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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第三章 天空の城への道

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85.全員がLV7になった

 その後、モモコは空腹に襲われる。激しい戦いの後だけに、なおさらだ。


 村に魔王軍が何か隠していないか探ってみると、ある納屋にたくさんの食料品が保管されているのが見つかった。


 とても村人が食べるために貯蔵したとは思えないほど多い量である。テラの話では、兵士でも普通の人間と同じ物を食べることがあるらしい。ということは、ここを守備する兵士のために保管したのではないかと推測された。


 モモコは、そこからパンやチーズや塩漬け肉など保存が利く物と水を失敬することを提案する。ただし、本当に村人の食料品が混じっているかも知れないので、金貨で1400ゲルト分を置いていくことにした。


 なぜ1400かというと、この世界では一人の一回の食事は10ゲルトあれば足りるので、七人がざっくり二十回で平らげる量があると計算したからだ。


 もちろん、二十回を食べきる前に、天空の城ブラオバルツに到着する算段である。


 モモコたちはお尋ね者であるので、これからは町や村を避け、魔王軍兵士の目をかいくぐって行動しなければならない。なので、食料をここで調達できたのはありがたかった。



 しばらくの休息の後、一行はアルバンを先頭にテラをしんがりにして村を後にした。食料品については、それを運ぶための袋も失敬して、各自が背負った。


 ここからは、魔獣を狩って経験値をアップし、レベルを上げていくことがメインとなる。寝泊まりは夜空を見上げての野宿だ。


 モモコはまだLV1だった頃を思い出し、魔獣を倒しながら地道に経験値をアップさせたことを懐かしむ。


 魔獣は、狼、イノシシ、クマの猛獣に似たものばかり出てくる。いずれも、今まで相手にしてきたから勝手がわかるので、楽勝である。



 モモコは、自分だけ剣を振るって魔獣を倒すことはしなかった。なるべく、仲間に任せるように心がけた。それは、以下の理由からだ。


 自分がLV7になれば、すでにLV7以外の全員が自動でLV7にアップするが、LV7より上になると自動でアップしなくなる。


 こうなると、自らが戦ってアップしなければいけない。ならば、今のうちからみんなに戦い方を覚えてもらう。それで、あえてモモコは後ろに下がったのだ。


 おかげで、みんなの経験値は着実に上がっていく。



 そして、ついに、モモコの経験値がLV6の上限である599を越える時が来た。


最後に残っていた狼の魔獣を倒したモモコの前に、電子音とともにメッセージ画面が表示された。


『>モモコがLV7になりました』


『>アンベールがLV7になりました』


『>エスカがLV7になりました』


『>フェムトがLV7になりました』


『>ゼプトがLV7になりました』


『>テラがLV7になりました』


 レベルアップで体力も回復するので、モモコはみるみる体力が回復していくのを感じ取る。そして、戦いで散っているアルバンたち全員を集めて、一人一人の顔を見渡した。


「これで全員がLV7になった。

 ついにこの日が来るとは、夢のようだ」


 彼らはニッコリと微笑んだ。


「後は、各自が経験値を上げていかないとレベルアップしないのは知っての通り。

 魔王と戦うときはLV10じゃないと無理だというのもわかっていると思う。

 なので、是非、LV10を目指してくれ。

 でも――」


 モモコは、今一度、一人一人を見渡す。


「仲間の魔獣を横取りするのは、絶対に禁止。

 自分のレベルアップを優先するあまり、身勝手な行動は取らないで欲しい」


 全員が一斉に頷く。


「あと、無理に一人で倒そうとしないこと。

 五十人近くいた魔王軍の兵士をガリカとアンベールとで倒したとき、トータルで約150の経験値が自動で半分ずつ分け与えられたことを思い出して欲しい。

 共同で倒せば、経験値が均等に配分されるので、よく考えること。

 以上」


 フェムトが拍手をする。釣られて、みんなも拍手した。


 モモコはアンベールに近づいてニヤッと笑った。


「演説、どうだった?」


「モモコの割にはよかった」


「なんだよ、それ」


「やれば出来るじゃん」


「へへーん。

 昔から言うだろ? 急須を猫がかじるって」


「はあ? いろいろ間違っている気がするが……。

 だいたい、このシチュエーションで、窮鼠猫を噛むなんて言わないし」


「じゃあ、思う念力匙(さじ)をも曲げる」


「思う念力岩をも通す」


「いいじゃん、ちょっと違ったくらい。気にしない気にしない」


「気にしろ。

 それに、ちゃんとことわざを使うシチュエーションをだな――」


「はいはい。魔王を倒すまで忙しいから、倒したら教えてくれ」


 モモコは、肩まで上げた左手をヒラヒラさせて、さっさと歩いて行った。


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