17.勝利の後で
モモコは、女が気になった。
まさか、あの女、死んでいないよな、と不安がよぎる。
「おい、アルバン。なんで、あいつは動かないんだ?」
「ああ、気づかなかったか? スキル以外に、体力も全部奪われたからだ」
「あいつのステイタス画面、見てねーし」
「なら、見せてやろう」
アルバンは、右手を挙げて指をパチンと鳴らす。
すると、女の胸の辺りにステイタス画面が出現したので、三人が覗き込む。
――――――――――
ステイタス
職業:シーフ
LV:2
経験:35 知能:0 攻撃:0 敏捷:0
体力:0 耐久:0 魔力:0
魔法:
特殊:
ゲルト:0
武器
・
防具
・
アイテム
・
――――――――――
「なるほど。LVと経験は変わらないけど、他の値やアイテムは全部没収ってわけか」
そう言いつつもモモコは、それが自分だったらと思った途端、背筋に悪寒が走った。
「その通り。体力0だから自然と回復するまで動けまい。知能も0だから、計略を立てて人を騙すこともなかろう」
「そう思うと、ちょっとかわいそうになってきたな」
「本当に、かわいそうか?」
「んー、まー、そのー」
「でも、モモコをロングソードで、何の躊躇もなく刺したのよ。
当然の報いよ」
「うん、そうだ。
やっぱ、アンベールの言う通りだな。
極悪人は、このくらいになって反省してもらわないとな」
「お情けに、体力を10くらいに増やすことも出来るが」
「それが出来るなら、俺たちのを増やしてくれ!
できれば経験値を!」
「出来ぬ」
「ケチ!」
モモコは、アルバンにあかんべえをして、落ちていたロングソードを左手で取った。
鏡のように磨かれた表面は、モモコの顔や背後の木々を映している。
これが、体の中を突き抜けたのかと思うと、再び悪寒が走った。
「これ、どうやってしまうんだ?」
「なあに、ひとりでに収まる」
アルバンの言う通り、そのロングソードは、スーッと左手に吸い込まれていった。
驚いたモモコは、左手を振ってみた。
しかし、ロングソードは、出てこなかった。
「出すときは?」
「アンベールが武器を出したときと同じ」
「ふーん。便利だな」
「普通、魔法使いは、武器を使わないぞ」
「うっせ! 俺は、勇者の適性があるのに魔法使いさせられてんだからな」
「神の選択には逆らえぬ」
「見る目、ないよなぁ……」
と、その時、モモコは、今まで興奮していて気づかなかったあることに気づき始めた。




