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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第一章 何でもありの異世界

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33.双子が仲間になった

 ゼプトは、仰向けに寝転がるアンベールの胸辺りに両手を差し出す。


 すると、手を中心として丸くて黄緑色に輝く魔方陣が出現。


 この柔らかな光は、時折キラキラと輝き、その下にいるアンベールを優しく照らす。


 血の気が失せた彼の顔が、少しずつ赤みを取り戻してきた。



「すげーなぁ、この回復力。

 体力も魔力も同時に回復するんだろ?」


 モモコは、ゼプトの後ろに立ち、肩口から回復の様子を見て感心しながら質問した。


「そうよ」


 ゼプトは、いつものように、淡泊な答え方だ。


「続けて二人もOKということは、いったい何人まで体力と魔力を同時に回復できんだ?」


「そうね。今の二人の容量なら、おそらく八人か九人くらい」


「すっげー! ……って、俺、今、体力と魔力のキャパはいくらだ?」


「どちらも100ちょっとのはず」


 モモコがステイタス画面を開く前に、ゼプトが答える。


 それを知らなければ、八人とかは答えられないはずだ。


「ってことは、LV10なら――」


「一人。999がMAXだから」


「じゃあ、歩くガソリンスタンドみたいなもんだな」


「言葉の意味がわからないけど、999の体力と魔力のどちらも回復させたら、一日休まないと無理」


「腹が減るから?」


「それもあるけど、マナを空中から補給するため」


「食いながら回復をやれば? 俺がアーンってしてやる」



 ゼプトは困った顔になり、目でフェムトに助けを求める。


 フェムトは咳払いを一つして、苦笑した顔をモモコへ向けた。


「そんな簡単にできるなら、苦労はしないよ。

 ……そんなことより、勇者様」


「モモコでいいぞ」


「なら、モモコ。

 これからどうするの?」


 モモコは、拳を上に突き上げる。


「魔王を倒す!」


「いつ、どこで、どうやって?」


「それはだな……」


 突き上げた拳が、ゆっくりと下がっていく。


「それより、なぜ、この町が魔王軍に襲われたんだ?」


「サラッと、逃げた」


「逃げてないぞ。まず、俺の疑問を解決するのが先」


「はいはい。

 ……実は、この町の近くに、魔石の採掘所があって――」


「あ、わかった!

 それを魔王軍が独り占めしようとした!」


「ブッブー。

 魔王軍ではなく、魔王」


「おんなじだろうに……」


「この町の住民を使って魔石を掘らせ、全てを奪おうとしたのだけど、住民が猛反発」


「そりゃそうだ」


「で、反対派の殲滅を狙った」


「町はここだけじゃないだろ!?

 他の町の住民は!? 危なくないのか!?」


「いや、大々的に反発したのは、この町だけ。

 ここ以外は、魔王の言いなりになっている。渋々だけど」


「なんて薄情な奴らだ!」


「命あっての物種よ」


「早く魔王を倒さなければ!

 フェムトは場所を知っているのか?」


「もちろん」


「どこ!?」


「天空の城ブラオバルツ。

 ここからだと、歩いて七日かかる」


「じゃあ、今すぐにでも――」


「だから、そのLVで本気で乗り込むの?」


「うーん……」


「LV10でも、手こずるよ」


「マジでか!?」


「魔王に幹部がいて、めちゃくちゃ強いから、行くなら魔法使いをたくさん連れていかないと」


「うーん……うーん……」


 モモコは腕を組んで、しばらく唸り声を上げた。


 そして、座り込んであぐらをかき、斜め下の一点を見つめる。


「もうすぐ、回復が終わる」


 ゼプトがボソッとつぶやいたその時、モモコは、はたと膝を叩いた。



「そうだ! 目の前にいるじゃないか!

 フェムト、ゼプト!

 仲間にならないか!?」



「仲間?」


 双子は同時に目が丸くなった。


「一緒に、魔王を倒そう!

 俺たち、力を合わせれば、なんとかなるぜ!」


「そう簡単には……」


「でもよ! 町を焼いて、住民まで殺して、そんな魔王軍を許せるのかよ!?」



 双子は、顔を見合わせた。


 実は、二人とも、魔王軍に両親も親戚縁者も全員が殺されていたのだ。


 だが、自分たちの力で復讐なんて、無理であることはわかっていた。


 資金もなければ、仲間もいない。


 なので、魔王軍に怯えながら、魔法で細々と生計を立てていた。



 そこに、この話が舞い込んだ。



 女なのに勇者。


 男っぽいところがあるし、ちょっと無鉄砲にも思えるが、情熱があって信頼できそうだ。


 一緒にいる聖職者は賢者だろう。


 なら、このパーティに加わって、魔王への復讐を遂げることが出来るかも知れない。


 もちろん、勇者も賢者も自分たちも、LVアップが必要だが。



 フェムトとゼプトは、それらを目で会話しながら、頷いた。


 二人は、同時にモモコの方を向いた。


「「いいわよ」」


「よっしゃあああああっ!!」


 モモコは、万歳の格好で、跳び上がって喜んだ。


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