32.モモコの復活
不思議そうにアンベールを眺める双子だったが、目を合わせなくなったアンベールの気持ちを察したらしく、互いに顔を見合わせて頷く。
「まずは助けよっか」
「そうね」
「きっと、お金は払ってくれるよ。
騙すような悪い人じゃないよ」
「おそらく、だけど」
二人の会話を横向きのまま聞くアンベールは、耳が痛い。
「ここじゃなんだから、この人を安全な向こうへ移動しようよ」
双子の姉の提案で、四人がかりでモモコを20メートルほど離れた四つ角まで運んだ。
ここなら、燃えさかる建物から離れているので、倒壊による巻き添えがない。
アンベールは、モモコの提案通り、延焼を防ぐためにいくつかの建物を消火したが、よく考えると、全部を消火しないとまた燃え広がる。
それで、燃えている全ての建物を消火した。
すると、自分も足下がふらついてきたのがわかった。
ステイタス画面で確認すると、魔力は残り10、体力も残り10であることがわかった。
やはり、LV2とはいえ、これで精一杯なのか、とアンベールは嘆きつつ座り込む。
黒焦げになった柱や壁が、白煙――水蒸気を上げている。
それをボーッと眺めていると、後ろから足音がして、ポンと肩を叩かれた。
「よくやった、アンベール!」
振り向くと、すっかり元気になったモモコが白い歯を見せて、左手の親指を「グッジョブ!」と言いながら立てている。
すぐそばに、双子とアルバンとエスカもいる。
「この二人のおかげで、助かったぜ!」
「妹の方だけど」
「そっか。
えーと、何もしない姉の方がなんだっけ……」
「フェムトよ。
失礼ね」
「そうそう、フェムト。
妹は……」
「ゼプト」
「そう、お手柄のゼプト。
みんな、いい奴だぜ!」
モモコは満面の笑みで、双子の肩をバンバンと叩く。
でも、すぐに心配そうな顔になって、アンベールを覗き込んだ。
「おい、なんか、顔が白いぞ!
大丈夫か!?」
「顔面蒼白ね」
「おそらく、マナを消費した」
フェムトもゼプトも、アンベールの顔を覗き込む。
「よっしゃー! 今度は、こっちも回復だぁ!」
「「おー」」
「ゲルトは100でいいよな」
「この人の残量なら、90でいい」
「おっ! メルシーな!
……あっ、でも100やるよ。
助けてくれたお礼。
多い分で、うまいもん食いな!」
「あら、いいのに」
「姉さん、この人の気分がいいうちに」
「そうね、もらっておくわ」
「今度こそ、前金」
「りょーかい!
待ってろ、アンベール。
今、助けてやっからな!」
「助けるのは、私だと思う」
今度は、アンベールが四人がかりで、四つ角まで運ばれた。




