表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
40/172

40話 緊急依頼での一幕

冒険者ギルドを出てお話し合いをするために、昼食も兼ねてその辺の食堂に入った。

カウチャスープとナップを人数分頼んでアリアとタァマちゃんに話しかけた。


「本当に付いてくる気?」


「もちろん!私達はパーティでしょ?ヨーヘーだけを危険な目に遭わせる訳にはいかないよ!」


「タァマも頑張ります!!」


意志は固いようだ。逆の立場だったら俺も付いていくだろうしな。


「むぅ・・・わかった。絶対に無理はしないでね。」


「大丈夫よ。ヨーヘーよりも私の方がゴブリンやオークの事怖いって思ってるし、無理なんてしないよ。でもヨーヘーが危なくなったら絶対助けるからね!」


「俺もアリア達を最優先で守るから。ていうか、近寄らせない内に全滅させてやる。」


「頼りにしてるからね♪」



夕方になるまで、武器や防具等をクリエイトで作成した。防具は先日狩ったマーシュサーペントの素材から作った服だ。使えそうな素材だったので売る分とは別に自分達ようにクローンで増やしておいたのだ。マーシュサーペントの皮は柔らかいが衝撃を吸収し、斬撃も通りにくい。アリアにはこれらの防具の他に鉄製の下着を作成した。動き辛いだろうが貞操を守る為だ。我慢してもらおう。直接体に付けてやったから破壊しないと脱げない仕様だ。自分でも脱げないし、俺がトランスフォームで変形させないと外せないからアリアとはあまり長い時間離れないようにしないとな。トイレ的な意味で。

武器は俺とアリアは必要ないがタァマちゃんは近接戦闘を得意としてて、暗殺者のような戦い方をするので、忍者刀のような物を作成した。即席だが切れ味はかなり良い筈だ。今回は時間がなかったので鉄製だけど、今度は鋼鉄とかで作ってみたいな。忍者刀って日本刀の短い物って認識でいいんだろうか?玉鋼とか必要になるのかな?作り方知らんが、砂鉄と炭から作るんだったよな。うまくクリエイトで作れればいいけど、まぁ実験だなぁ。ゆくゆくは俺のオリジナルの鉄を作りたい。出来たらヨーヘー鋼?イシカワ鋼?うんワクワクするな。


夕方になって冒険者ギルドに行くと人が溢れていた。皆戦いなれたような雰囲気を感じる。これがオークゴブリン集落の討伐依頼を受けた人達なのだろう。俺達もその集団に加わるように移動すると、集団の中にいた中年の男性がこちらに気付き話しかけてきた。


「おいおい、この集まりはオークとゴブリンの集落をを討伐するメンバーだぞ?来る場所間違ってねぇか?」


「いえ、俺達もその緊急依頼を受注したので間違ってないです。」


「はぁ!?そんな綺麗なお嬢さんを連れてゴブリンやオークの大集団を狩るってか!?兄ちゃん・・・鬼畜か?」


「ち、違わいっ!俺だって止めたんだよ!なのに一緒に行くって聞かなくて・・・おっちゃんに俺の気持ちがわかるかってんだ!?」


「お、おい、まぁ落ち着けよ。お嬢さん、この兄ちゃんの気持ちもわかってあげなよ?恋人が犯されるかもしれない場所に連れて行かなくちゃいけないなんて疲労よりも心労の方がツライだろうよ。あんまり我侭言っちゃいけないぜ?」


「こ、ここここ、恋人じゃありません!わ、わわわわ、私だって仲間・・そう!仲間が死ぬかもしれない依頼を受けているのにただ待つだけなんで嫌なんです!」


「だからってよぉ・・・まぁ兄ちゃん頑張れよ。」


説得は無理そうだと悟った中年の男性はそう言い残すと逃げていった。もうちょっと頑張れよ。




しばらくすると初老の男性が集まっている者達に声をかけた。


「皆、よく緊急依頼を受けてくれた!ワシはこの冒険者ギルドの副ギルド長を任されているマイツァという。引退はしたが、以前はお主らと同じ冒険者だ!今回はワシがオーク・ゴブリンの集落への案内と殲滅戦を共にさせて貰う!宜しく頼む!」


集団の人達が少しザワついた。「あれが瞬撃の・・・」とか「星7つの冒険者が一緒なのか」とか聞こえてくる。凄い人だったのかな?瞬撃のマイツァって二つ名があったのかな。なんかかっこいいな。


「まず、お主らは現在寄せ集め状態だ!上級冒険者はいないが、皆腕に自信のある者達であろう!そんなお主らをこれを1つにまとめるには今からでは時間が足りない。なので基本的にはこちらの指示に従ってもらうが、現場での判断は個々のパーティに任せる!」


マイツァさんは冒険者から文句が出ないことを確認すると、次の言葉を発した。


「では大まかな部隊編成をしようと思う。今から言う特徴が自分のパーティの特徴に合っていると思ったら前に出てきてくれ!これから言うグループは偵察、近接攻撃、遠距離攻撃の3つだ!まず、偵察が得意なパーティはいるか!?」


マイツァさんが声を掛けると10人くらいが前に移動した。ウチは違うよな・・・?


「お主らは偵察を中心に動いてもらう。この集団での移動になるからかなり目立つだろう。ゴブリンやオークに襲撃が気取られないように見回りをしている奴らを殲滅してほしい。」


詳しいことを偵察グループに説明し終わると、偵察グループの人達は外に移動していった。早速行動を開始するみたいだ。


「次に近接戦闘が得意なパーティ!」


その声に反応して3~40人程が移動する。やっぱり一番人数多いな。俺達はここじゃない。タァマちゃんはここになるんだろうが、今回はパーティ単位の編成だしな。


「お主らはこの討伐隊の主戦力だ!より多くのオークやゴブリン共を葬ってくれることを期待する!相手の数はワシ等の5倍と考えていいだろう。犠牲を出さずに殲滅することは難しいが今奴等を討っておかねば更に数を増やして手が付けられなくなるだろう。この街の未来はお主らに掛かっていると言っても過言ではない!決して怯まず目の前の敵を討ち滅ぼすのだ!なぁに、一人頭5~6匹だ。たかがゴブリンやオーク、お主らなら手間ではなかろう?」


「「「「「「おーーーーーーっっっ!!!」」」」」」


うおっ!?ビビった!ギルドの建物が揺れたぞ!?

近接グループの人達は各々「やってやるぜ・・・」だの「俺は血に飢えている」だの「うおー!うおおー!!」だのとちょっとイッちゃってる感じがして近寄りがたいな。


「最後に!遠距離攻撃が得意なパーティ!」


まぁこれだろうな。俺はアリアとタァマちゃんを連れ立って前に移動する。

アリアの姿を見た冒険者達は俺を見て「鬼畜だ・・・」とか「人でなしめ」とか「あんな小さな子にまで・・・」とかささやいている。おい、聞こえてるんだよ。・・・なんだ?他の冒険者の俺を見る目がゴミを見るかのようなそんな視線を感じる。あれ?建物の中なのに雨かな?目の前が滲んでよく見えないや・・・。


「あ、あの・・・ヨーヘー・・・ごめんね?」


「帰りたくなってきた。」


近接グループにいたさっきのおっちゃんが憐れみの目で俺を見ているな。やめて!そんな目でも見ないで!!てゆうかお前等俺を見るなぁぁぁぁぁ!!


「よし!お主らが活躍するのは初撃だ!ありったけの力をゴブリンとオーク共にお見舞いしてやれ!!お主らの攻撃が完了したら近接攻撃グループが突っ込む手筈だ!なるべく多くの敵を倒して近接の連中に楽をさせてやるんだぞ!尚、近接攻撃グループが突っ込んでも攻撃できそうな敵がいたら迷わず撃ち込むんだ!但し、味方には当てるなよ?」


何そのドヤ顔・・・え?笑わなくちゃいけないところ?おい!わかんねぇよ!どうすればいいんだよ!?


「ゴ、ゴホン!近接攻撃グループにも遠距離攻撃が出来る者は初撃で一緒に攻撃してくれ!では健闘を期待する!!」


あ、ごまかしたな。


グループ分けした集団で遠距離攻撃グループに入った俺達は遠距離攻撃グループと人達と話し合う事にした。

4人パーティ、2人パーティ、ソロ、そして俺達の3人パーティで10人だ。


「まずは自己紹介をしようか、俺はパーティ『アムテル』のリーダーでロビンという。俺を含めた3人はアーチャーだ。」


「リアルだ。」


「プレジャダスです。」


「残りの1人は接近する敵から俺達を守ってくれる壁役のウォルターだ。」


「よろしく」


「次はウチか。パーティ『トウエン』のコウチューだ。俺達は2人共アーチャーだ。そいつはコウトンだ。」


あら、こっちの世界ではお仲間なんですね。ってそうじゃない。似た名前を知ってるとなんか親近感沸くなぁ。


「次は僕だな。サブロイド=オータリー=ヴァルギヌンティウヌスという。パーティは組んでいない。僕に釣り合う仲間に出会えていないからね。ふっ、僕は魔法が使える。オークやゴブリンなんて僕の魔法で一掃してあげるよ。あーっはっはっはっ!!」


名前なげーなおい。そしてなんて態度のでかい人だ。魔法師全員がそう思われるのは困るから自重して欲しい。


「最後は俺達か。俺達はパーティ『フリーター』で、俺はヨーヘー=イシカワという。魔法使いが俺を含めて2人、もう一人は・・・」


タァマちゃんってなんだろう?一番近いのはアサシンなんだろうけど、よくわからないな。

タァマちゃんを見るとニコッと笑顔をくれた。あぁ癒される。


「もう一人はマスコットだ。」


「「「「マスコット!?」」」」


「えっと、魔法使いのアリア=イグニスです。」


「タァマはタァマです!!」


「へー、タァマちゃんって言うのか!うんうん、可愛いな!」


「あなたはアリアさんと言うんですね。可憐なあなたにピッタリな名前です。」


なんか他のパーティの人達にアリアとタァマちゃんがチヤホヤされている。あれぇ?なんか俺蚊帳の外って感じだぞ?

おい、勧誘とかしてんじゃねーよ。アリア困ってるだろ!プレジャダスって奴アリアを見過ぎだ!口元ニヤけさせてんじゃねーよ!

コウトンという人は無言でタァマちゃんの頭を撫でている。まだ一言もしゃべっていない寡黙キャラだが、タァマちゃんの頭を撫でている口元は若干緩んでいる。


それにしてもアリア引き抜かれたらどうしよう。俺は路頭に迷うかもしれない。アリアと折角仲良くなってるのに別れるなんて絶対に嫌だぞ。土下座して頼み込んででも俺も一緒に引き抜いて貰わなければ・・・!


「おい、引き抜くなら俺も・・・」


「やぁ、君も魔法使いだったんだね。」


プレジャダスとアリアの間に割り込もうとしたら横から声を掛けられた。


「は?今ちょっと大事なとこ・・・」


「まぁ聞きたまえ。君のランクはいくつなんだい?」


むぅ・・・こいつ話聞かないな。


「えーっとあなたはたしか・・・サブロ・・・=オタク=バルギヌなんとかさんでしたっけ?俺は星3つですよ。」


「僕の名前はサブロイド=オータリー=ヴァルギヌンティウヌスだ!!間違えるな!!」


「えっとサブ・・・サブローさんですね。」


「変な風に略すな!!」


「それでなんですか?」


「くっ、ふん。まぁいい。君は魔法使いなんだろう?どの系統が使えるんだい?」


「自然魔法ですけど・・・。」


一応特殊魔法は伏せておいた方がいいな。結構使い手少ないらしいし、この手のタイプは自分が使えない魔法を使えると知れば妬んでくるだろう。精霊魔法も素養はあるが精霊と契約してないから使えないのでこれも申告する必要はないな。


「そうかそうか!はっはっはっ!!自然魔法だけか!僕は自然魔法はもちろんの事、火の精霊魔法も使えるのだよ!それで?星3つと言ったかな?まだ初心者だな!僕はね星5つなんだよ!自慢ではないがね!でもその辺の星5つと一緒にしないでくれよ?僕は1人で星5つになったわけだからね!はっはっはっ!ふむ、よし!君はその辺のバカな冒険者と違って魔法が使えるということはそれなりに頭が良いということだ。これから君は僕の事を先輩と呼びたまえ!」


「サブローせんぱーい、もういいッスか?」


「サブローじゃない!!」


そんなやりとりをしていたらタァマちゃんが大きな声が聞こえた。


「お兄ちゃんは外道にゃんかじゃありません!タァマを助けてくれましたし、何よりとても優しいし料理も美味しいのです!!」


声の方を見るとタァマちゃんがプレジャダスを睨んで対峙している。周りの人達は驚いているようだ。


「な、なんだい?お嬢ちゃん?ボクは何か間違った事を言ったかな?こんな危険な依頼にアリアさんの様な美しい女性を連れてくるような男は外道だと思うのだけどね?」


あいつ・・・俺だってね、泣いちゃう事もあるんだよ!?俺のせいじゃないのに・・・俺のせいじゃないのに・・・。


「にゃーーー!お姉ちゃん!こんにゃ人とお話しててはダメにゃのです!お兄ちゃんのとこに行くのです!!」


「うん、ごめんね。・・・あのプレジャダスさん。私の大切な仲間を悪く言うのはやめてください。聞いてて気分のいいことじゃありませんので。」


「そ、そんな!ボクはそんなつもりじゃ!アリアさんの身を案じてのことなんだよ?そんな奴と一緒にいるより、このパーティに入った方がアリアさんにとって良い事なんだよ?だから、ね?」


なんなんだこいつは・・・


「おい!ウチのパーティメンバーを勝手に引き抜こうとしてるじゃねーよ!」


我慢できなくなった俺はアリアとプレジャダスの間に体を入れてアリアとタァマちゃんを背中に隠す。


「来たね、この外道が。アリアさんを解放しろ!お前みたいなのがいるから泣く女性が増えるんだ!!」


「お前に俺の何がわかるってんだよ?」


「わかろうとも思わないね。大方アリアさんをゴブリン達に襲わせてそれを楽しもうとしてたんだろ?このクズがっ!」


「お前・・・!」


「やめんか!!」


俺がプレジャダスに掴みかかろうとしたところでマイツァさんに止められた。


「問題を起こすなら抜けて貰ってかまわん!それとお前!このお嬢さんは自分から志願して加わったと聞いている。確証も無いのに思い込みだけでその男を糾弾するのはどうかと思うぞ!」


「・・・ふん!」


プレジャダスは踵を返して仲間達のところに戻っていった。


「すまんかったな。もっと早くに言っておけば良かった。こちらのミスだ。許してくれ。」


「はい!かなり傷つきました!戻ったらなんか奢ってください!!」


プレジャダスにはかなりムカついたがマイツァさんに八つ当たりすることじゃない。


「むっ?・・・く、はっはっは!それならばご馳走を用意しなければならないな!・・・いいか?死ぬなよ?」


そう言い残してマイツァさんは笑いながら去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ