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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
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47話 姉妹の再会

ガラダに戻った俺達は、コメルさんやトリスさんを救出した報国をする為に冒険者ギルドに向かった。


ギルド内に入ると俺が入ってくるのに気付いたカナさんが俺の横にコメルさんがいることに驚き、受付から慌てるように飛び出してきてコメルさんに抱きついた。


「コメル!!」


「っ!お姉ちゃん!!」


2人は涙を流しながら抱き合って無事を喜んでいる。

えぇ話や。良かった、良かったねぇ。アリアを見ると涙を流していた。

紳士の嗜みとしてハンカチを渡しておいた。

よく見たら他のギルド職員も2人の抱き合う姿を見て涙を流している者もいる事に気付く。


「・・・コメル、大丈夫?体に変わりない?」


カナさんはコメルさんの全身を観察しながら質問している。


「うん、大丈夫だよ。ヨーヘーさんとアリアさんに助けてもらったの。」


コメルさんは先程作った設定をカナさんに説明している。カナさんはコメルさんの話を聞きながら表情が徐々に安堵の色に変わっていく。色々良くない事を想像してたんだろうな。


「よくわかったわ。コメル、あなたは運が良かったのね。ゴブリン達に捕まって酷い目に遭わされてるんじゃないかってお姉ちゃん心配したのよ。でも無事に帰ってきてくれてよかった・・・よかっ・・・うぅ・・・」


「心配掛けてごめんねお姉ちゃん。ほら私は元気だよ。ちゃんと帰ってきたよ。」


また抱き合って泣き始めたので貰い泣きしてるアリアに合図をして2人にしてやろうとギルド内のテーブルについた。しかし俺達が離れると他のギルド職員達が集まってきてカナさんとコメルさんを囲んでいた。俺達の気遣い意味ナッスィーング!

ギルド職員皆が来たら誰が仕事するんだよ。カウンターには受付がいなくなって困っている人が3人くらいいるぞ。


「ご苦労だったな『フリーター』。」


コメルさん達の輪を遠巻きに眺めていたら後ろから声を掛けられた。


「マイツァさん。どうも先日はお疲れ様でした。」


「うむ。よくコメルを見つけてきてくれたな。正直もうダメだろうと思っていたんだが無事なようで何よりだ。」


マイツァさんは皆に囲まれながらも抱き合って喜んでいる姉妹に目を向けて微笑んだ。


「マイツァさんは行かなくていいんですか?」


「この瞬間を逃すと会えないというのならともかく、後でも会えるのであれば今行くのは得策ではないだろう。あんな帰還を喜ぶ者達ABCDとして認識されるより、落ち着いてから1人で会った方が印象に残るだろう?」


なんだろう?なんか嫌らしい考え方してるな。


「それでな、『フリーター』お主らを待っていたのだよ。集落襲撃依頼の報酬を渡せていないのはお主らだけだからな。今回の報酬は極めて活躍した者以外は一定額を支給することになった。お主らにも一定額を支給しよう。」


むぅ、一杯倒したのは俺なんだけどなぁ。まぁ、今更だから言いませんけどね。。そういえばサブロー先輩が殲滅したことになってるけど、どういう報酬が貰えるんだろう?本来俺が貰えたかもしれない報酬だけにちょっと気になるな。


「はい、ではこの後受付で受け取りますね。ちょっと興味本位の質問なんですけど、サブロー先輩はどれくらい報酬を貰ったんですか?」


「うん?サブロイド君は今回の依頼成功の第一人者だからな。報酬は10万レンスだ。それにあのレベルの魔法が使えるということがわかったからな、上級冒険者である星7つに昇格することを推薦している。まぁ、攫われた者がいるかもしれない状況であの規模の魔法を放った点は減点だが、おかげでこちらに犠牲が出なかったのも確かだ。恐らく通るだろう。」


10万レンス・・・100万円相当か~・・・貰えれば資金面が一気に楽になっただろうなぁ。凄く惜しい事をした気がする。


「それにサブロイド君は色々なパーティから勧誘を受けていたり、魔法師の者から弟子入りを志願されたりで大人気だ。上級魔法が使える者なんて冒険者には少ないからな。それにワシも上級魔法を見たことは初めてではなかったが、サブロイド君が放った上級魔法はその中でも群を抜いている威力だったからな。その内彼も他の上級魔法師の様に国からお声が掛かるだろう。」


やっぱりそういう話になるわけか。てゆうか、上級魔法使える人ってのは皆城仕えなんだな。マイツァさんの話によると高収入と高い地位が用意されるらしい。魅力的な待遇なんだろうけど、城仕えとか身動き取り辛くなるから俺は嫌だけどなぁ。10万レンスは惜しいけど、サブロー先輩に身代わりになって貰ってよかったのかもしれない。


「む?あっちの姉妹を落ち着いたみたいだな。では戻るとするか。『フリーター』ちゃんと報酬を受け取るのを忘れないようにな。」


マイツァさんはそう言い残してギルドの奥に消えていった。


マイツァさんと入れ替わりで今度はカナさんがやってきた。


「ヨーヘー様、ご挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。妹を、コメルを助けて頂いて本当にありがとうございます。」


カナさんは深々とお辞儀をしてピシッと姿勢を正す。一連の動作が綺麗だなぁ。なんかかっこいい。


「コメルを見つけて頂いたお礼なのですが、誠意を込めて応えたいと思います。私に出来る事ならどんなことでも構いません。私を・・・お求めになられても応える所存です。どうぞお申し付けください。」


マジで!?こんな綺麗なお姉さんが!?お求めになってもよろしいので!?


「お礼なんていいですよー。お気になさらずに!緊急依頼のついでにやったことですから!」


俺が妄想を膨らませていると横からアリアがカナさんに告げていた。あぁ・・残念。

名残惜しいがお礼として頂くのはちょっと違う気がするからまぁいいだろう。

カナさんに目線を移すとカナさんの手が若干震えていることに気が付いた。まぁ、そうだよな。


「ヨーヘーもお礼なんていらないよね?ねっ!ヨーヘー!ねっ!?」


なんだこの迫力は!?これに逆らったら俺は酷い火傷を負う気がしてならない。


「も、もちろんだよ!カナさんお礼なんていらないですよ?確かに捜索を頼まれはしましたけど、気にしないでください。たまたま同じ場所で依頼があったから探す事にしただけですしね。」


「でもちゃんと妹を見つけてきて下さいました。これでお礼の一つもしないとなると、お礼もできない娘だと私が非難されてしまいます。それに私の気も治まりません。」


「でしたら夕飯をご馳走してください!それでいいよね?ヨーヘー!ねっ!!」


「はい、それでいいです。」


ここはアリアに任せるのが正解だろう。俺はただただイエスマンになっていればいいのだ。


「え?それだけでいいのですか?・・・それでしたら腕によりを掛けて作らせて頂きますね。ヨーヘー様達はいつまでこの街に滞在される予定ですか?」


「特に決めてないけど、2~3日はいる予定ですよ。」


「でしたら明日の夕飯をご馳走させて頂ければと思うのですがいかがでしょうか?」


「わかりました。楽しみにしていますね。」


「はい!お任せください!」


カナさんの手作り料理かー。すっげー楽しみだ。どんな料理が出てくるんだろう?


「あ、ヨーヘー様。副ギルド長より緊急依頼の報酬を渡すようにと言付かっております。お手数ですが、カウンターまで起こし頂けますか?」


「あぁはいはい。さっきマイツァさんに言われましたよー。」


カナさんの後について行きカウンターで手続きをする。緊急依頼の報酬は3千レンスだった。1人1千レンスなんだそうな。


「ヨーヘー様は古屋敷の害虫駆除の依頼を受けておりますが、こちらはどう致しましょう?」


あ、すっかり忘れてた。アリアを見るとアリアもはっとした顔をしている。


「あ、はいそうですね。この後行ってみようと思います。」


「トリス様は少々事情をお聞かせ頂きたいのでこの後お時間よろしいですか?」


「はい、わかりました。ヨーヘーさん、アリアさん、本当にありがとうございました。それで、あの、後でお時間頂けますか?お礼も兼ねてお話したいことがあるのです。」


「うん、わかりました。それじゃあまた後で。」


トリスさんとお別れして、カナさんに不動産屋のリアールさんの店の場所を教えて貰い、冒険者ギルドから外に出る。


「さーて、次は害虫駆除かー。簡単な依頼だといいなー。」


「星3つで害虫駆除でしょ?普通のじゃないんだろうなぁ。ちょっとドキドキするねー。」


「そういえばアリアって虫平気だよね?苦手じゃないの?」


ブランダでは蛭にビビってたから虫系もダメなのかと思いきや、移動中も虫に驚く様子じゃなかったしな。


「うん?見るくらいなら平気だよー。触るとなるとあんまり気持ち悪いのはダメだけどね。芋虫くらいなら大丈夫。学園生活してた時に部屋にこんな大きい芋虫を入れられたりしてたから慣れちゃったのかもね。ふふ。」


アリアはこんなのーって言って手で形を作る。50cmくらいあるんですけど?でけーよ。なんだよそのサイズ。俺なら発狂するよ。アリアはたまに過去エピソードを思い出すキーワードがあるな。もう気にしていないから構わないらしいが、好んで思い出したい事でもないだろう。


「タァマも虫大丈夫ですよー!今度捕ってくるです!」


「うん、タァマちゃんは凄いね。でも捕ってこなくていいからねー?いい?捕ってこなくていいからね?」


大事な事なので2回言った。なんとなく黒くて光ってて速くて死に辛くて増えて飛ぶ奴を連れてきそうな気がしたので。


「にゃぁ!頑張ります!」


頑張るなっつーの!マジで!お願いします!


そんなやり取りをしつつ不動産屋に到着したので、中に入った。


「お邪魔しまーす。依頼を受けてきた冒険者ですが、リアールさんはいらっしゃいますかー?」


「おぉ!やっと来てくれたか!ささっこっちに来てくれ。詳しい話をしようじゃないか。」


中年太りした男が店の奥に案内してくれた。彼がリアールさんかな?店の奥に行く途中、店内の壁を見るとかなりの数の家の間取りが記された紙が貼られている。結構な物件数を扱ってるんだなぁ。何々、2階建て8部屋の家が月1万レンス、買取は150万レンスか。1階建ての2部屋の家は月4千レンス、買取は60万レンスねぇ。今の所お金もないので、借りるつもりも買うつもりも無いから別にいいが、今後買うかもしれないから参考価格として覚えておこう。


応接間に通された俺達はリアール氏の対面に座った。


「さて、さっそく依頼の話をさせてもらうが、今回頼みたいのは私が1ヶ月程前に購入した古屋敷なんだ。かなり格安で手に入れたんだが、ちょっと問題があってね。君達にはそれらの駆除をお願いしたいんだよ。」


「はい、害虫駆除という話を伺っていますので、それらの駆除をすればいいんですね。」


「害虫・・そう!害虫なんだよ!私の屋敷に住み着いていて困っているんだ!任せたよ!場所は・・・」


リアール氏に古屋敷の場所を聞いて、さっそく向かうことにした。リアール氏は都合が悪くて一緒に来れないそうだが、その代わりにと準備資金として2千レンス頂いた。

虫刺され防止の薬とか殺虫剤とか購入して向かう事にしよう。

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