31.双子の魔法使い
アンベールが目をこらすと、それは緑色の服を着た少女とオレンジ色の服を着た少女だった。
二人は顔を見合わせると、一目散に駆け寄ってくる。
「あれは獣人族の一つ、シャルトリュー族の小娘たちのようだ。
衣装でわかる」
「猫耳みたいのが見えるけれど、もしかして猫系統の獣人族?」
「左様。大別すると猫族だ。
おや? 双子かのう?」
アルバンの言う通り、近づいてくる二人の少女は、顔がそっくりである。
緑の服の子は赤髪、オレンジの服の子は蒼髪なので、服の色が同じなら髪の毛の色でしか区別が付かない。
丸顔であどけない顔をしていて、かなり可愛い。なお、猫のような長い髭は生えていない。
緑の服を着ている少女が、心配そうな顔をして声をかけた。
「大丈夫? 怪我していない?」
「大丈夫よ。体力がなくなっただけ」
「あれだけ動いたからね」
「見ていたの?」
「うん。向こうの陰で」
「あなた達は、ここの住人?」
「違うよ。魔法の道具を買いに来ただけ」
「魔法の道具?
もしかして、あなた達、魔法使い?」
「そだよ」
アンベールは、色めき立つ。
「ねえ、回復魔法使える!?」
「使えるよ。私じゃなくて、妹の方だけど」
緑の服の少女が、オレンジの服の少女を指さした。
「お願い! この子を助けてくれる!?」
オレンジの服の少女は、申し訳なさそうな顔をしてボソボソと答える。
「マナを使うから、ただというわけには……」
「ゲルトはあるから!」
「じゃあ、100でいい」
アンベールは、アルバンの方へ顔を向ける。
高いかどうかを、声を出さずに聞くためだ。
「ま、相場はそんなものだ」
「わかった」
と、その時、オレンジの服の少女が右手を出した。
「前金」
「えっ?」
「後で払わない人がいるから」
「でも……ゲルトを出せるのは、勇者しかできないし――」
と、突然、二人の少女は目が点になった。
「この人が勇者様!?」
二人は、まじまじとモモコの寝顔を見た。
そして、同時に顔を上げてアンベールの顔をしげしげと眺める。
「女で勇者!? あなた様じゃなくて!?」
その言葉に、アンベールは顔を赤らめた。




