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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第二章 レベルアップの旅

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70/100

70.違うルートの選択

 ガヤガヤと聞こえる声が大きくなってきた。おそらく、魔王軍が洞窟の中へ入ってきたのだろう。


 すると、急に風を切るような音が聞こえて、複数の男の悲鳴が洞窟内に響いた。


「最初の扉を開けたな」


 アルバンがぽつりと言う。モモコが、急いで本を棚に返して心配そうな顔を向ける。


「おい、開けるとどうなる?」


「矢が飛んでくる」


「他に扉が2つあったよな? そこを開けると?」


「2番目は炎が、3番目は氷の矢が襲う仕掛けだ」


「そんなもんで全滅はしないだろう?」


「全滅とまではいかないが、さすがにここの隠し部屋は気づくまい。開け方も一通りしかないからな」


「ふーん」


 モモコが手を顎に当ててニヤニヤとし始めた。


「そういうシナリオなら、ちょっと変えてやる。その前にセーブっと」


「おい、変えるとはどういうことだ?」


「ん? シナリオ通りなら、ここを守り切れるとでも言いたいのか?」


「むう……」


「ほれ見ろ。おそらく、ジッとして魔王軍が引き返すのを待つってーのが、他の勇者が経験したシナリオだ。そうだろう?」


「否定も肯定もしない」


「そう言うなら間違いねえ。ジッとするのが正解だろうな。

 でも、それじゃ相手を全滅できんだろ?

 俺は、それをやるのさ。全滅をな」


「おい、やめろ!」


「いいんだよ、セーブしたから。

 どうしても出来ないとわかったら、このセーブポイントに引き換えして、ジッと我慢の子を演じてやる。

 でも、今の俺は――」


 モモコは拳を振り上げる。


「お前の手の上で焼かれたくないんだよ!」


 すると、アンベールがガクッとうなだれて「お釈迦様は、手の上で焼かないが」とボソッとつぶやいた。


「アルバン、この部屋から出る方法を教えろ」


「……仕方あるまい。無理はするな」


「無理ってインポッシブルだろ? インポッシブルなミッションだって、出来る奴はいる」


「まあ……気概だけは受け取ろう。

 この部屋から出るには、その出入り口の右棚にある赤い背表紙の本を抜いてすぐに入れろ」


「よし!」


 と、その時、アンベールが「待って」と言ってモモコに迫った。


「私も行く」


「アンベールは駄目だ」


「足手まといにはならない」


「いや、そうじゃなくて、マジでスパイごっこやるから。危ないから」


「スパイごっこ?」


「インポッシブルなミッションだよ」


「はあ?」


「大丈夫、セーブしたから。最悪の事態が起きたら、ここへ戻ってくる」


 モモコは、アンベールの両肩を叩いてから出入り口へと向かった。


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