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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
42/172

42話 潜入と救出

残忍な描写があります。苦手な方は後書きにダイジェストを載せておきますので、そちらをどうぞ。

俺は今は集落の上空にいる。

正直ちょっと寒かったので、バリアで冷たい風をシャットアウトしている。

バリアで全身を覆っていたら中の空気なくなるんじゃないかと思うだろう。でも大丈夫。その辺は都合良くできているのだ。


眼下を覗くと複数の建物があるので、あれらにオークやゴブリンが寝泊まりしているのだろう。

サーチの指している方向はそれらの建物にはなく、集落からほんの少し離れた所にある洞窟を指していた。

洞窟の上空までやってきて、見張りを警戒したのだが洞窟前には奴等はいないようだ。

敵もいないようだし、サーチの反応に従って、洞窟の前に降り立った。


「この中か。『スカウト』、『ホルス』」


暗い洞窟内を敵に見つからないように進む。ホルスが無ければ何も見えなかっただろう。この洞窟内は奥まで50mはあるみたいだ。一番奥にいる魔物の反応がそれくらいの距離だからもしかしたらもっと深いのかもしれないが。少なくともそれなりの大きさの洞窟ということになる。

この洞窟内の魔物の反応は19だな。内15は動いていない。寝てるのか?入り口から20mのところに2つ、30mのところに2つ、50mのところに15だ。動いているのは一番奥の15の反応の内4匹だ。

暗い洞窟内を進むとスカウトの反応の通り魔物2匹いることを確認する。緑色の肌で豚鼻だ。体長は2mくらいか?特徴からしてオークだな。にしても臭いな。まぁ2匹共寝ているから放置だな。殺しても構わないがそれで騒ぎになって襲撃に影響すると困るしな。


更に10m進むと洞窟の奥から声が聞こえてきた。


「あっあっあっ・・・もういやぁ・・・ああっやめっ、あああああっ」


「やめてぇ・・・こないでぇ・・・あっ!あああああああ、いやぁぁぁぁぁ!!」


マジか。これってアレだよな・・・?

声の方に向かうとまたオークが2匹床で寝ていた。こいつらも放置して更に歩を進める。

恐らく声の発生地はこの先にいる15体の反応の場所だろう。


15の反応がある場所まで行くとツーンとした臭いがキツくなり、そこには4体のオークがいた。その4体は2人の女性を犯していた。ひどい光景だ。女性の顔は液体でグシャグシャになっていて壮絶さが伝わってくる。女性の1人はセミロングの青髪の少女だ。耳が尖っているな。もしかしてエルフなんだろうか?そのエルフ少女は膝から下の足が両足とも無くなっている。ドロみたいな物が塗られているのであれで止血してるのかもしれない。もう一人は同じくセミロングの緑髪の少女だ。こちらは体に欠損部分は見当たらない。身体的特徴からコメルさんに間違いないな。サーチもあの緑髪の少女を指している。魔物の反応は15だったが、実際にいるオークは4体だ。他には確認できない。恐らくあの膨らんだお腹の中なんだろうな・・・。

胸糞悪ぃな・・・ここにアリアを連れてこなくてよかった。

さて、どうする・・・コメルさんの居場所はわかった。殲滅作戦を優先するならここはこのまま戻った方がいいのだろうが・・・まぁ無理だよなぁ、こんなの見せられたら一刻も早く助けてあげたい。まずはあの4匹を殺すか。声を出されると厄介だからこの空間にミュートを掛けておくか。・・・よし、これで騒がれても気付かれないだろう。


「『イレイズ』」


次の瞬間、オークの首から上が無くなり、鮮血を撒き散らしながら4体のオークが力なく倒れた。


「あぐっ」「うぁっ」


あ、少女達も地面に落ちてしまった。

俺は自分に掛けていたインビジブルとミュートを解除した。

いきなり死んだオーク達を見て怯える少女達が俺にの存在に気付いた。


「ひっ!」


「しっ、静かに。まだあっちで寝てるオークがいるんだ。俺は君達を助けに来た。ヨーヘーという名前だ。君はコメルさんで合ってるよね?」


・・・・コクリ。


「君達に聞きたい事がある。他に囚われている人はいる?」


青髪のエルフ少女は弱々しく首を振っているだけだったが、コメルさんが話してくれた。


「・・・・いいえ。捕まっているのは私達だけです。最初は4人いたんですけど、2人は自害してあいつらの食料になってしまいました・・・ひぐっ・・・うぅ」


「そう・・・辛かったね・・・でももう大丈夫だから。あ、ごめん。」


まだ裸であることに気付いて魔法の袋から大きめの布を2人に渡す。


「そうとわかればもうここには用は無いな。逃げようか。」


そう告げると申し訳なさそうにエルフ少女が俺に首を振った。


「・・・あのヨーヘーさん。私はこんな足です。逃げられません。・・・ですから・・・ここに・・・置いていって・・・ください。・・・それで、厚かましいと思うのですけど、お願いを聞いて貰えませんか?。」


「お願い?」


「はい、あの、私を・・・殺してください。」


「っ!?」


「ここにいてもまたあいつらの慰み者に・・・それに・・・、このお腹にはあいつらの子供が・・・私魔物の子なんて産みたくないです・・・お願いです!私を、私を殺してください!!」


「ヨーヘーさん。助けに来て頂いてありがとうございます。私の中にも・・・魔物の子が・・いるん・・です。ヨーヘーさん。私もトリスさんと一緒に・・・こ、殺・・・うぅ・・・」


エルフの子はトリスと言うのか。


「二人とも殺さないよ。ちゃんと助ける。俺からもお願いだ。辛い選択だろうけど死を選ばないで。なんとかしてみせるから俺を信じて欲しい。その命俺に預けて欲しい。・・・ダメかな?」


「「・・・・・」」


「お願いだよ。この通り。お願いします。」


俺はなんとか信じて貰おうと心に大きな傷を負った少女達に少しでも希望を持って欲しいと願って深々と頭を下げた。


「・・・ヨーヘーさん。頭を上げてください・・・。私はこの足です。足手まといになりますよ?もし、あいつ等に見つかって私が障害になるようならすぐに私を殺してください。私の命はヨーヘーさんにお預けしますから。」


「大丈夫、絶対見捨てたりしないから。コメルさんも・・・ダメかな?カナさんもコメルさんを待ってるよ。」


「っ!!お姉ちゃん・・・会い・・たいです。お姉ちゃん・・・うぅ。」


「ね?俺を信じて?絶対助けるから。」


「はい・・・わかりました。・・・ヨーヘーさん、私を・・私達を助けてください。」


「その依頼、お受けします。」





「それでどうすればいいんですか?」


「うん、この袋の中に入って欲しい。」


俺は魔法の袋の入り口を広げる。(家)の方じゃない、普通のアイテム袋として使っている物だ。


「これは?」


「素敵なアイテムとだけ言っておくよ。大丈夫。害はないよ。」


「疑ってなんてないです。疑ったところで私には選択肢はありませんから。あの、申し訳ないのですが、私うまく歩けませんので、手伝って頂けませんか?」


俺はトリスさんを抱き上げて魔法の袋に入れてあげた。抱き上げた際に足が痛むのか一瞬顔を歪めたが、何でもない様に振舞ってくれている。トリスさんの体をそっと魔法の袋内の床に下ろしてあげて、コメルさんにも入ってくるように手招きすると、恐る恐る魔法の袋内に入ってきてくれた。


「よし、それじゃあ俺は一回外に出るね。あの入り口が閉まるとすぐにまた開くから待ってる時間は1秒もないから待っててね。」


俺は魔法の袋から外に出て中の2人に安心するように笑顔を向けて蓋を閉じた。


「さて、脱出しますかね。」


再度インビジブルとファブリーとミュートを掛けて洞窟の入り口を目指す。洞窟から出る。

二人はあぁ言ってたけど、一応他に捕まっている人がいないか確認しておくか。

その後2時間くらい掛けて集落の中を見回ってみたが、ゴブリンとオークしかいないようだった。救出しなくてはいけない対象はいないわけだから、心置きなく暴れらるな。

調査も済んだのでこんなところに長居は無用だ。俺はフライで一気に空に上昇した。


さて、アリアも心配しているだろうし、ここから先はアリアの手助けが必要だ。アリアのところに戻るぞー。


魔法の袋(家)が置いてある場所に戻ってきてバリアを解除して内側に入り、もう一度バリアを掛けなおしてから中に入った。


「ただいまー」


・・・・あれ?

二人の反応がない。そこにいるのに無視されている格好だ。なんだ?俺なんか悪い事したっけか?

調査に2時間掛けて帰りが遅かったからか?いや、2人共そんなに狭量じゃないはずだ。

すると、タァマちゃんがアリアに話しかけ始めた。


「お姉ちゃん、お兄ちゃんはまだですか?」


「うん、もうちょっとで帰ってくると思うよ。」


ん?気付いてない?


「たっだいまーーー!」


「お兄ちゃん早く帰ってこにゃいかにゃー。」


「ふふっ、タァマちゃんはヨーヘーが大好きね。」


「はい!お兄ちゃんは大好きです!!もちろんお姉ちゃんも大好きです!!」


くぅ、タァマちゃん嬉しい事言ってくれるじゃないか。でもなんで無視するんだい?あ、インビジブルとファブリーとミュート掛けっぱなしだったな。これじゃ気付けないのも無理ないか。


「お姉ちゃんもお兄ちゃんのこと好きですよねっ?」


解除っと。


「え?・・・うん私もヨーヘーのこと好・・・ってヨーヘー!?いつの間に帰ってきたの?」


しまった。解除を早まったかもしれん。俺のことす・・・なんだろう?「き」だといいな!「き」を希望!!


「「お姉ちゃん、お兄ちゃんはまだですか?」のあたりからいたけど。」


「お兄ちゃんおかえりにゃさいですーーーー!!」


「おー、ただいま、タァマちゃん良い子にしてたかー?」


「はい!タァマ、ちゃんとお姉ちゃんの言うこと聞いてました!」


「偉い偉い。」


「にゃぁ♪」


「それでアリア。」


「な、ななななな何かしら?」


「俺のことす・・・何?」


「え!?よ、ヨーヘーのこと?えっとぉ・・・す、すすす・・・スルラマカイロ!!」


「何語!?」


「そ、そんなことよりどうだったの!?」


「あ、うん、コメルさんは見つけた。トリスさんという冒険者もいた。後の2人は自害したらしい。他に囚われている人はいなかった。」


「そう・・・それで、コメルさんとトリスさんは?」


「連れてきてるよ。魔法の袋の中にいる。魔物を孕んでいたりと結構ショッキングな状態だけどね・・・」


「早く治療しないと!」


「待って。」


慌てて治療しようとするアリアを静止する。


「魔法の袋の中は蓋を閉じると時間が止まるんだって知ってるよね?早く治療してあげたいのはわかるけど、あと1時間もすれば集落を襲撃する時間になる。そうしたら治療を一時中断しないといけなくなる。さっき集落に行ってあいつ等は倒しておかないといけないって思ったんだ。だから、討伐が終わってからゆっくりと治療してあげたいと思ってるんだけど、どうかな?」


「そう・・・、そうね。その方がいいよね。うん、じゃあチャッチャとやっつけちゃおう!」


「タァマもやっつけるです!!」


俺達は軽い食事を済ませて作戦時間まで体を休めた。





「さぁお主ら、狩りの時間だ。準備は良いか?では全員配置に就け。」


ササッと散らばる近接攻撃グループと偵察グループ。


「よし、遠距離攻撃グループ、攻撃準備。」


その言葉で俺は魔力を練り、詠唱を開始する。


「お?さっそく僕が教えた詠唱をやっているね。そう魔法はエックセレントにそして時には燃え盛る炎の様に、内なる魔力を大爆発させるのっさーーー!では僕も詠唱を始めよう広範囲呪文ファイアーストームを見せてあげよう!・・・・・・・ブツブツブツブツ」


「よし!アーチャーの皆!一斉に放つぞ!!・・・それ今だ!!」


ビュンビュンっと5人の放った矢が次々と集落に飛んでいく。


「・・・災厄を形とし顕現せよっ『ファイアーストーム』!!!」


サブロー先輩の放った直径5メートルの炎の嵐が吹き荒れた。


「よし!近接攻撃グループ!突入だ!!」


「「「「「おおおおおおおおっ!!!」」」」」


「無慈悲な炎獄の住人よ、理不尽な暴力の風よ、全てを燃やし尽くせ、全てを吹き飛ばせ、彼の地で踊れ『エクスプロージョン』!!」


ドォォオォォオオォォォォォオオオォォォオオォォンンンンッッッ!!!!


目の前が真っ赤に燃えていました。炎が暴風で踊っているようだったと見た者は語る。

圧倒的な破壊力に襲撃を掛けようとしていた冒険者達はただ見ていることしかできなかった。

炎が治まり風が吹き抜けるとそこにあったはずの集落が消え失せていた。住んでいたであろう住人と共に。


「「「「「な、なななななな、なんじゃこりゃーーーーーー!!!」」」」」」


オークとゴブリンの集落でカナさんの妹のコメリと一緒に捕まっていたエルフのトリスを助けた。

怪我や心の傷が酷かったので、2人共時間が停止する魔法の袋に入れておいた。

ムカっときて上級魔法をオークゴブリンの集落に叩き込んだら集落が無くなっちゃった。

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