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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第三章 天空の城への道

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84/100

84.モモコの奇抜な作戦

 グラキリスがまさかの敗北となった。


 魔王軍の兵士たちは、ボスの敵(かたき)を取るため、一斉に銃を構える。


 ここへ岩陰に潜んでいたアルバンが飛び出して、モモコの周囲に結界を張った。


 無数の光線がモモコを襲うが、すんでの所で張られた結界によってすべて跳ね返る。


 ガリカも岩陰から飛び出す。


 彼女は、風の魔法を使って兵士たちを飲み込む竜巻を出現させた。周囲の土も石も巻き込まれ、兵士たちは木切れのように高速回転する。


 竜巻は逃げ惑う兵士たちを次々と飲み込んだ後、突然消え失せる。宙に浮いていた兵士は落下を始め、折り重なるように倒れて山を作った。


 そこへアンベールが、特大の雷撃魔法をお見舞いする。


 稲妻の大音響がこだまする中、まだ放電する兵士たちの体は、受像機の激しいスノーノイズのように乱れた後、次々と消えていった。


 竜巻から難を逃れた五名の兵士が潰走する。だが、俊足を活かしたテラが彼らを追い、背後から斬りつけた。


 これで四人を討ち取ったが、逃げ足の速い一人が急に振り返ってテラの姿を見た。


「き、きさまぁ! 裏切ったな!」


 そう叫んで銃を発射した兵士は、直後にテラの剣で体が真っ二つになった。


「悪事から足を洗うことは、裏切りとは言わない」


 テラは兵士の首を刎ね、体がスノーノイズと化して消えるのを見届けると、左脇腹を押さえながらヨロヨロとモモコの方へ戻っていった


 結界から出たモモコは、山陰から出てきたテラに手を振る。


 しかし、様子がおかしいので「テラ!」と叫んで彼女へ駆け寄った。同時に、彼女は崩れるように倒れた。


「アンベール! ゼプトを呼べ!」


 そう言いながらモモコは膝をつき、自分の治癒魔法を使ってテラの治療を試みる。


「しっかりしろ!」


「かまわないで……」


「馬鹿野郎! 今助けてやるから、死ぬんじゃねぇぞ!」


「…………」


 テラの目が潤む。


 モモコは力を込めて治癒魔法を使い続ける。だが、途中から体がフラフラしてきた。


「駄目だ……。体力がねぇ……」


 今度はモモコが、魂が抜けたように倒れ込んだ。


 ゼプトとフェムトが到着すると、モモコはゆっくり顔を上げ「ゼプト……。テラを……頼む」と力なく言った。


「モモコは!?」


「心配……するな。俺は……大丈夫だから」


 そう言ってモモコはうつ伏せた。



 その後、エスカがグラキリスのスキルを奪ったものの、体力がほぼゼロだったのでモモコの回復は遅れた。


 ゼプトの懸命の治療でテラは回復。魔力が残り少ないので、モモコは半分程度の体力まで回復したところでゼプトに治療をやめさせた。


 モモコは上半身を起こしてステイタス画面を確認し、頭を掻いた。


 ――――――――――

 ステイタス

 職業:勇者

 LV:6

 経験:540 知能:599 攻撃:599 敏捷:599

 体力:252 耐久:599 魔力:599

 :

 ――――――――――


「惜しかったぜ。俺がもしLV7になりたてだったら、一気にグラキリスの野郎に追いついたんだが。

 LV6だから奴のLV7のスキルが全部頭打ちだ」


 アンベールがモモコの肩を叩いて励ました。


「LV6のなりたてのスキル500が一気に599になっただけでも凄いから、よしと思わないと」


「あと悔しいのは、こいつ、ゲルトを持ってねぇ。防具も持ってねぇ。武器はさっきの剣だけ。

 元幹部は、ゲルトも防具も取り上げられたってことかよ。

 がっかりだぜ」


 そう言って笑うモモコに、テラが「助けてくれてありがとう」と声をかけた。


「いいってことよ。仲間だろ。それに、助けたのは――」


 モモコはゼプトの肩をポンポンと叩く。


「このゼプトだ」


 テラはゼプトに丁寧にお礼を言ってから、もう一度モモコを見た。


「どうやって、あの格上のグラキリスを倒したの? 何か秘策でもあったの?」


「秘策? ああ、スキルの偽装を使ったのさ」


「偽装?」


「そう。まず最初、あいつにはLV6の俺の本当のスキルを見せた。その後、わざとLV5まであと少しっていうLV4の上の方のスキルに偽装したのさ。

 あいつ、『そんなLVのくせに偉そうな口を利くとは』って言っていただろう?

 その時からあいつには、俺がLV4に見えていた。

 ここで会ったとき、LV2からLV6にまでアップしたって驚いていただろう?

 それを利用したのさ。『実はそれは偽装でした』という偽装をして騙したってわけ」


「なるほど。ずっと格下に見せたわけね」


「そう。それで奴は最初、戦いに手を抜いていた。

 そこへオーバークロックでガンガン攻めたら、奴が本気になって一気に体力を減らしたってわけさ」


「もし偽装が最初からバレたら? LV4じゃなくてやっぱりLV6だってバレたらどうしたの?」


 モモコは頭を掻きながら笑って言う。


「ヤバかったかもな」


 テラもみんなも大いに笑った。


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