14.スキル狩り、再登場
「ところで、魔王ってどこにいるんだよ?
地図とかないのか?」
「それは、自分たちで探せ」
モモコは、肩をすくめる。
「ケチだなぁ」
「ミッションとはそういうものだ」
「訓練で動いて、腹減ったんだけど。
コンビニとか、近くにないのか?」
「コンビニとは、なんだ?」
「……そっか。異世界にコンビニはないか」
「異世界? ここは、ディフェリタ国だが」
「俺たちの住んでいた世界以外は、全部異世界。気にすんな。
それより、コンビニ……。
あっ、それより前に――」
モモコは、アルバンに向かって左手を突き出す。
「前金」
「持ち逃げされると困るから、渡さない」
「ってことは、前任者に持ち逃げされたんだぁ。プップップ」
「まずは、信頼を勝ち取れ」
アルバンは、ふくれっ面をする。
「ふーん。
それよりさあ、……さっきから倒れた木の方を見てるけど、そんなに俺、悪いことした?」
「いや」
「じゃあ、なんで?」
「ちょうどいいチャンスだぞ」
「何の?」
「お前たちが信頼を勝ち取る」
「ほう。それは願ってもない――」
モモコは、立ち上がって、尻をパンパンと叩いた。
「で、何すりゃいいんだ?」
「あやつを倒せ」
「あやつ?」
モモコは、ケーンの先を倒木の方へ向けるアルバンを見てから、視線をケーンの先へ向けた。
すると、木々の間に青い人影が動いているのが見えてきた。
その色に見覚えのあるモモコは、たじろいだ。アンベールも動揺して後ずさりする。
あの女だ。
氷のように冷たいロングソードが、皮膚や肉を刺し、心臓を突き抜け、背中から出た感覚がモモコの体に蘇る。
その後、襲ってきた激痛、窒息感、めまいまでが脳裏に浮かぶ。
モモコは、グッと左胸に手を当てた。
「あやつは、LV2だ。スキル狩りに間違いない。
お前たちと張り合うには、ちょうどいい相手だぞ」
「……」
「あやつみたいのは、ゴロゴロいるぞ。
今、倒せないようでは、終わりだな」
「ま、マジかよ……」
「では、向こうで見物しているからな」
「おいおい! 加勢してくれないのかよ!?」
「お前たちのパーティに参加した覚えはない」
「何!? 参加できんのかよ!?」
「高いぞ」
「めちゃくちゃだぁ……」
と、その時、アンベールがアルバンの肩をつかんだ。
「ねえ、あの女のスキルって奪えるの?」
「お前たちにはシーフの能力はない。無理だ」
「シーフ能力? ああ、ゲームに出てくる、あの職業のこと?」
「でも、手がないことはない」
「二重否定……」
「そこの猫。そいつは、シーフと千里眼の能力がある」
「!!」
「あやつを倒したら、その猫に奪わせろ。
そして、お前らの間で、スキルを分け合うとよい」
「わかったわ!」
アンベールは、キョトンとするエスカを見下ろすと、森から出てきた青いドレス姿の女を睨み付けた。




