95.攻略の仕方がわからない
モモコは深呼吸をし、もう一度大きく息を吸って扉に手を伸ばす。だが、そこで思いとどまった。
(俺が行くと、後ろからテラに殺される。
テラを行かせると、テラが魔王に殺され、俺は後ろからガリカに殺される。
となると……)
そこでモモコは、自分を殺す仲間を先に魔王の部屋に行かせると、誰が自分を刺すのか試そうとした。
まず、テラとガリカを先に魔王の部屋へ行かせる。そして、自分は正面の扉を開ける。
その結果は、扉を開けた途端、後ろからフェムトに刺された。
◇◇◆◆◇◇
次は、テラとガリカとフェムトを先に魔王の部屋へ行かせる。そして、自分は正面の扉を開ける。
その結果は、扉を開けた途端、後ろからゼプトに刺された。
◇◇◆◆◇◇
モモコは深呼吸をした。
(一つ一つやっていたら時間がない。
そうか! 総入れ替えだ!)
次は、自分以外を先に魔王の部屋へ行かせる。
その結果は、自分の方が敵兵の猛攻を受けて、扉を開ける前にあえなく戦死した。
◇◇◆◆◇◇
初心に返って、自分が先に魔王の部屋に入り、時々後ろを振り返りながら魔王と戦う。
ところが、それも駄目だった。
「さっきから、どこを見ているんだい?」
後ろを確認していたモモコが、すぐそばで魔王の声が聞こえたので前を向くと、いきなり額に稲妻を発射された。
◇◇◆◆◇◇
モモコは深呼吸をした後で、思いっきりため息を吐いた。
「わからん……」
思わず漏れた心の声に、テラが「静かに」とささやき声で制する。
「……わりぃ。もう一つ前に戻る」
モモコは、さらに一つ前のセーブポイントに戻った。
◇◇◆◆◇◇
ここは、魔王軍関係者の秘密の出入り口。
「準備はいいかしら?」
テラの問いかけに、しんがりを務めたガリカが「いいわ」と答える。モモコは「ちょっと待って。みんなに話がある」と言って列から離れた。
「どうしたの?」
「わりぃ。実はな……」
モモコは、魔王の部屋に突入するパターンをいろいろ変えたが、すべて失敗に終わったことを説明した。
みんなはお互いの顔を見合わせ、自分たちの中に敵が紛れ込んでいやしないかと疑心暗鬼になる。
だが、この仲間の結束にひびが割れそうな状況をアルバンが救った。
「我々が扉を守っているとき、モモコ以外の誰一人も扉を開けてはおらぬ」
「本当か!? ということは――」
「モモコを刺したのは、魔王の手下と考えられる。我々に変装して背後に回ってな」
「なるほど! ならば、全員が魔王の部屋に突入するってのはどうだ!?」
「正面の扉が守れないが」
と、その時、モモコの足下から声がした。
「おい、俺を忘れていないか?」
「なんだ、エスカか」
「なんだとは、なんだ。失礼だぞ」
「だって、お前は戦えないだろう?」
「俺が、背後で見張る。変な奴が現れたら、合図する。蜂だって見つけてやる。
これでどうだ?」
モモコはちょっと考えて決断した。
「それで行こう」




