84話 好きな人
今回は短めです。
目の前が真っ白になった。アリアはこう言った「私もウィレル君の事が好きだよ」。
「 。」
まだアリアが何か言っていたが、よくわからない。何も聞こえない。ウィレルの告白に対してウィレルの事が好きだとアリアは返した。
ウィレル君の事が好きだよ。
ウィレル君の事が好きだよ。
ウィレル君の事が好きだよ。
手が、腕が、唇が震える。
どうして俺はこんなにショックを受けているんだろう?
アリアに好きな人がいる。
この事実が俺に圧し掛かる。
アリアに好きな人ができた・・・・嫌だ。
俺じゃない男が・・・嫌だ!!
俺から離れる?・・・嫌だ!!!
もう一緒にいられない?・・・嫌だ!!!!
嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!
アリアには俺とずっと一緒にいて欲しい!
アリアには俺の隣で笑っていてほしい。
可愛い子だと思っていた。
初めて会った時、その容姿が俺の好みドストライクだと思った。
一緒に修行している時に、お互いの良い所、悪い所が解かり合えた。
旅を始めて、ずっと一緒にいたいと思うようになっていた。
・・・そうか、俺はアリアに恋していたんだな。今更気付いて、そして失恋したのか。
なんでもっと早く俺は告白しなかったんだ?なんで?どうして?アリアの事が好きだったんだろう?
なんでウィレルよりも先に想いを伝えなかったんだ?悔しい。過去の俺を殴ってやりたい!
でも、俺が望むのはアリアの幸せだ。例え隣にいるのが俺じゃなくても、俺じゃなくたって。俺じゃ・・・ダメなのか・・・?
さっきアリアだけキスしてくれなかったのはウィレルの事があったからか・・・くそっなんだよ・・・さっきまで気分が良かったのに、今はもう最悪だ・・・。
「そっか・・・」
「・・・それでね、私もウィレル君に習って勇気を出してみようと思うの。応援・・・してくれないかな?」
っ!応援なんて出来ねぇよ!出来る訳・・・ねぇよ・・・でもアリアは今まで俺を助けてくれた。その恩には応えないといけないよな・・・。
「あぁ・・・もちろんだ。俺に任せとけ。」
俺は何を言ってるんだ?任せとけじゃねーよ。無様でもいい、俺の気持ちをアリアに伝えろよ。この期に及んで自分の気持ちを隠して良い人ぶろうとしてんじゃねーよ!
・・・俺は今どんな顔をしているんだろう?酷い顔をアリアに晒していないだろうか?
「ありがとう!それじゃあ私頑張るね!」
あんまり頑張らないでほしい・・・。
「よし!それじゃあ・・・・」
アリアが後ろを向いて息を吸い込むのがわかる。
薄暗いがアリアの後ろ姿がハッキリとわかる。すぐにでも抱きしめたい。この愛おしい人を失いたくない。この人が別の男の物になってしまうのなんて嫌だ・・・。
深呼吸を終えたアリアがクルリと振り返り、俺と向き合った。
「・・・私は、ヨーヘー、あなたのことが・・・好きです。」
・
・
・
そうか、アリアは俺のことが好きなのか。
俺なら仕方ないな、あいつは良い奴だから。俺にならアリアを任せても安心できる。なぜか納得出来てしまう自分が滑稽で仕方ない。俺はアリアの事がこんなにも好きなのに、あいつにならと認めてあげたくなってしまう。だが俺のアリアを奪うんだ。一発殴らないと俺の気が済まない。喰らえ!俺の鉄建を!!
バキィ!!
ウグォオォォォ!!超痛ぇぇええ!!
ふんっ!痛いか!?でもなぁっ俺の心はもっと痛いんだよ!!どれくらい痛いかっていうとなっ!・・・あれ?あんまり心痛くないぞ?むしろホッとしている?
・・・って!俺ぇぇぇぇぇぇえええ!!?
「な、何やってるの!?どうして自分を殴ったの!?怪我したんじゃない!?い、今治すね!『ヒール』!」
「え?は?お、俺?俺ぇ!?」
「そ、そうだよ?私はヨーヘーの事が・・・好きなの。」
「え?ウィレルじゃないの?」
「なんで?私の話ちゃんと聞いてた?ウィレル君の事は好きだけど、それは友達としての好きだよってさっき言ったじゃない。」
そんなこと言ったか?もしかして聞き取れてなかった部分のことか?頭が真っ白で何を言ってるかわからなかった時の事かも知れない。バカッ!ちゃんと聞いておけよ!
「え?マジで?本当に?冗談とかじゃなくて?」
「冗談とかじゃないよ。そもそも好きでもない男性と一緒にお風呂に入ったり、同じ部屋で寝たりするわけないでしょう?」
そりゃそうだが!よく考えるとそうなんだが!!今の俺は何も考えられません!!
「信じてくれないの?・・・それなら、これで信じられる?」
アリアが急に俺に近付いてきて、そして俺の唇にアリアの唇が優しく触れる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
長い・・・アリアの息遣いを感じる。暗くてもわかるアリアの唇の柔らかさ、艶やかさ。
乱れていた俺の心が落ち着いてきたのを実感する。同時に別の意味で驚いている。
時間にして30秒くらいだが、とてつもなく長く感じた。それでも俺の唇からアリアの唇が離れた時は、もう終わってしまうのかと名残惜さが残ってしまう。
なので俺はアリアを引き寄せてもう1度アリアとキスをする。ビックリしていたアリアだったが、すぐに力を抜いてキスを受け入れてくれた。ははっ、なんだよ、アリアも俺の事を好きでいてくれたのか。これって両思いって奴じゃん。ははは、よかった。マジでよかった・・・。安心したらなんか涙が出てきた。もう色んな感情が俺の中でゴチャゴチャになってわけがわからなくなってる。
「ありがとうアリア。すっごく嬉しい。俺もアリアが大好きだよ。」
すると、俺の手に水のようなものが落ちてきたのを感じる。・・・これは涙?俺のじゃないよな?
「あはは、よかった。グスッ、初めてヨーヘーに好きって言って貰えたよー。ヨーヘーの行動から嫌われてはいないとはわかってるつもりだったけど、今まで一回も好きって言われた事無かったからちょっと不安だったんだよ?だからもしこの告白を断られたらって考えると、怖くて、怖くて・・・。」
「え?好きって言った事なかったんだっけ?」
そうだったか?何回も思っていたことだから、言った事くらいあるつもりでいた。
その事でアリアを不安にさせちゃってたんだな。それならアリアを安心させる為だ。何度でも言おうじゃないか。
「そっか、じゃあ改めて。アリア、大好きだよ。」
「うん♪私もヨーヘーの事大好きっ!」
そして本日3度目のキスをした。




