表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
61/172

61話 八つ当たり

心配するブリード氏を送り出して。俺は残ったアリアとリーパーアントのいる方を見据える。

それにしても・・・はぁ、余分な事をしてくれるなぁ。

バカが1人リーパーアントの群れに突っ込んで行ってしまったのだ。魔物の反応があり俺が『あっちにね、魔物の反応があったんだけど・・・』と言ったら「ミーに任せろっ!」とか威勢の良いこと言って飛び出して行ってしまった。

見殺しにも出来ないし、やれることはやってみよう。それでもダメそうなら諦める!!


「アリア、悪いけど付き合ってね。」


「もちろん!一緒に頑張ろうね!」


「目標は今食われてるマグロの救出。今も食われながらも再生してるから死ぬことは無いんだろうけど、やっぱ助けてあげないとダメかな?ダメだよね・・・。」


「あれはなかなか慣れないよね。どういう仕組みで再生してるんだろうね?」


ホントにどういう仕組みなんだろう?


「救出が無理そうなら可哀想だけど逃げよう。助ける事が出来たら、あの状態のマグロを連れて逃げるのは大変そうだから、リーパーアントの殲滅をしちゃおうか。一気にエクスプロージョンで燃やしてもいいけど、また火事になると消火活動が大変だよな。俺がフライでアリアを抱えて飛ぶから、アリアは俺と一緒にリーパーアントの攻撃が届かない上空からレーザーなんかでやっつけて行こう。もし魔法の効果が薄いとか別の要因で殲滅が難しそうだったら一旦逃げてキレースの冒険者ギルドに対策を立てて貰おうか。」


「うん。じゃあまずはマグロさんの周りの敵をやっつけないとだねー。それじゃさっそく行こっかー。」


俺とアリアは同時に走り出してマグロが食われているであろう場所に向かった。マグロには30匹くらいに群がられていて蟻の小山が出来ている。


「むぁぁぁぁぁ!!ぎょぎょぉぉぉおっ!!」


小山に近づくとマグロの声が聞こえてきた。


「おのれ!虫風情が調子に乗って!『ウォーターショット』!『ウォーターショット』!『ウォーターショット』!」


蟻の小山からピュー、ピューっと水が噴出している。あの辺が口なわけか。マグロ渾身のウォーターショットは蟻の体を濡らしているだけで全然ダメージ通ってないみたいだけど・・・。


「とりあえずあの小山を処理しよう!マグロは溶岩に落ちても死なないとか言ってたから、マグロを気にしないでやっちゃうよ!」


「うぅ~、ちょっと抵抗あるなぁー。だ、大丈夫だよね?信じるからね?」


アリアは味方に攻撃することに抵抗があるようだ。俺もちょっと抵抗あるが、マグロの再生能力を信じてみようと思う。というよりバカにお仕置きだと割り切ろう。一応警告はしてやるか。


「マグロー!今からそこに魔法撃つからなー!」


「ギョギョッ!?その声はヨーヘー!気を付けるんだ!こいつ等は水に耐性を持っているようだっ!」


いや、単純にあんたの噴水がしょぼいだけだよ。というツッコミはなんとかグッと飲み込んで、アリアと魔法を放つ準備をする。


せーの


「「『『ファイアーストーム』』」」


ゴオオォォォッ!!


「ぬわあぁぁぁぁぁ!!」


マグロを中心に俺とアリアの出した炎が踊る。

さっき消火活動が大変とか言っておきながら示し合わせたように火魔法を使う2人だった。トリスがいたら鋭いツッコミがあっただろう。

だってさ、飛んで火にいる夏の虫って諺があるくらいだから、虫の弱点って火だと思ったんだよ・・・。アリアが火魔法を選択した理由は知らない。

しばらくして俺達の魔力制御を離れた炎の嵐は、燃えるものが無くなったのか徐々に鎮火していった。

残っているのは真っ黒に焼け焦げたリーパーアントの死骸と同じくこんがり焼けたマグロのシルエットだけだ。


「「・・・・・・」」


あれ?もしかしてやっちゃった系?

と、若干心配していたらマグロがビクンと動いた。


「な、なんだ!?炎に焼かれて物凄く熱かっ・・・ぎょぎょっ!?焼けてるっ!ミー焼けてるっ!?」


炎に焼かれ、全身火傷になったのか、仰向けになって倒れこんだマグロは、チャーミングなたらこ唇をポークポークさせている。しかし、すぐに再生したのかガバッと起き上がった。


「はっ!な、何が起こったのだ!?・・・はっ!ヨ、ヨーヘーにアリア!?ミーまでこんがり焼くなんてあんまりじゃないかっ!?」


「細かい事は気にするな!!何されても死なないと言っていたから遠慮なくやらせてもらったぜ!いやー、実に優秀な壁役だった!」


「む?そ、そうだろうそうだろう!ミーは優秀なタンクだろう!ミーの良い所はミーを気にすることなく敵に攻撃できることなのだ!・・・なのだが、やっぱり痛いものは痛いのでちょっと加減してもらえると嬉しく思わんこともないよっ!」


「知るか!リーパーアントはこちらに気付いてなかったからやり過ごせる可能性もあったのに勝手に先走りして危険度を上げた罰だと思うんだな!」


「む、むぅ・・・!ち、違うんだ!失敗が続いたから汚名返上のチャンスだと思ったんだ!悪気があった訳じゃないんだ!」


「悪気があっての行動だったらホント許さないけどな!おっと、とりあえずあんたはそこにいてくれ。バリア。」


周りにウジャウジャいたリーパーアントが寄ってきていたので、マグロの周辺に障壁を張ってリーパーアントに襲われないようにする。


「こ、これはなんだい?」


「敵の攻撃から身を守る障壁だと思ってくれ。ちょっと倒せるようならあいつ等掃除してくるから、ちょっとそこで大人しくしててくれ。」


アリアの方に振り返ると、色々な魔法を使って近寄ってくるリーパーアントに攻撃していた。


「ヨーヘー、こいつらやっぱり火魔法が一番効果あるみたいだよ。土魔法には強いみたいだね。」


「おっけー。じゃああいつ等の攻撃が届かなそうな空に逃げますか。・・・アリア、俺はどうやってアリアを抱えたらいいかな?お姫様抱っこだと俺が手を使えなくなるし、うーん、そうなるとおんぶも抱っこも手が使えないのは同じか。」


「ヨーヘー、ちょっと屈んでー。」


「え?・・・こう?」


迫りくるリーパーアントを撃退しつつ、どうしようか悩み、アリアにもフライを掛けようかと考え付いたところで、アリアから屈むように要求されたので、それに従って俺が屈むと、俺の後ろに周ったアリアが俺を跨いで肩に太ももを乗せてきた。こ、これは!!


「立っていいよー。」


アリアに言われた通りに立ち上がる。そう、これはいわゆる肩車だ。


「・・・・・・」


「わぁ、結構高いねー♪ヨーヘーがよくタァマちゃんに肩車してたでしょう?あれちょっと羨ましかったんだー。うん、タァマちゃんの定位置になるのもわかる気がする!」


「・・・・・・」


「これならヨーヘーも私も両手を使えるよね。うん、ヨーヘー、飛んでいいよー。」


「・・・・・・」


「ヨーヘー?」


頭の上から俺の顔を覗き込んでくるアリア。俺の頭には柔らかい感触が広がる。それも嬉しい、だがしかし!今俺の顔はアリアの太ももに挟まれているのだ。アリアの今日の服装は俺が調子に乗ってたくさん作ったミニスカートにニーソだ。つまりアリアの絶対領域・・・生足が俺の頬を挟んでいる。少しヒンヤリしているような、そしてスベスベなのにモチモチで吸い付いてくるようなアリアの肌。そんな肌が俺の頬にくっついている。ここはなんという天国だろう?俺の顔の左右にアリアの両足があるということは襟首に当っているのはどこの部分なんだろうか。振り向いて確認したい。でも勇気が足りない。


「おーい、ヨーヘー?」


アリアにもフライを掛ければいいのかと思いついてしまったが、今では言わなくて良かったと思っている。もし、その提案を先にしてしまっていたら、俺は俺を許せないだろう。気付くのが遅れた俺に心からありがとうと伝えたい。そして今後アリアと飛ぶ時は肩車をして飛ぶことにしよう。


「ヨーヘーーー!」


アリアに鼻を摘ままれた。


「はっ!?どうされましたか!?」


「何?そのしゃべり方?もしかしてまたエッチな事考えてた?・・・あっ!ヨーヘー、私やっぱり降り「『フライ』」きゃぁ!?」


降ろしてなるものか!!アリアの定位置はそこなんじゃーい!

勢い余って一気に500mくらい上昇してしまった。正直に言うと上昇のGによって肩や襟首に押し付けられる感触が気になって上がりすぎてしまった。


「ヨ、ヨヨヨヨーヘー!!た、たたた高っ、高いよ!!」


ギュウっと頭を抱かれて両足も俺の顔を挟む力が強くなる。


「あ、ごめん。高すぎたね。ちょっと考え事してて・・・」


「その考え事については後で聞くとして、早く高度を落としてぇぇーー!」


焦ったアリアの声に俺も焦ってしまい、言われるまま高度を30mくらいまで一気に落としてしまった。


「えっ!?ちょっ、待っ、きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


30mの高度まで下がってきて、そこまで恐れる高さでは無くなったのだが、アリアは俺の頭を抱え込んでプルプル震えていた。


「アリア?」


「・・・・・・」


返事が無い。俺の頭を抱え込む力が増しているから気絶はしていないはずだ。

そうだよね、500mから30mまで470mのフリーフォールでしたもんね。500mから比べたら30mなんて地面みたいなもんですものね。俺は魔法制御していたから止まれるってわかってたけど、俺に乗ってるだけのアリアは地面に墜落するんじゃないかと非常に怖かった事でしょう。

・・・むぅ、自分で制御していたといっても、俺も無意識だが怖かったんだろうな。襟首の部分が湿っている。恐らく冷や汗を掻いたのだろう。そうに違いない。

こんなところが濡れているとアリアも気持ち悪いだろうから、気配りのできる男である俺はドライの魔法で乾かしておいた。


「うぅ・・・ばかぁ・・・ヨーヘーのばかぁぁぁ・・・。」


その後、アリアが頑なに俺の頭にしがみついて離れないので、一生懸命慰めたり謝ったりしていた。マグロが何か言っているようだが今はアリアの事しか考えられん。

アリアを慰め始めて30分が経ち、やっと俺の頭はアリアのお胸様から解放された。両足は俺の頭をガッチリホールドしたままだけどな。嬉しいやら苦しいやら嬉しいやら嬉しいやら・・・。


「あなた達が・・・あなた達がこんなところにいるから私がこんな目にあったんだからぁ!」


そんな台詞をアリアが叫ぶと凄い勢いでリーパーアントに向かって火魔法を使い始めた。

止めどもなく打ち出されるファイアーアローやフレイムランス、吹き荒れるファイアーストーム、そして上級魔法のインフェルノ、ボルケーノ等々、火魔法のオンパレード・・・。地面はマグマに覆い尽くされ、至る所から黒煙が上がり、マグロのいる場所以外は燃えていない場所が無いくらい壮絶な光景だった。

地獄ってこんな感じなのかなぁ・・・。俺の出番が全く無い。

さすがにこれだけやるとミイ師匠から普通の魔法師よりも多いと言われたアリアの魔力だって無くなるはずだ。・・・待てよ?魔力を使い果たすとシナってなるんじゃなかったっけか!?


「ア、アリア!!もうやめっ!止めて!!シナってなっちゃうよ!?」


俺の上にいるアリアがピタっと止まる。そしてまた俺の頭を抱え込んでしまった。

辺りを見渡す。・・・うん、すっげー燃えてるな。これで生き残ってられるならとんでもない生物だ。念の為スカウトを使いながらフライで飛び回ってみたが、燃えている1km圏内は魔物の反応無し。

リーパーアントは全てこの中にいたらしく、女王を含めて全滅したっぽいな。

しかし・・・これどうしよう?そりゃもう壮絶に燃えていますよ。所々地面がグツグツいってるし、自分達に張っているバリアを解いたらとんでもなく熱いんだろうなぁ。これ水かけたりしたらたぶん水蒸気爆発起こすよね。しかし放っておくと1週間は燃えてそうだしなぁ。仕方ない、イレイズで消していくか・・・。

地道にマグマ等をイレイズで消す作業を4時間続けてやっと全ての炎を消す事ができた。周りの地面より2mくらい深くなってしまっているが、その内雨でも振っている内に沼になるだろう。消火活動を続けた俺の魔力もかなり減ってしまったな。


マグロがいるところに戻るとマグロが俺達を見て・・・いや正確にはアリアを見ているな。アリアを見てビビっているようだ。


「ヨ、ヨーヘー、聞きたいことがあるんだ。アリア・・・いやアリアさんは・・・魔王か?」


「いや、普通の人族だけど?」


「普通の人族はこんなことはできないと思うぞ?」


「上級魔法が使える魔法師ならこんなもんだろう?俺もこれくらいできるしな。」


「そ、そうなのか?なんなのだ?ユー達は・・・。」


「そんなことよりもう日が沈んじゃうな。キレースまでまだ1.5メールくらいあるんだよな。歩いていくと5時間は掛かるかぁ。今から行くと夜中になっちゃうな。」


「ここはこの辺りで野営して明日の朝になったらキレースに向かうということでいいのではないか?」


「それでもいいんだけど、タァマちゃんが心配だからさ。早く合流してあげたいんだ。問題発生の合図は見えなかったから今頃は無事にキレースに着いているとは思うんだけどね。」


マグロにすぐにキレースに向かいたい理由を説明した。

確認はしていないが、ブリード氏はキレースに着いただろうから依頼はこれで完遂ということでいいのだろうか?キレースまで行かないと無事が確認できないし、どうすればいいんだ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ