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勇者モモコと魔法少女アンベールのぼうけん  作者: s_stein
第一章 何でもありの異世界

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30/100

30.オーバークロック攻撃

 その攻撃は、まるで早回しのビデオでも見ているかのようだった。


 モモコが兵士の眼前に瞬間移動。


 袈裟懸けに走る銀閃。


 鈍い金属音。


 プレートメイルにパックリと開く斜めの切れ目。


 吹き出す血潮。


 それを浴びる前に、隣の兵士の眼前へ。


 剣を横向きの8の字を描くように振り、再度袈裟懸けに斬る。



 これを繰り返し、八人を斬り殺すのに、5秒とかからなかった。


 兵士たちが次々と斃(たお)れると、不思議なことに、体全体が受像機の激しいスノーノイズ――砂嵐のように乱れた後で、フッと消えた。



 肩で大きく息を吸っていたモモコの全身から炎が消えると、彼女は膝を折った。


「モモコ!」


 そう叫んだアンベールは、真っ先にモモコに駆け寄った。遅れて駆けつけたアルバンとエスカは、他に敵が隠れていないか、周囲を警戒する。


「大丈夫!?」


「あ……ああ。

 頭に血が上ったら、体が勝手に動き出して……」


「なんか、アルバンの話だと、オーバークロックって言うんだって」


「オーバークロック? あのCPUの周波数を上げるやつ?」


「詳しくはわからないけど、隠しコマンドだって」



 モモコは、ステイタス画面を表示するも、オーバークロックという単語は見つからなかった。


「おっと、経験値が140になっている!

 やったね!」


「一人当たり、経験値5と言ったところね」


「この調子で、十人以上出てこないかなぁ……。

 あれ? あれれ……めまいが……」


 突然、モモコが石畳の上に倒れ込んだ。


 アンベールは、まだ表示されたままのモモコのステイタス画面を覗き込む。


 すると、体力が1に下がっていた。



 アンベールは、回復魔法を使おうと思いついたが、よく考えると、回復魔法を使えるのは勇者のみだ。


「アルバン! どうしたらいい!?」


「それ以上動いたら、体力0になって、昏睡状態になる。

 寝かせて回復を待つしかあるまい」


「でも、ここじゃ……」


 アンベールは、周囲を見渡す。



 と、その時、遠くの建物の陰で、緑色とオレンジ色の何かが動いているのが見えた。


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