34.次なる目的地
『>フェムトが魔法使いとして仲間に加わりました』
『>ゼプトが魔法使いとして仲間に加わりました』
電子音が鳴り響いてポップアップした画面を、モモコはニンマリと見ている。
すると、アンベールが目を覚ました。
「おお、アンベール。見てみ。強力な助っ人が二人も――」
「聞いていたから知っている。
ねえ、アルバン?」
「ん?」
「もし、モモコ一人が活躍してLVがアップしたら、この全員がLVアップするの?」
「もちろん。勇者のパーティに参加している全員のLVがアップする」
「このエスカも? 何もしなくても?」
「おい、何もしないとは余計だぞ!」
「猫でもLVアップする」
「もし、勇者以外がレベルアップしたら、勇者は?」
「レベルアップしない。逆は成り立たない」
「そこは、うまくいかないんだ」
モモコは、ニコニコが止まらない。
「なんか、すっげーお得な世界だな。
お前ら、俺に感謝しろよ」
「モモコは、自分で何でも解決しようとしないこと。
仲間を信頼して」
「へいへい。
……それじゃ、どこへ行くかなぁ」
双子が顔を見合わせる。
「私たち、本当にこの勇者様を選んで良かったのかしら?」「見通しがまるでない」
「おいおい、心配すんなって。
まずは、ここの町で生き残っている人を――」
と、その時、フェムトが右手を高く上げ、手のひらを天に向けて目をつぶった。
すると、手のひらの先に金色に輝く魔方陣が出現し、そこから、金色の輪がいくつも同心円状に広がっていく。それらの輪は、建物の奥まで吸い込まれていった。
「もしもしー、何をしてるんですかー?」
「…………」
「フェムトちゃーん」
「……いないね。生体反応なし」
フェムトが右手を下ろすと、フッと魔方陣が消えた。
「すっげー! そんなことわかるのか!?」
「一応、探索魔法が使えるよ」
「おせーて、おせーて!」
「勇者様は、魔法使いのような魔法は無理。
たぶん、今使える魔法以外は会得できないはず」
「ん? なんでそんなことがわかるんだ?」
フェムトは、口をつぐんだ。
「おいおい。隠し事をされると、この先、旅がやりにくくなるんだが」
「……仕方ないわね。
実は私たち、一度、勇者とパーティを組んだことがあって」
「なんと! そいつ、どこまで行った!?」
「天空の城ブラオバルツまで行ったよ。
でも、どうしても、魔王に行く前の段階で幹部が倒せないので、その勇者、諦めて開拓民になったよ」
「今どうしている! 会えるなら会いたいが」
「この近くの林を抜けた向こうに森があって、その奥に一軒家があるけど、それが元勇者の家。
前に一度行ったことがあるけど、空き家だった。
畑も荒れていて、開拓民も諦めたみたい」
モモコとアンベールは、思い当たることがあった。
あの緑のドレスを着たLV3の女と遭遇した場所。そのそばに、荒れた小屋があったではないか。
もしかすると、あれが元勇者の家だったのだろう。
「なあ、アルバン。
その勇者のことを知っているか?」
「お前より断然賢くて、筋肉質の体格の奴だった」
「なんか、サラッと馬鹿にされた……」
「それ以上知らぬ。奴とは、パーティーを組まなかったからな。
今は、行方不明だ」
「じゃあ、開拓民を諦めると、どうなるんだ?」
「いろいろだ。
どこかの屋敷で奉公人になるか、はてまた、生きて行くために盗賊に成り下がるか」
「俺は絶対、どっちにもならねーぞ!」
「ならどうする?」
「前進あるのみ!
この近くの町へ行く!」
モモコは、拳を握りしめ、燃えるような目で遠くを見た。




