモコは「やあ」と声をかけて出迎える。


「魔王の野郎が、いや、魔王がチョウチョになってシャンデリアに隠れやがって、いや、隠れたんだが、何かいい知恵ない?」


 すると、フェムトが「モモコもそうだけど、なんだか言葉が変よ」と言う。


 ゼプトも「そう。いつもは、来(・)い(・)よ(・)なのに、来(・)て(・)だったし」と言葉を続ける。


 アンベールとモモコは顔を見合わせ苦笑する。


「で、いい知恵ない?」


「無視された」


 フェムトとゼプトが半眼になる。


 すると、ガリカが「竜巻で粉々にしたら?」と提案する。


「でもねぇ、鱗粉がすべての物を溶かすらしく、風を起こすと辺りに被害が及びそうで」


「うーん……。なら、アンベールの雷撃魔法はどう? 一撃じゃない」


「そ、それが……」


「それが?」


「ちょっと、いろいろあって、使えなく――」


 そこへ、モモコが割り込んだ


「やってみなけりゃわからないじゃない、いや、わからんだろ!」


 アンベールがしきりに頭を掻く。


「……わかった。

 よし! やってみる!」


 アンベールは剣を置いて、中身がモモコだったアンベールがどのように雷撃魔法を繰り出していたのかを思い出す。


「イメージよ」


 モモコがアンベールに言葉をかけた。


(イメージ……)


「方角は、真ん中辺りだぞ」


 エスカが足下でアドバイスする。


(見えないから、ピンポイントは無理。ど(・)で(・)か(・)く(・)行くか……)


 アンベールは全神経を集中して、両手をシャンデリアの方角へ向けた。


(いっけえええええっ!)


 心の中で号令をかけると、突然、両手から太い稲妻が発射された。それは、今までのアンベールが出したこともないほど太くて見事な稲妻だった。


 一瞬にしてシャンデリアの中央付近に到達した稲妻は、爆発を伴い、周囲に破片をまき散らす。


「危ない! 逃げろ!」


 粉々になった破片が辺りに飛び散る中、全員が正面の扉に向かって脱兎のごとく駆け出した。


 床が所々ジュウッと煙を上げるので、鱗粉が広範囲に飛散したようだ。


 シャンデリアは半分が破壊され、照明が暗くなったが、一部が残っているのでまだ部屋の中は見えている。


 エスカが「さっきの真下にいるぞ!」と叫び、フェムトが「人に似た生体反応があそこにある」と指さす。


 ここでモモコが「私がやる!」と駆け出して行き、剣を拾った。


「おい、大丈夫か!?」


 アンベールの心配の声に、モモコは笑顔で振り返って「やってってみなけりゃわか――らんだろ!」と答えた。


 モモコは危なっかしい格好で剣を振り上げる。


「うおーーーーーーーーーーっ!!」


 と、その時、床からモクモクと煙が上がり、人の姿になった。


 魔王が実体を現そうとしているのだ。


 だが、モモコは躊躇することなく、一気に剣を振り下ろした。


 ゴーーーーーーーーーーッ!!


 今までのモモコの剣圧よりは少々弱いものの、床を引き裂きながら、まだ完全に元に戻っていない魔王を襲う。


 剣圧で吹き飛んだ魔王は、壁に激突して尻餅をつく。ちょうど鎧を着た姿に戻った魔王は、苦悶の表情を浮かべた。


「まだだ!! 貸せ!!」


 アンベールが叫びながらモモコへ駆け寄り、速度を落とすことなく剣を受け取って、魔王めがけて突進する。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」


 アンベールは野獣のように咆哮して、走りながら剣を左横に水平に構える。


 立ち上がろうとする魔王は、足が滑って、再び尻餅をついた。


 そこへ剣が真横に振られ、魔王の首に食い込んだ。


 宙を舞う魔王の生首が、ゴトリと床に転がる。


 と、その時、部屋全体がグラグラと揺れ始め、天井や壁や床に亀裂が走った。


「城が崩壊するわ! 逃げて!」


 テラの言葉に、全員が小部屋に駆け込んだ。


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