16.スキルを獲得したはずが
「ちょうど今、セーブしたわよ!」
駆けつけたアンベールに、モモコは笑顔を向ける。
「おっ! トレビアン!」
だが、アンベールは、モモコの脳天を右手でチョップした。
「スカート、上げなさい!」
「へいへい」
「見たでしょう!?」
「何を?」
「パ……、白いの」
「白?」
「パンツ!」
「すみません。あいつにスカートずり降ろされたから、思わず、下を……見てしまいました」
アンベールに遅れて、モモコも顔を赤らめる。
そこに、咳払いをしながらアルバンが割り込んだ。
「あー、そこのお前たち、早く女のスキルを奪うのだ」
「エスカ。よろー」
「ああん? 俺? どうしろと?」
「そこの女から奪え」
「裸にすればいいのか? ムフフ」
アンベールは、深いため息をつく。
「飼い猫は、主人に似るのね……」
エスカは、アルバンに教わりながら、青いドレスの女のスキルを奪った。
二人の前に電子音とともに現れたメッセージ画面には、
『>モモコは悪者を倒しました』
『>アンベールはセーブしました』
『>エスカは悪者からスキル等を奪いました』
と表示されている。
エスカを仲介して、スキルをモモコとアンベールに仲良く山分けする。
これで数値が増えている――はずだった。
二人は期待に胸を膨らませて、ステイタス画面に切り替える。
だが、彼らは同時に大きく目を見開いた。
――――――――――
ステイタス
職業:魔法使い
LV:1
経験:10 知能:99 攻撃:99 敏捷:99
体力:99 耐久:99 魔力:99
・・・
武器
・ロングソード
防具
・透明マント
・・・
――――――――――
――――――――――
ステイタス
職業:勇者
LV:1
経験:10 知能:99 攻撃:99 敏捷:99
体力:99 耐久:99 魔力:99
:
ゲルト:2000
・・・
――――――――――
「おい、アルバン! スキルが増えてねえじゃねーかよ!」
モモコに袖を引っ張られたアルバンは、画面を覗き込む。
「当然……だ。そのLVで最高の値だったから、それを超えることはできないな」
「てめー、今初めて知っただろ!?」
アルバンは、口笛を吹く。
その時、アンベールは、モモコの肩をポンと叩いた。
「でも、モモコには、あの人の武器と防具が手に入ったわよ。
私には、あの人が持っていたゲルト金貨が2000枚も。
そして、二人の経験値が10も上がっているわ!」
「それでも、納得いかねー!!!」
「当たり前だろう。奪ったスキルで上限を超えてもよいなら、あっという間にLVが10になる」
「知らねえ奴が言うな!」
「いやあ、LV1がLV2を倒したなんて、過去に例がないし……」
「例がない割には、『張り合うには、ちょうどいい相手だぞ』とか言ってたよな?」
「そうでも言わないと、逃げるであろう?」
「めちゃくちゃだぁ……」
モモコはまだ息を弾ませていたが、落ち着きを取り戻すと、横たわったままの女を見た。
「結局、あいつから奪ったのは、武器、防具、ゲルトってことか。
経験値は、倒したから、ひとりでに上がったと」
「そういうことだ」
「で、アルバンは、俺たちの仲間になるんだよな?」
「ん?」
「んじゃねぇ! パーティに加わるんだよな!?」
「ああ、……約束だからな」
「なんか今、言葉に間があったよな?」
「気のせいだ」
と、突然、ピロローンという電子音とともにステイタス画面からメッセージ画面に切り替わった。
『>アルバンが賢者として仲間に加わりました』
「おお! お前って賢者!? マジかよ!?
アンベール、セーブ、セーブ!
……ん? 今、舌打ちしたろ!?」
「気のせいだ……」
アルバンは、モモコから目をそらし、ふくれっ面をした。




