59.自動レベルアップの限界
モモコの前に、電子音とともにメッセージ画面が表示された。
『>モモコがLV4になりました』
『>アンベールがLV4になりました』
『>エスカがLV4になりました』
これに続いて、フェムトとゼプトはLV4に、ガリカはLV7になったことが表示された。
モモコは、みるみる体力が回復していくのを感じた。レベルアップで体力も回復するから、これは錯覚ではない。
「そうか! LV3で経験値が230だったけど、このLV4の女を倒して一気に299を越えたんだ!」
地面に倒れていたエスカも、むくりと起き上がった。
「助かったぜ。レベルアップで傷もこの通り、あっという間に回復だ」
「凄い凄い!」
「この女は体力ゼロだから、しばらく動けまい。ざまあみろってんだ」
そう言いながら、エスカは横たわる女の頭を前足で叩いた。
モモコは、元気になったエスカを見て微笑む。そして、さっそく、気になるステイタス画面に切り替えた。
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ステイタス
職業:勇者
LV:4
経験:300 知能:300 攻撃:300 敏捷:300
体力:300 耐久:300 魔力:300
ゲルト:2400000
武器
・モーニングスター(+80)、フットマンズ・フレイル(+70)、斧(+50)、棍棒(+50)、槍(+30)、弓(+30)、鎖(+20)
防具
:
アイテム
・錬金術の書、星の欠片、竜の牙、金製のロケット、毒消しの薬草、魔法の手鏡、砂金、竜涎香、古地図
:
――――――――――
モモコは、目玉が飛び出るほど目を見開く。
「おいおい、ゲルトがめっちゃ増えている! 武器もアイテムも見たことがないものがある! この女、相当盗んでたみたいだな」
「使い道はわかるか? 例えば、錬金術の書とか」
「もちろん」
「もちろん?」
「もちろん、さっぱりわからない」
「ガクッ」
ちょうどそこへ、ガリカたちがやってきた。
「モモコ、凄い! その女シーフを倒したの!? 一人で!?」
ガリカは、信じられないという顔をしている。
フェムトはアルバンの後ろに回り、彼の両目を手で押さえている。
モモコはその目隠し状態のアルバンが面白くて、腹を抱えて笑った。
「おいおい、アルバン! 何、目隠しされてるんだよ!?」
すると、ゼプトがモモコを指さした。
「服、着て」
その時、モモコは、自分が今の今まで全裸だったことに気づいた。
考えてみれば当たり前の話だ。温泉に浸かっているところへ女シーフが現れ、そのまま戦いに雪崩れ込んだのだから。
慌ててモモコが着替え終わると、フェムトが顔を赤らめるアルバンから手を離した。
モモコは、服の乱れを直しながら、思い出したように言う。
「そうそう、お前ら、レベルアップしたからな。感謝しろよ、アル――」
と言いかけたところで、モモコはメッセージ画面にアルバンの名前があったかどうか曖昧に思えてきた。
「ちょっと確認する」
モモコはメッセージ画面を再表示する。
……ない。
アルバンがレベルアップしたというメッセージがないのだ。
「……やはり、そうか」
がっくりと肩を落としたアルバンが、地面に視線を落として蚊の鳴くような声で言った。
「やはり、って?」
「前もそうだった。今度こそ違って欲しい、と願ったのだが」
「だから、何を?」
アルバンがゆっくり顔を上げる。
「勇者がレベルアップすると、パーティを組む仲間が自動でレベルアップする」
「それは知っている」
「その限界がLV7なのだ」
「はいぃ!?」
「LV8には行かんのだよ」
「ってことは、ガリカがLV7になったけど、それで最後!?」
「左様。私に追いついた形だ」
そう言って、アルバンは肩をすくめた。




