24.LV2になってジョブチェンジ
『>モモコがLV2になりました』
『>アンベールがLV2になりました』
『>エスカがLV2になりました』
二人の前に、電子音とともにメッセージ画面が表示された。
「おっ! やったあああああぁ!
一気に経験値が99に上がって、LV2だぜぃ!
ボーナス、いただきぃ!」
モモコは、左手を高く上げてVサインをし、跳び上がって喜んだ。
アンベールも笑った口元に白い歯がこぼれたが、すぐに口をつぐんでしまった。そして、握りしめた聖剣をだらんと下げて、小石を蹴る。
「お前たち、短時間でよくやった。初めてのLVアップだな」
アルバンが、二人の肩をポンポンと叩いてねぎらった。
モモコもアンベールもステイタス画面を開いて、確かにLV2になって、ボーナスでスキル等が100になっていることを確認する。
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LV:2
経験:100 知能:100 攻撃:100 敏捷:100
体力:100 耐久:100 魔力:100
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燦然と輝く100の羅列が嬉しい。しかも、体力まで全回復だ。
「さあ、町に行こうぜ! みんなでお祝いだ!」
張り切るモモコは歩み始めたが、浮かない顔のアンベールは立ち尽くしたままだ。
後ろから足音が付いてこないので気になって振り返ったモモコは、咳払いを一つして、引き返してきた。
「アンベール。お前は、十分頑張った。
だから、気にすんな」
しかし、モモコがかける言葉に、アンベールはかぶりを振った。
「私は、何も出来なかった……。モモコに助けられただけ」
「勇者だからって、一人で気負うと、疲れるぞ。
この先、何が起こるかわからない。
でも、力を合わせれば、きっとうまくいくさ」
「ううん、足手まといなだけ」
「考えすぎ」
「……」
「自分を悪く言うなよ。な?」
モモコは、アンベールの肩を優しく叩く。
「そろそろ、交代時かな?」
アルバンはそう言いながら、二人のところへ近寄ってきた。
「交代? まさか、ジョブチェンジでもすんのか?」
モモコは目を丸くし、続いて笑顔になった。
「そうだ」
「本当に――できんのか!?」
そう言うモモコだったが、笑顔を一瞬で引っ込め、アンベールの顔色を窺った。
「できるとも」
「だけどよぉ、ここで交代したら、本人のためにならないんじゃないのか?
これから急成長、ってこともあんだろ?」
「ない。
厳しいことを言うようだが、アンベールは、勇者の素質がないようだ」
「素質?」
「左様。
素質とは、優れた能力を発揮するための元となる性質のことだ」
「ほうほう」
「どうも見ていると、お前たちは、女なのに男っぽいし、男なのに女っぽい」
「ギクッ……」
「場数を踏んで成長することもあるが、素質が左右するので、成長にも限界がある。
どうも、アンベールではなくモモコの方に勇者の素質があるように見える」
ここで、アンベールがようやく顔を上げた。
「ああ、そういうことね。
つまり、アルバンには、私――アンベールの中にある女性の性質が勇者に向いていない、と見えているのね」
「左様」
アンベールは、モモコの方を向いて、ニヤッと笑った。
「いいわよ。交代しても」
「モモコも、よいな?」
「お。……おお。アンベールがそう言うなら」
「では、始める」
アルバンが、ケーンを高く上げて詠唱した。
と、その時、二人の全身が光に包まれ、それが消えると、メッセージ画面が表示された。
『>モモコが勇者になりました』
『>アンベールが魔法使いになりました』
電子音の余韻に包まれながら、二人は互いに笑顔を向けた。




