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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第四章 最終決戦

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94.裏切る仲間たち

 モモコは深呼吸をし、もう一度大きく息を吸って扉に手を伸ばす。しかし、そこで思いとどまった。


(俺はテラに殺される……)


 モモコは、仲間を掻き分けてテラの肩をつかんだ。


 そして、ジェスチャーで交代するように告げると、テラは首を傾げた。だが、モモコの形相を見て、従わざるを得ないことを悟り、渋々交代した。


 先に扉を開けて飛び出したのは、モモコたちだ。彼女たちは、十人が楽に横並びで歩ける広さの廊下に出た。


 右を見ると、物音に驚いた衛兵が銃を向けるところだ。


 ガリカが突風で二人を吹き飛ばす。


 すると、後ろからガヤガヤと声が聞こえてきた。振り返って見ると、五人の兵士が駆けつけてくるところだ。だが、この兵士たちもガリカの突風の前では無力だった。


「結界を張るぞ!」


 アルバンが扉を中心に、廊下の両側に結界を張った。


 駆けつけてきた兵士たちが、次々と光線銃を発射するも、結界によってすべて弾かれた。


「モモコ! テラを加勢してやれ!」


 だが、モモコは躊躇した。魔王の部屋の扉を開けると、魔王とテラが肩を並べて待ち受けている気がしたからだ。


「何をしておる!! 早くしろ!!」


 アルバンに肩を強く押され、モモコは渋々扉を開けた。


 一度は見た、黄金の光の洪水。もうそれには驚きもしなかった。


 前回と違うのは、最初から魔王が部屋の真ん中で後ろ向きに立っていたこと。


 そして、鎧の右肩の上や右腕の横から、紫色のドレスがチラチラと見えること。


 ドレスを着ている人物の頭が魔王の頭に隠れて見えないが、テラが魔王と向き合っているのに間違いないだろう。


(ああ……。やっぱり、魔王側に立っているんだ)


 モモコはテラの裏切りに、怒りよりも脱力を感じた。今の今まで仲間だと思っていたのに、土壇場で正体を現したテラ。騙した相手に向ける怒りよりも、騙された自分の不甲斐なさを強く感じる。


 魔王が振り向いた。


「おや。今度は正面からご登場かい?」


「セーブポイントからやり直しているのがわかるのか?」


「わかるとも。君の仲間は気づかないがね」


「テラを差し向けて俺たちのパーティーに加わるようにしたのか、お前か?」


「フフフッ。君は頭が悪いねぇ。なんで裏切り者を我々が利用する?」


「えっ?」


「裏切り者にはそれ相応の罰を与えるのが、この世界の常識だよ」


 そう言うと、魔王は紫色のドレスをポイッと後ろに放り投げた。


 モモコの前にマネキン人形のようにテラの体が転がった。


 いや。彼女の首がない。


「おっと、こっちも渡すのを忘れたね」


 魔王はしゃがみ込んで、その姿勢で紫色の塊をポイッと後ろに放り投げた。


 首のない体の方へ、テラの生首が転がった。


「また後ろがお留守だよ」


 立ち上がった魔王が、モモコの方を向いてニヤッと笑う。


(しまった!)


 と、その時、モモコの背中にドンと鋭い物が突き刺さった。


 モモコが下を向くと、また腹から血の滴る剣が突き出ている。


(こんど……は……誰……)


 後ろを振り向くと、そこには、薄ら笑いを浮かべるガリカが立っていた。


「そうか……、わか……った……」


「魔王様がおっしゃることを忘れたの? 後ろがお留守だって」


 笑いを爆発させるガリカの顔が滲んで、モモコの視界が急速に暗くなっていった。



   ◇◇◆◆◇◇


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