8話 冒険にでよう!
「さて、これでお前達に教えることは無くなったな。」
「ミイ師匠・・・」
「これからどうするのだ?」
「えっと、私は魔法もミイ師匠のおかげで凄く上達したし、この4ヶ月探していたご先祖様のお墓も見つからなかったので、そろそろ諦めようと思います。」
「そうか。まぁそのうち見つかるだろうよ。」
「それで、お兄ちゃん・・・憤怒の魔法師が気になるので、お姉ちゃんを探してみようかと思うんです。お姉ちゃんなら何か知ってると思うから。」
「・・・そうか。それならばアリアにはこれをあげよう。」
そう言ってミイ師匠は古びた杖をアリアに渡す。
「ちっとボロッチィが俺が作った物だ。性能は保証しよう。」
「師匠、これ本当にボロボロですね。」
金属製の50cmくらいの杖であるが、先端に付いている黄色い宝石のような物は色が鈍く、杖の金属の部分もなんかカビっぽいのが付いている。
「何百年もの時を超えているからな。」
「何百年!?」
「うむ。魔道具作りも終わってやることがなくなったから寝てしまってな。その間手入れなんてしてないからそんな状態になってしまった。魔法の袋に入れておけばよかったな。まぁ使っていればじきに輝きを取り戻すだろう。」
「そう言えば寝過ごしたって言っていましたね。どれくらい寝ていたんですか?」
「ん?えっとそうだな・・ひーふーみー・・・900年ちょっとかな?」
「900!?寝ぼすけにも程がある!?」
正直に言おう、馬鹿だと思いました。寝過ごしたってレベルじゃないだろう。よく今まで起きなかったというか、逆によく起きれたな。900年間動かないミイラ。普通生きてるって思わないよね。
「まぁ過ぎた事だ。気にするな」
「あの、杖ありがとうございます。」
「大事にしてくれよ。」
ミイ師匠は古びた杖を愛おしそうに撫でるとアリアに手渡した。その時少し寂しげな目をしていたように見えたのは気のせいだろうか。
「さて、ヨーヘーは修行が終わった訳だがどうする?」
ふむ、まったく考えてなかったな。さてどうするかな。
「とりあえず、地球に帰る方法でも探そうかなぁ?」
「ふむ、虹の橋だったな。俺の方でも今後研究するが、お前はお前で探してみるのもいいかもしれないな。」
「あの・・・ヨーヘー?」
そんな会話をしているとアリアが俺に話しかけてきた。
「うん?どうしたのアリア。」
「あのね・・・ヨーヘーがよかったらなんだけど、嫌なら断ってくれていいんだけど・・・私と一緒に来てくれない・・・かな?」
これはモテ気!?いや、そんなわけないか。確かアリアはセリアル様のお墓を探しに1人で来たって言ってたな。女性の一人旅とか危ないよな。ましてやアリアはこんなに可愛いしな。ここで別れるとすっごく心配になる。地球に戻る方法とかどこをどう探せばいいのかわからない。というかミイ師匠の話だと自然現象だからほぼ無理だろうと言われている。仮に同じ現象が起こったとしてもそれが地球に繋がっている保障は無いらしい。しアリアと一緒に旅しながらダメ元でのんびりと手がかりを探すのもいいな。異世界探訪とか楽しそうだ!折角異世界に来たんだ。地球に帰れないって落ち込むより楽しむ事を考えよう。
ふとアリアを見ると不安そうに俺を見ている。
「俺から一緒に旅して欲しいってお願いしたいくらいだよ!これからもよろしくねアリア。」
安堵した表情になるアリア。
「うん!よろしくね!」
「これで俺達旅仲間だねー。」
「・・・仲間・・・」
仲間という言葉が気に入ったのか嬉しそうな表情で仲間仲間と呟いている。
「というわけで、俺はアリアと一緒に行動しようかと思います。」
「そうかそうか、ではヨーヘーにも餞別をくれてやるか。」
ドキドキ。何が貰えるんだろう?
「よし、ヨーヘーにはこの剣をあげよう。この剣は名剣でな。研がなくても自己修復するから刃こぼれとは無縁なのだ。手入れもいらんし、良く斬れる。お前の助けとなってくれるだろう。」
「待てぃ!師匠?俺この4ヶ月で剣なんて習ってないんですけど?魔法しか教えて貰えなかったんですけど?俺職業は魔法使いだって思ってたのに、まさかの剣士転職ですか!?」
「そうは言っても保管してあったアイテムも使えるものは使ってしまったし、さっきの杖とその剣と大事に取っておいた魔水晶、あとは魔法の袋くらいしかないのだ。魔水晶は俺が使うからやれんしな。だからその剣はいらんから持っていけ。」
ゴミ扱い!?
「あんまりだーーー!」
「うっさい!魔法の袋3つあげたんだからいいだろう!」
「アリガトウゴザイマス」
確かに貰ったけども!!凄い便利だってわかってるけども!!
「不満そうだな?ではこれをくれてやる。」
魔法の袋?他のよりサイズ小さいけど。20cmくらいの大きさだ。
「それは魔法の袋と言ってな。俺が作った。」
「・・・・・・」
「この前と反応がずいぶん違うな?」
「いや、魔法の袋ならクローンで増やせるしなーと思いまして。」
「ふ、それは他の魔法の袋とは違う。名付けて魔法の袋(携帯用)だ!」
また適当なネーミングを・・・。てか何が違うんだろう?俺の持ってる魔法の袋も携帯できるんだけどなぁ。
「この魔法の袋(携帯用)にはなんと腰に着ける紐が付いている!」
「ウワー、スゴーイ」
「・・・イラッ・・・中の広さは他の魔法の袋と違って2ミール×2ミール×2ミールと少し小さめだが、目次機能がついており、腕を入れると入っている物がわかり、それを念じると手に取る事ができる。」
「マジで!?すっげーーーー便利じゃないですか!?いいんですか!?貰っちゃっても!!」
「コイツ・・・あげたくなくなってきたがまぁいいだろう、持って行け。そうだ、これも渡しておこう。」
そう言ってミイ師匠は砂時計の様なアイテムと青い野球ボールみたいな物を俺に渡してきた。砂時計みたいな形の方は中に青色の石と灰色の石が1つずつ入っている。
「師匠、これは?」
「こっちの玉が2つ入っている物は対憤怒の魔法師専用の最終兵器とでも言っておくか。俺が細工を施した!憤怒の魔法師に近づけるとヤツの魔力に反応して効果が発動する。何が起こるかは秘密だ。絶大な効果が現れるだろう。一度発動すればヤツは避ける事はできないはずだ。もし戦うことになったら使うといい。」
「お兄ちゃんとは戦う為に会いに行くわけではありません。」
アリアは知り合いと戦う事を前提としたミイ師匠の贈り物に不満を述べる。
「わかっているよ。それでもこちらが望まなくても襲い掛かってくることも考えられる。辛いかもしれんが、その時はちゃんと抵抗してほしい。アリアやヨーヘーが死んでしまったら悲しむものがいるという事を忘れないでほしい。少なくとも俺は悲しむ。」
「・・・はい」
「師匠・・・」
「それでこっちの玉は俺が寝坊したおかげで使わなくなった魔道具だな。旅費の足しにでもしてくれ。」
若干ミイ師匠の顔に影が差した。これ大切なものだったんじゃないのか?使わなくなったとは言ってるものの売らないで取っておいた方がいいだろう。
「よし!行ってこい!くれぐれも無理はしないようにな!ヨーヘー、アリアを頼むぞ。アリア、ヨーヘーの助けになってやれよ。」
「「はい!いってきます!」」
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「行ったか・・・賑やかであったな・・・。さて、研究の続きでも始めるか!」
ミイ師匠ハウスを出た俺達は俺が最初に転移してきた場所にいた。
「よーし、まずはどうする?」
「そうね、旧コルベール城に行っても入れて貰えないだろうから、お姉ちゃんを探したいかなー」
「無理矢理通れないの?」
「城への入り口が跳ね橋しかないのよ。そこからしか入れないと思う。」
「フライとかで飛んでいけない?」
「たぶん無理。お兄ちゃんが城全体に強力な障壁を張ってて、障壁に触れるとバリッってなるらしいの。、討伐隊の人達が通る時に30人くらいの魔法師で跳ね橋から城門までの部分だけ障壁を中和してるみたいだから、ちょっと通してくださいっていうのは難しいんじゃないかな。」
なるほど。テレポートでなら行けるかもしれないけど、たぶん戸締りしっかりしてるんだろうなぁ。
「だからまず情報を集めようと思うんだ。私何も知らないから。」
「それでお姉ちゃんさんを探して色々聞こうというわけだね。」
「うん!私と一緒にいた時はお兄ちゃんとお姉ちゃんラブラブだったんだよ♪今なんで一緒にいないのかわからないけど、お姉ちゃんならお兄ちゃんに何があったのか知ってると思うの。そして一緒にもうやめてって説得してもらうの!お姉ちゃんの言う事ならお兄ちゃんは絶対に聞くだろうし!」
アリアはやる気に満ちた顔をしている。お姉ちゃんさんならなんとかしてくれると信じきっているようだ。
「憤怒の魔法師さんを説得できるといいね。」
「ユグドだよ。」
「え?」
「ユグド=ラグノイド。憤怒の魔法師の名前。ヨーヘーには憤怒の魔法師じゃなくて名前で呼んであげてほしいな。」
「そっか、うん。ユグドさんね。ちなみにお姉ちゃんさんは?」
「お姉ちゃんはセリア=ローレンスって言うの。」
「セリアル様に名前が似てるね。」
そう言うとアリアは顔を綻ばせてた。
「あはは、お姉ちゃんもそれ気にしてた。セリアなんていうそこら辺にいるような名前じゃない方が良かったって。」
「セリアって名前は一杯いるもんなの?」
「うん。女性は20人に1人はセリアって名前かも。この世界の人はほとんどがセリアル教なの。それでセリアル様のようになってほしいって願いを込めて女の子ならセリア。男の子ならリアルって名前をつけるの。」
20人に1人か。結構多いな。石を投げれば5%の確率でセリアさん又はリアル君に当るわけだ。ちなみにセリアルって名前は恐れ多過ぎてつけないのでほとんどいないらしい。
「そんじゃセリアさんを探そうか。」
「探そー!」
元気に俺達は歩き出した。
「ところでアリア。セリアさんってどこにいるかわかってるの?」
「・・・・・・」
アリアが笑顔のままこっちを見てる。よく見ると一筋の汗がたれるのが見えた。
「ま、まさか・・・?」
「た、たぶん・・・あっち!」
たぶん・・・だと?
「こ、根拠はあるの!今いるこの場所はロイト王国っていうんだけど。この国にはキレースっていう街があって、そこにあるセリアル教の教会が管理している孤児院出身だってお姉ちゃんは言ってたから、そこに行けば何かわかるかも!さぁ行きましょ!!」
アリアが俺の手を掴んで強引に進もうとする。
まぁ他に手掛かりがあるわけじゃないし、なるようになるか。




