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虹の先に繋がる世界  作者: 水無月 壱九
グロスティア
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38話 ガラダに到着


ブランダ側の門はあまり人がいないので並ばずに門番に冒険者ギルドカードを見せて街中に入ることができた。反対側はキレースからの旅人や商隊がいるので混んでいるらしい。


「ここがガラダかー。ブランダとあんまり変わらないね。」


「歴史はブランダよりあるんだよ。200年くらいの違いだけど。」


「へー。言われてみれば確かに趣のある建物もあるね。」


「それで、どうしよっか?タァマちゃんは私達と一緒にいることになったから教会に行く必要なくなっちゃったし。」


「教会行かにゃくても大丈夫です!」


「じゃあ冒険者ギルドに行こうか。荷物の件もあるし、どんな依頼があるか見てみたいしね。」


「宿はどうする?」


「アリアが前回泊まったとこは?」


「あそこは食事の量が多いだけであんまり美味しくなかったからなぁ。以前の私ならともかく、あれから色んな味を覚えちゃったから耐えられるかどうか微妙なとこだよ。」


「じゃあオススメの宿もついでに冒険者ギルドで聞いてみよう。」


「うん!」


そうと決まれば早速冒険者ギルドにレッツラゴーだ。レッツラゴーなんだが・・・


「それで冒険者ギルドってどこ?」


場所がわからん。


「知らないよ?」

なんと!アリアも知らないと申すか!まぁ、まだ街の入り口付近だから、門まで戻って門番さんに冒険者ギルドの場所を聞けばいいか。




「冒険者ギルド?あぁ知ってるぜ。500レンスで教えてやろう。」


「じゃあいいです。」


場所教えるだけで500レンスとかナメてんのか。秘密にされているような場所ならともかく、冒険者ギルドのような公の場所の情報に500レンスは無い。


「待てよぉ!そんな綺麗なお姉ちゃん連れててお前は幸せ者だろ?俺なんてなぁ毎日毎日むさい門兵の野郎共に囲まれててよぉ!辛いんだよぉ・・・!短時間で2回も見せつけにきやがって俺ぁもう我慢の限界だ!!ちょっと酒代奢ってくれてもいいじゃねーか!!」


「知るかボケェェェェ!!!」


「よぉよぉいいじゃねーかよぉ!もう酒くらいしか楽しみがねぇんだよぉ!酔っ払って問題起こした馬鹿のおかげで門兵は花街も出禁になっちまってるしよ!頼むよなぁよぉ・・・」


それはお前等が問題起こしたからだろうが。俺になんの関係があるってんだ。馬鹿も休み休み言えってんだ。

俺に対してしつこく魂の叫びを訴えていた門番だったが、その肩にに40代くらいの引き締まった筋肉の兵士が手を置いた。


「何がむさくるしいって?」


「げっ!?兵長!!」


「お前には特別訓練が必要みたいだな。花街だってお前みたいなのが一般人に絡むから出禁になるんだ。そもそもお前も問題を起こしたメンバーの1人のはずだが?」


主犯かよ!?自業自得じゃねーか!


「い、いえ!!それはアイツが調子に乗って絡んで・・・「黙れ馬鹿者!!」」


「旅の兄さん、部下が失礼をした。こんな馬鹿者が俺の部下だなんて頭痛がしてくるが、これも俺の監督不行き届きだ。本当に面目ない。」


「いえいえ、兵長さんも大変ですね。煩悩が無くなるくらいキツイ訓練をしてあげてください。」


「て、てめぇ!」


「はっはっはっ!承った!おいお前!覚悟しておけよ!!」


「ひ、ひぃぃ!!」


「いやー、街を守る門番は訪れる人が最初に出会う人物です。つまりその街の第一印象とも言えるでしょう。のっけから街の評価を落とす、そんな街の品位を落とすような輩は徹底的に矯正しないといけませんね!」


「うむ!!その通りだ!!旅の兄さん良い事を言うな!!兄さんとはいい酒が飲めそうだな!」


「えぇ!楽しそうですね!機会があったら是非お付き合いさせてください!」


「はっはっはっ!俺は門兵の隊長を勤めているガランという。困った事があったらなんでも言ってくれ。」


「冒険者のヨーヘーです。その時はお言葉に甘えさせていただきます。」


「ほう?冒険者だったか。うむ!良い剣を持っている!見せて貰ってもいいかね?」


「どうぞどうぞ。飾りなんですけどね。」


俺は腰に下げていたミイ師匠からいらないと渡された剣をガラン隊長に手渡した。


「ほぉ・・・これは素晴らしい業物だな・・・ちょっと振ってみても?」


「どうぞどうぞー。」


剣なんてよくわからんからな。見る人が見ればわかるもんなんだな。


ビュンッビュンッビュビュンッ


おー、すげぇな。そういえば剣士が剣を使ってるのって初めてみるな。こんなに鋭い剣筋なのか・・・。


「ふむ、いい剣だ。ありがとう。」


ガラン隊長は剣を鞘に戻して俺に渡してきたので受け取って再び腰に下げた。


「ヨーヘー君は冒険者ランクはいくつなんだね?」


「星3つですね。この前冒険者になったんですよ。」


「ほぅ。そうかそうか!うむ!いい冒険者になれよ!!では、こいつを訓練しないといけないのでこれで失礼するよ。」


「あ!あの!冒険者ギルドの場所ってどこですか?この街に来たばかりなので・・・」


「ん?冒険者ギルドか。冒険者ギルドは・・・・」



ガラン隊長に道を教えて貰って冒険者ギルドにやってきた。


「すいません。ちょっとお話いいですか?」


「はい。なんでしょうか?」


「この街に来る途中で荷馬車が横転してました。目撃者の話によるとグリーベアに襲われたらしく、持ち主もグリーベアに連れ去られたとの話なのでして、一応荷物は回収してきたのですが、どうしたらいいでしょうか?」


「えっと・・そうですね。回収した荷物はどちらに?」


「あ、今持ってきます。」


しまった。あの大荷物どうやって出せばいいんだ?


荷物を取ってくるという名目で一旦冒険者ギルドを後にする。


「アリアどうしよう。あの大荷物を運ぶ手段がない。」


「あの荷車も持ってくればよかったね。」


「でも車輪壊れてたしなぁ。」


「クリエイトで直せないの?」


「あ、そういえばそうだね。直せるわ。失敗したなぁ。てか、木材はあるんだから荷車を作っちゃえばいいか。」




人目につかない場所に移動してなるべく頑丈な木材を取り出していく。重量を支える部分は鉄を使うか。車輪と車軸も鉄かな?簡単なものでいいわけだからそんなに凝らなくてもいいか。でもブレーキは必要だよな。街中といっても坂道はあるから暴走したら危ないしな。よし、これでいいか。


「『クリエイト』」


木材や鉄が魔力に包まれて形を変えていく。そしてイメージした通りの4輪の荷車が出来上がった。ちょっと新品っぽすぎるか?


「『ブースト』」


荷車の時間を早送りしたが、ブーストやスロウやリバースは10倍までが限界だ。10倍速のブーストを自分に掛けた場合10倍速く動けるので、ブレーキの時に足の骨とかボッキボキになるかと思ったがそこは大丈夫らしい。スロウも血流が遅くなって死ぬとかもないようだ。リバースは血流が逆流してヤバイかと思ったがなんか大丈夫だった。心臓にポーズ掛けたら死んだが。腕を切断したやつにリバースを掛けたら腕が生えたし、切断した腕にリバースを掛けると本体が生えた。でも毛や爪からは再生できなかったな。とは言ってもこれは良くないと思った。まぁミイ師匠が編み出した魔法らしいから使えるのが俺とミイ師匠だけだし、俺が悪用しなければ大丈夫だろう。ちなみに腕から生えて戻った奴は意識がなかった。ミイ師匠は意識体が頭に宿っているからとか言っていたな。そういうもんなんだと理解した。この意識体は唯一無二らしく、クローンでも複製できないらしい。クローン人間が意識無いのはこういう理由らしい。意識体は死んでしまうとどこかに行ってしまうらしいので、死体にリバースを掛けても生きている状態には戻るが意識は戻らなかった。魔法習得のために実験体になってくれたアナウサギ君達ありがとう。おかげで時魔法(特殊魔法だが)が使えるようになりました。そして動物保護団体の人怒らないでください。技術獲得の為には必要な犠牲だったのです。実験後ちゃんと美味しく頂きましたので。

さて、ちょっと話が逸れて長々と時魔法の説明をしたわけだが、今回狙ったのは荷馬車にブーストを掛けてちょっと風化させようと思ったのだ。しかし10倍速したくらいで風化するはずもなく。意味の無い結果に終わってしまった。


「で?そんな説明を今更してどうするの?」


「あまりにもダメダメな結果にムシャクシャして時魔法の説明をしたわけであって・・・あ、やめて。石を投げないで!」


抗議の表現としてアリアが石をポーイと放ってくる。当っても痛くない速度だが、なんか怖いぞ。


「よし!気を取り直して。『サンシャイン』」


晴れているのに周りがちょっと暗くなった。周りの日光を集めて荷車に照射したのだ。虫眼鏡みたいな物だ。これ集光率を間違うと一瞬で燃えるから要注意だ。結構凶悪な魔法なのである。今は弱めにしてあるから長時間浴びなければ死ぬ事は無いだろうというレベルだ。うん、よしよし、微妙に焼けてきたな。


「調子に乗って『サンドストーム』」


威力を大幅に抑えた砂嵐を荷車に当ててみた。おー!細かい傷も汚れもついてそれっぽくなってきた!


「これ結構それっぽくなったんじゃね?」


「なんなの?その無駄なこだわりは・・・。」


「無駄じゃないよ!?新品の荷車なんかで持って行ったら怪しまれるかもしれないじゃないか!」


「心配性過ぎるよー。」


「まぁいい感じに出来上がったんだし、これに積んじゃおうよ。」


魔法の袋の中に入れておいた回収した荷物を3人で荷車に積んでいく。グラビティで荷物を軽くしてあるので10分程で全部積み終わらせることができた。


「これで全部かな?」


「積み終わりました!!」


「よーし、それじゃあ冒険者ギルドに持っていこうかー。」


俺は荷車に手を添えた所で気付いてしまった。


「これどうやって引くんだ?」


「か、考えてなかったの?」


グラビティで軽くして自分達で引くというのは無しだ。積載量から見て明らかに3人で引ける量じゃない。悪目立ちし過ぎてしまう。


「「「・・・・・」」」


「これ馬いないと無理じゃん!!どうしてこう次から次へと問題が!」


おのれーー!こうなったらハンドルとペダル付けて人力トロッコみたいなのにしちまうか!?


「『クリエイト』!!」


荷車の後部に人力トロッコでよく見かける2人で上下に動かしてトロッコ走らせるアレをつけた。上下に動かす事でギアが回り、ギアの回転に連動したチェーンが回転して後輪を動かす仕組みだ。荷車の前部には鉄の棒が生えている。これを左に倒すと前輪が左に曲がる。右は逆だ。

タァマちゃんにハンドル操作の説明とブレーキの掛け方を教えて、俺とアリアは後部に乗り込む。


「さぁアリア。このペダルを上下に動かすことでこの荷車が動く。頑張ろうか!」


「仕方ないなぁ。でも普通こういうのってレールの上を走るんじゃないの?荷車にこういう動力をつけたのって見たことないよ。馬の方がお手軽だし。」


「その馬がいないからこうなったわけなんだし、これで行くしかないよ。」


「私達魔法師なんだから魔法で動かせばよかったのに・・・」


え?魔法で動かしても悪目立ちしなかったの?そうだよな、魔法がある世界なんだから別に変な目で見られるなんてことはなかったのかもしれない。


「・・・次からはなんかやる前に相談します。でも折角作ったんだし使ってみない?」


「でもまぁ面白そうだし、やってみよっか?」


「そ、そうだよね!俺の世界にもトロッコってあったけど、あんまり見ないから一回これやってみたかったんだ!」


タァマちゃんに合図をして俺からペダルを下に押し込む。・・・・くっ、結構重いな・・・!


「っっっ・・・よい・・・っっしょーーー!!」


ペダルに全体重を乗せるとググッっと荷車が動いた。


「よっ・・・わ!?重・・・い・・・んっしょーー!!」


グググ


「よいっしょー!!」


ググググ


「よいしょー!!」


ググググググ


「動き始めればなんとかなるね!最初が肝心だな!タァマちゃんハンドル操作はどうー!?」


タァマちゃんの姿は俺達の位置からは見えないが、俺の声が聞こえたのかちょっと荷馬車が左右に揺れた。


「ちゃんと曲がります!!大丈夫です!!」


「じゃあ運転お願いねー!止める時は声掛けてねー!アリア頑張ろう!」


「うん!・・・エイッ!!」


こうして人気の無い路地裏から大通りに出る荷馬車。道行く人は好奇の目で荷馬車を見てくる。結局目立つのね。子供が手を振っているが俺とアリアはペダルを漕ぐのに必死だ。タァマちゃんが手を振り返しているみたいだな。この荷馬車は時速10kmくらいで走っている。14歳くらいの男の子3人が面白がって荷馬車に乗ってきた。おい降りろ。イェァー!じゃねぇよ重いんだよっ!!くそぅそれにしてもこれ疲れるな。ピストンの魔法使えばよかった。だがその事に気付くのが遅すぎた。あと20m程で冒険者ギルド前に着いてしまう。今更感がありまくるし、ここまで来たらやり遂げたい。


「えっさ」「ほいさ」「えっさ」「ほいさ」「えっさ」「ほいさ」


「到着ですー!」


つ、疲れた・・・。


「た、タァマちゃん、さっきのお姉さん呼んできてくれる?あと、お前らもう降りろ。終点だ。」


まだ荷車に乗っている3人組に降りるように告げる。


「兄ちゃん楽しかったぜ!」「また乗せてくれよな!」「姉ちゃんの頑張る姿にグッときた。」


「散れ!散れ!!」


ワーッっと走り去っていく3人組。


「グッときただって、ふふ。」


「アリアも嬉しそうにしないの!」


「はーい。」

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